| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

モンスターがスライムしかいない世界で勇者目指す

作者:佐藤春
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

大恥

俺と春夏は速足で歩く。
真夏の為か、汗がだらだらになったもののすぐに鍛冶屋についた。

「はぁー。疲れた」

「春人! 入るぞ!」

「ああ!」

扉を開く。
熱風が俺たちに向かって吹いてくる。
二度目なので慣れた俺たちは受付の人の前へと行く。

「お待ちしていましたよ。ではこれをどうぞ」

「ありがとうございます!」

「また来てくださいね」

「はい! また来ます!」
俺は短剣と片手剣を持ち、春夏は両手剣を持ってここを出て、そこまで遠くないギルドへクエストを受けるために入る。

「いらっしゃいませ。ギルド登録でしたらあちらへ、クエストでしたらあちらへどうぞ!」
赤髪の女性が接客をしてくれるがこれで二回目だ。

これでここに来たの二回目なんですけど。
なんて言って、すいません! いつ来ていましたっけ?
なんて聞かれたら赤面になること間違いなしだ。
なので、にこやかに笑い返してクエストボードへと向かう。

「え~。どれ受ければいいんだ……?」

一応クエストボードは難易度で分かれている。
☆1~☆10のものまで。

大体初心者が受けるクエストは☆1~☆2。
慣れてきたら☆3~☆5。
そこそこレベルが上がってきたら☆6~☆8。
といったところだろうか……。

☆9と☆10は経歴なんて関係ない。
いくら冒険者をやっている歴が長かったって、才能がなければだめということだ。

なので☆9や☆10を受けられるような強い冒険者は少なく、その分クエスト数も少なく、それほど強いやつもあまり見かけない。
というか見かけたらワンパンで死ぬだろう。
まあ大抵の人は目が合った瞬間ショック死でもすると思う。
それほど危険なスライムなのだ。

本題に戻るが、俺らの今の現状での適正クエストは、初心者が必ず通る道といわれている定番のスライムを倒すのが妥当だと思う。

「まあ、最初はこれだよな。えーと……。村付近に現れた水と木スライム討伐だってさ。二属性しかいないみたいだしこれ受けようぜ!」

「そうだな! それにしよう!」
たぶん俺らは今興奮しているんだろう。
だって初めてスライムを倒すんだしな!

普通スライム討伐といえば、三属性のスライムの炎、水、木が定番なんだがこれは二属性だしお得だ。
受付口に行ってクエストを受注する。

「よし! いこうぜ!」

「え……。でも……」

「なんだよ……」

「防具汚れ……」

「防具……おい!」
俺は春夏の頭を軽めにたたきツッコミを入れる。

結構声が大きかったせいか、ギルド内に響き渡る。
「「――――すいません!――――」」
大声でともに謝って全速力で走って外に出る。

「はぁはぁ……」
大恥をかいて俺らの初めてのクエストは始まった。 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧