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詩集「棘」

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世界はモノクロのステンドグラス



夕の迫る公園…
木々のざわめきは静かで
波打ち際の浜のよう…

憂いた空は陰り
心を満たす色はない…
安らぐ時さえない今を
乗り越える術は見付からず…

世界はモノクロのステンドグラス
逢えない君に語りかける…
くすんだ硝子を打ち壊し
この足で歩み行けたなら
また…君に逢えますか…?


時を止めた箱庭…
手探りで探す未来
希望は疾うに消え去って…

淡き霧に惑う
道標さえ見付からない…
歩む途に影もなく
彷徨い…喘ぎ…疲れ果て…

世界はモノクロのステンドグラス
緑も虚しく項垂れる…
祈りて待つも日は暮れて
現の闇へと呑まれたら…
もう…君に逢えない…?


全ては流れゆくだけの事象
生も死も繰り返す幻
なのに…こんなにも辛く…苦しい…
ねぇ…どうして…?

世界はモノクロのステンドグラス
不意に罅割れ砕け散る
想いは届かず夢に泣く…
移ろう景色に沈みゆけば
きっと…君にも忘れられ…

世界はモノクロのステンドグラス
逢えない君に語りかける…
くすんだ硝子を打ち壊し
この足で歩み行けたなら
また…君に逢えますか…?


 
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