モンスターがスライムしかいない世界で勇者目指す
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興奮
大通りを抜けて、防具屋に入る。
大通りの防具屋さんなどは少し高いので、わざわざ少し離れている防具屋へと向かう。
わくわくする気持ちはわかるが、春夏が、あまりにも興奮しすぎている。
「なんでそんなに興奮してんの?」
「え……えへぇ」
「ちょ……キモイよ……」
「いや……実は、防具フェチなんだ……。……見ているだけで興奮するぞ――――!」
「いや、……なんだそれ。まあいっか」
はっきり言って、周りから少し変な目で見られている。おれも惨憺さんたんたる答えに俺は軽くスルーする。
そんなこんなで防具屋につき中に入る。
「いらっしゃい!」
目の前には上半身の防具や、下半身の防具などがそれぞれ違う棚に置いてある。
基本的に戦闘に必要なものは、頭・手・体・足だ。
俺は冒険者のため、軽そうなローブを買うことにする。
一個一個買うのも面倒だなと思った俺は一式の防具置き場に向かう。
そこには、一式10000セントのものがある。
手に取ってみてみるがなかなか軽いし、素材もいい。
対象職業も、冒険者と書いてあるため俺はこれにしようと思い会計に向かう。
だが、そこで俺はよからぬものを見てしまう。
「――――ウォフォー!ちょっと舐めちゃおうかなー……」
「お前は何してんだよ! 」
「――うわっ! びっくりさせないでよ」
「いや、お前が言うな。そういうのは買ってからにしろ」
今ここでやられると困るのでとりあえず買ってからやれといったものの、その行為自体がおかしいはずなのに何故俺はそれを否定しなかったのかが少し疑問に思う。
きもいやめろ! ていったってやめないっていうことがわかっていたからであろう。
とりあえず二人揃ってレジに行く。
春夏は職業が戦士のため、重そうな鉄の装備を買っていた。
俺にも戦士に憧れていた時期があった。だが冒険者を選んだことには意味がある。
まず戦士の利点としては、防御力共に攻撃力が高く、主に前衛職だ。
欠点といえば、魔法を使えないなどのことだ。
冒険者は、他の職業よりもレベルが上がるのが遅く、すべて平均的にステータスの値が伸びていくが、伸びしろがあまりない。
だが、魔法を覚えようと思えば覚えられるし、回復魔法だって覚えられる。
だが適正職業スキルではないためその分スキルポイントは使う。
これを聞いてごみだカスだの言うやつがいると思うが、簡単に言っちゃえば、冒険者は万能だ。
それなりに使いこなせば何にだってなれるということだ。
また、冒険者には唯一最強になれるかもしれないスキルがある。
皆はそれを『個人スキル』という。
その名の通り、この世に一つしかない自分だけのスキルだ。
冒険者の人になら誰にだって覚えられるスキルというわけではない。
それを覚えた冒険者はごく稀だ。
滅多にいない。
このような利点があるのだが、個人スキルが発生するのは希少だという事に皆は、『どうせこんなの発生しねーよ』などと言っているのだろう。
だが、その個人スキルに憧れた俺は戦士などという一番定番な職業をやめて、不人気な冒険者を選んだ。
ギャンブルと同じで、ごく稀と言われているにもかかわらず俺はその『ごく稀』に入れるのではないかと思っている。
だが、職業が職業なためパーティーを組めるかどうかもわからなかったが、ひとまずこいつがいて安心した。
ちょっと頭おかしいけど、パーティーを組めるだけでも幸せだろう。
「明日から、クエスト受けに行かないか? 春夏」
「嫌だ! この防具をあの汚らわしいヌメヌメで汚されたくはない!」
「はぁー! なんでよ!」
「いいじゃねーか!」
「仕方ないわねぇ……」
そんなこんなで俺らの防具選びは終わったのだが……。
「「―――武器買うの忘れたわ―――」」
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