魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第49話 バイキング、それはいたずらを楽しむ場
「へえ、ここか…………」
ショッピングモールの中にあるバイキング店だと甘く見ていたが、かなり本格的だった。
「予想以上に凄いですね。何かホテルにあるバイキングみたいです」
だろうな……………
内装も高級感溢れてるし、何か天井にでっかいシャンデリアがあるし。
こんないち庶民が入って良いのだろうか?
「わあ………」
「綺麗………」
チビッ子二人は開いた口が塞がらないほどシャンデリアに感動していた。
「レイ!早く食べたい!!」
「早く中に入ろう!!」
食いしん坊ライとセインは直ぐにも食べたいらしい。
獲物を狙う目になってる。
「そうだな……………早く入るか………」
俺はこの先の苦労を考え、ブルーになりながら言ったのだった……………
「いいっスか!バイキングは争奪戦と言う戦争っス!!奪われる前に奪え!!確保出来るだけ確保するのが常識っス!!」
「そんな常識あるか!!」
席に付いて早々ウェンディがバカな事を言い始めたので拳骨で沈めた。
「さて、俺からも食べる前に注意事項がある」
どうでもいいから早く食べたいオーラを出しているライやセインを無視して俺は話始めた。
「まずは、バイキングの食べ方の説明」
「そんなの分かってるよ。好きなものを自分で好きなだけ取って食べていいんだよね」
ライが自信たっぷりに言う。
「それはそうだがそれにも限度がある。料理は終始作られてはいるが、同じものばかり食べていると、それも間に合わなくなる」
「だから、バランスよく取って食べろってことか?」
「ノーヴェ正解。それに他の人にも迷惑がかかるからな」
「それといくら好きなものを選んで良いと言っても限度がありますからね。バランスよく選んでください」
俺の言葉に付け足すように星が言う。
「それと料理を一気に持ってくるなよ。そんなに急がなくても無くならないからな。時間もたっぷりあるんだ、のんびりみんなで楽しく食べよう」
こうして有栖家のバイキングがスタートした。
「キャロは何を食べるんだ?」
「えっと…………えっと…………」
「ルーちゃんはどうします?」
「唐揚げ食べる………」
ルーテシアはともかくキャロは地球の食べ物は初めてなのでどうしても目移りしてしまうみたいだ。
「キャロもまずはそうするか」
「はい!」
元気があってよろしい。
やっぱり可愛いなぁ…………
「ルーちゃん!?取れないなら私が取りますよ!」
「いい、自分で取る………」
背伸びして奥の料理を取ろうとしているルーテシア。
「もう…………でも可愛いですね………」
緩んだ顔で星が呟いたのだった。
「さて、みんなはもう食べ始めてるかな…………」
そう思い、席に戻ると先に戻っていた夜美とディエチが食べていた。
他はまだみたいだ。
側には飲み物のジュースが……………
「飲み物忘れた!!お前ら飲み物何がいい?」
「あっ!?私が行きますよ!」
「いいから星は先に食べてな。それで何がいい?」
「私、コーラ……………」
「じゃあ私もそれでお願いします」
ルーテシアとキャロはコーラね………
「星は?」
「………ならウーロン茶でお願いします」
ウーロン茶か……………
「じゃ、ちょっくら行ってくるわ」
俺は持ってきた料理を置いて、飲み物を取りに行った。
「ん?あれは……………」
ケーキエリアで一生懸命ケーキを綺麗に並べている水色の女の子が………って
「セ~イ~ン…………?」
「ひゃ!?何だ、レイか………びっくりしたよ、いきなり声かけないでよ…………」
「声かけるなじゃねえ!!夕飯だって言ったのにお前は何してる!?」
「えっ!?何ってケーキ取ってるんだよ」
「夕飯は?」
「これ」
そう言ってケーキが大量に乗った皿を俺に見せるセイン。
「………お前、星の話聞いてたか?」
「うん、カラフルで綺麗でしょ!」
「そういう意味じゃねえ!!」
公衆の面前で拳骨をしたが、俺は悪くないと思う。
あの後セインに軽く説教して本来の目的に戻った。
のだが……………
「何してるんだあいつ…………」
俺は寿司エリアでたたすんでいるノーヴェの所へ向かった。
「お待たせ、お嬢ちゃん!」
「待ってました!ありがとうオッサン!」
そう言ってノーヴェは店員が持ってきた寿司を自分の皿にのせ始めた。
ノーヴェ、お前もか…………
ノーヴェの皿は寿司で埋まっていた。
まあ、セインよりはマシだけど………
「ノーヴェ…………お前バランスよくって…………」
「ん?ああ、ちゃんと守るよ。この後サラダとか取ればいいだろ?」
な、なるほど、確かに………
ノーヴェは流石にちゃんと考えてたか。
ウェンディにいつも弄られてるからおつむは悪い方だと思ってたんだが…………
「何か変なこと思っただろ……………まあいいや、私は行くぞ」
「ああ、ちゃんとバランスよく食べろよ」
「分かってるって」
そう言ってノーヴェは行ってしまった。
そうか、もしかしてセインもそのつもりだったのかも……………
いや、セインはケーキが夕飯だって言ってたから間違ってないだろ。
「さて、俺も早く飲み物を取りにいくか…………」
俺も本来の目的に戻った…………
ドリンクコーナーに行くとそこには赤い髪の~っスって言葉をしゃべりそうな女の子が…………
ごめんなさい、ウェンディです。
キャロよりちょっと幼い男の子と何か話しているんだけど……………
「おねえちゃん、じゅーすにたばすこいれたらおいしくなくなるよ」
「やかましいっスよ、ガキんちょ。大人はこの味を好むんっスよ」
「そうなんだ、じゃあぼくものむ~!」
「おお、よく言ったっス!!じゃあお姉さんが…………」
そこで俺はセインの時よりも高威力の 拳骨を頭に落とした。
「いったあああああ!?」
「ごめんな、このバカなお姉さんの言っている事は90%は嘘だから」
「ちょ!?レイ兄、それは酷すぎるっス!!」
「おねえちゃん、うそつきなの?」
「そうなんだよ、だからこんな嘘つきなお姉さんはほっといて早くお母さんの所に戻りな」
「うん、そうする~じゃあねおにいさん、うそつきおねえさん」
そう言って親の元へ行った。
「それにしても痛いっスよレイ兄………何するんっスか…………」
「やかましい!お前は人様の子供に何吹き込んでんだ!!」
「吹き込んでないっス!!これこそが世の中の常識っス!!」
「…………お前はマジで帰ったら説教な。星も一緒だから覚悟しとけ」
「ちょ!?星姉は勘弁して欲しいっス!!下手したら人格崩壊するっスよ!!」
「知らん!どっちにしても決定事項だから覚悟しておけ」
終わったっス……………とか呟いているが気にしない。
しかし人格崩壊って……………
星、お前凄いこと言われてるぞ。
取り敢えずこんなこと星に言ったらウェンディの命がなさそうなので俺の心の中にしまって置くことにした。
さて、そんなことがあった帰りに、ご飯エリアの前で唸っているライを見つけた。
流石にこれ以上3人を待たせる訳にもいかないと思い、スルーしようとしたが…………
「レイ!!ちょうどいいところに」
スルー出来なかった…………
「で、どうしたんだ?」
「あのね………これどっちがいいかなって………」
そう言ってライはご飯エリアにあるカレーを指差す。
「いや、カレーを食べたいなら食べればいいだろ?」
「でもさ、チキンとポークとビーフがあるんだよ!!3つとも食べたいんだけど、3回もカレー食べたくないじゃん………」
いやぁ…………………………
「どうでもいい………………」
「どうでもいいじゃないよ!!ねえ、レイはどれが良いと思う?」
「俺的にはバイキングまで来て、カレーをチョイスしようとしているライの考えがイマイチ分からない」
「何で!?いいじゃないか!バイキングなんだし!」
まあそうなんだけど……………
「カレーなんて、俺でも星でもましてや自分でも作れるだろ。せっかくなんだから普段食べれないものを食べろよ………」
「フン、レイは甘いね、こういう場所のカレーはかなり美味しいんだよ!!」
まあいいけどさ。
なんだかせっかく来たのに勿体ないっていうか…………
「じゃあさこっちのカレーはどうだ?」
俺はグリーンカレーの方を指さす。
「あれはカレーじゃない!!」
「いやカレーだけど………」
「カレーじゃない!!」
「いやだから…………」
「カレーじゃない!!」
「もういいです………」
俺が折れました。
「で、レイはどれがいいと思う?」
「カレーじゃなく、あえてパスタとかにしたら…………」
「レイのバカ〜!!!」
思いっきり大声で怒られました……………
「ただいま…………」
「おかえりなさい」
「遅い……………」
「お兄ちゃん、ごぼうサラダ美味しいです!」
キャロ、ヘルシーだな。
とそんなことより………
「悪いな待たせて、はいどうぞ」
3人に持ってきた飲み物を渡す。
「ありがとうございます、はいルーちゃん」
「ありがとう…………」
「キャロ」
「ありがとう、星お姉ちゃん」
星が俺からジュースを受け取り2人に配った。
「どういたしまして。レイも席に座って一緒に食べましょう」
「そうだな、いい加減俺も腹ペコペコだ」
そう言って俺も席に着いた。
「あれ?夜美とディエチは?」
「2人はもう次の料理を取りに行きましたよ」
食うの早いな…………
「まあいいか、それじゃあいただきます」
俺は3人と一緒に食事を始めた。
その頃、夜美達……………
「次はあの海鮮パスタを食べてみるか………」
「じゃあ、私はサラダパスタを…………」
ディエチとパスタコーナーでパスタを取っていた時だった。
「ああああああああああ!!」
聞き覚えのある声の絶叫が店に響いた。
「な、なんだ!?」
「どうしたんだ!?」
周りの客も騒ぎ始める。
「ディエチ、あの声は…………」
「知らん顔したほうがいいよ。わざわざ厄介事に首を突っ込む必要も無いし……………」
「…………それもそうだな」
2人は敢えて他人のフリをして次の食べ物を取り始めた。
「セイン!?」
私は星に言われた通り、バランスよく食べるためにサラダを取りに来ていた時だった。
ああああああああああ!!!とセインの絶叫を聞き、ドリンクコーナーに来てみたら、
何故か水を飲みまくっているセインと、
その横で大笑いしているウェンディがいた…………………
「アハハハハ!!おおノーヴェ、いいところに来たっス、これ一杯どうっスか!?」
そう言って、ウェンディが私にウーロン茶を差し出してきた。
「あ、ああ、ありがとう…………」
受け取って取り敢えず一口飲もうとしたとき、ふとウーロン茶の色が赤っぽい事に気がついた。
「どうしたっスか、ノーヴェ?」
「一つ聞きたいんだが、ウーロン茶少し赤くないか?」
「そ、そんな事無いっスよ…………」
私から目線をそらし、吹けていない口笛をウェンディ。
「怪しいな…………なあウェンディ、先ずはお前が飲んでみろよ」
「えっ!?」
「大丈夫なら問題ないだろう?」
「そりゃあそうっスけど…………」
「だろ。ほらほら…………」
私はウーロン茶をウェンディの口元に近づける。
「ああ、分かったっス!!女は度胸っス!!」
覚悟を決めたのか一気にウーロン茶を飲み干したウェンディ。
「からあああああああああっ!!!」
絶叫を上げて後はセインと同じ行動をし始めた………………
あの後、店員に呼ばれ、注意を受けてから席で事情を聞いているのだが…………
「はぁ……………それで?」
「その後、怪しいと思って、ウェンディに飲んでみろって言ってみたんだよ。んで飲んだらあんなことに…………」
要するに全てはウェンディが悪いってことだな。
コイツ、覚悟しとけって言ったのに更にまたやらかすとは………
「はぁ…………いたずら位俺もやった覚えがあるがやりすぎだろ……………一体何を、どのくらい入れたんだ?」
「コッ……プの半分…………タバスコっス………」
「コップ半分もタバスコを入れたのか!?」
やりすぎだろうが!!限度を考えろよ!!
「うう………ケーキが、ぐすっ…………味がしないよ………ヒック…………ウェンディのバカ、うえええええええええん!!」
マジ泣きしてしまったセイン。
一番とばっちり食らったのはセインだからな…………
「セイン、今度また翠屋に連れていってやるから今回は我慢してくれ。それでも納得できなかったらどこかに連れていってやるから…………」
「ぐすっ、でも……………」
「セインはお姉さんだろ?お姉さんは我侭言わないものだぜ」
「…………分かった………でもちゃんと連れていってね」
「ああ、約束する」
これで少しは機嫌が良くなればいいけど…………
「取り敢えず追い出されずに済みましたから食事を続けましょう。ウェンディ、帰ったら覚悟してて下さい」
「高確率…………で……死ぬと………思うっス………」
「大丈夫です、殺しはしませんから…………」
殺しはしないって…………
俺、やっぱり参加するの止めよう………
星の黒いオーラが禍々しくなってきた。
「2人共、ああなった星には何を言っても無駄だからとばっちりを食わないようにしなきゃダメだよ」
チキンカレーを食べていたスプーンを置いてチビッ子二人に注意するライ。
「分かったよ、ライお姉ちゃん………」
「私も…………」
顔を青ざめながらライの言葉に頷くチビッ子2人。
「さて、次は何を食べるか…………」
「夜美、星を何とかしなくていいのか!?」
立ち上がろうとする夜美の腕を持ち、慌てた様子で言うディエチ。
「あれは仕方がない。星の発作みたいなものだ、自然に収まる」
「だけど…………」
「俺からも言っとく。余計な首を突っ込むと自分もとばっちりを食らうからやめたほうがいい」
俺にも言われ、ディエチはそれ以上何も言わなくなった。
「まあ気にせず食べろよ」
しかし、星の禍々しいオーラは家に帰る時まで収まらず、気まずい夕食になってしまった。
ただしその中で、夜美とライと俺は普段通り食事をしていたのだった…………
「さあ、着きました。ウェンディ、早速オハナシです。今日は長めで行きますよ…………」
「だ、誰か助け……………」
家に帰ると直ぐに、星の手刀がウェンディの首に当たり、意識を失うウェンディ。
「レイ、すみませんが、後の家事を頼みますね…………」
「ああ、本当は俺もしたかったんだが…………」
「レイの分も私がしっかりオハナシしておきますよ…………」
ニヤリと笑いながら、星はウェンディを引きずり、自分の部屋に入っていった。
「さて、先ずは買った物を整理するところから始めるか」
「お、お兄ちゃん、本当に止めなくてよかったんですか?」
「いいんだよ。今日のウェンディはやりすぎだ、少しは地獄を見たほうが良い」
「そうだな、これにこりて少しは私達の事を姉と思ってくれればいいけど…………」
「本当だよ!!」
セインは泣いた後は怒りがこみ上げてきたらしく、星に「全力でお願い!!」って頼んでいた。
恐らく今日はかなり長いオハナシになるだろう…………
果たして、管理局の魔王の心を折った全力のオハナシを受けてウェンディはどうなるかな?
「先ずは、キャロとルーの買った物を整理するか」
「私もやります」
「ルーも」
「ねえ、みんなでリズムパーティやろうよ」
「いいね、やろう!」
「ディエチはやめておいた方がいいぜ………リズム感が無いディエチがやったら悲惨になるからな」
「ノーヴェ、それは宣戦布告ととっていいのか?」
「夜美もやるでしょ?」
「そうだな我もやろうか………」
星がウェンディをオハナシしている間、他の人たちはそれぞれ自分の時間を楽しんだのだった………
次の日………………
「皆さん、昨日は誠に申し訳ありませんでした…………これからはお姉さまの事を大事にして日々精進していきたいと思います」
「「「「「「「「誰!?」」」」」」」」
その日だけ、ウェンディがお嬢様モードになった。
ページ上へ戻る