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ハイスクールD×D 異界黙示録の機晶神

作者: 革命者
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第五章:冥界合宿のヘルキャット/導き手のスレイヴ
  Change7:それぞれの修行~Still crying cat tears~

さて…俺―――兵藤一誠は今考えていた。

高校二年生の夏…いや夏休み、本来なら今年こそ彼女を作って青春を謳歌するはずだった。

それに松田や元浜と紳士の交流会や色々馬鹿をやって楽しむはずだった。

まあ、敵がかなり強く修行しないといけないのはばかな俺でも十分にわかっている。


だがな――――。


―――バガォォォォォン!!


俺はすんでのところで特大の火炎弾をよけその火炎弾が落ちたであろうところは完全に以前の自然の景観が消えていた。

『修行にも限度があるだろうがぁぁぁぁぁぁ!!!』

俺は『禁 手(バランスブレイカー)』の状態のままタンニーンさんの攻撃を避けたりしていた。

「ほう…手加減しているとはいえ俺相手にここまで持つとはな。さすが今代の赤龍帝だ」

俺は今巨大な龍王と絶賛スパーリング中です。


いや…少し語弊がありました。


なぜならですね――――。


「攻撃を避けてるばかりじゃ話にならんぞ?イッセー」

「そうだよ、私たちに反撃ぐらいわしないとね!!」


そう…龍王+テュールさんと羽衣もいました。

「ほら…行くぞイッセー」

羽衣が不可視の鎌を俺に放ってくる。

俺はすかさず背部のブースターで寸でのところでよける。

「ほらほら、休憩する時間は与えないよ!!」

そして追い打ちをかけるように無数の雷のミサイルを放ってきた。

「やべぇ!! こうなったら新技!!『放射の龍弾(イミッション・ドラゴンショット)』ッ!!』

俺は前々から開発していた新技のドラゴンショットの派生技で、テュールさんの雷のミサイルを何とかやり過ごす。

この技は敵が圧倒的な密度の弾幕を張ってきたときにその弾幕を打ち消すためにドラゴンショットを放射状にしたもの。

これ以外にもまだバリエーションはたくさんあるが、今はいいだろう。


正直これが現在五日目の修行です…。

なんか泣きたくなるけど、これぐらい死ぬ気でやらないと今の自分より見強くなれないと思ってしまっている自分もいる。

シンから伝えられたこの修行の意味は三つある。

まずは基礎的な身体能力の強化。

これは俺の『禁手』の持続時間を延ばすためのものであり今後成長していくうえで新しい力に目覚めたときに、ある程度その力に対応できるようにするためらしい。


二つ目は、俺の戦闘経験の蓄積。

俺はオカ研やシンやテュールさん、羽衣などに対して戦闘経験が圧倒的に不足している。

正直、いくら強い力を習得しても戦闘経験がないんじゃ宝の持ち腐れと言っていた。


最後の三つめは俺の新たな進化の可能性を見出す。

シンはどうやら従来の歴代の赤龍の進化よりも俺にはまた違った進化の可能性があるらしい。

だがこのことに関しては俺はよくわからなかった。

ただ、シンは…『自分が強く思っているイメージを自分自身で体現しようとすればいい』と言っていた。


それにしてもいまだに俺は逃げてばかりじゃだめだ…。

何とか反撃しないと…。

こうなれば新技をもう二つ一気に披露しますか!!

『『散弾の龍弾(スプレッド・ドラゴンショット)』ッ!!』

俺は右手にためたエネルギーを散弾の様な形で発射する。

「そのようなもの俺には効かんぞ!」

タンニーンさんは俺が放った『散弾の龍弾』を容易に弾く。

だが…俺の狙いはそこじゃねえんだよ!!

俺はタンニーンだんのほうに近づき―――。

『喰らえ本命!!『閃光の龍弾(スタン・ドラゴンショット)』ッ!!』

俺はふたたび右手にためたエネルギーを貯めそれを閃光弾のようにはじけさせる。

「グッ…!?視界が……」

よっしゃ!ひるんだぜ!!

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

俺はタンニーンさんの視界を奪い渾身のストレートをかます。

『オラァッ!!』

「グッ……グ、グオ……」

俺の一撃が効いたのか苦悶の声を上げるタンニーンさん。

よっしゃ!!反撃成功だぜ!!


だが―――。


「タンニーンさんばかりに気おとられるのは良くないよイッセー?」

「妾たちもいることを忘れるでないぞ?」


背後からテュールさんと羽衣の声が聞こえ振り返る瞬間…。

『アガガガガガガッ!!??』


―――ドゴォォォォォン


電撃と強烈な打撃を喰らい地面に吹っ飛ばされた。

や、やばい…いくら『禁手』の鎧を纏っているとはいえかなり痛い…。

『龍王とあの二人を相手にしている相棒のほうがやばいと思うが…』

うっせー!!

修行は修行だ!!だが正直俺…こんなことやってよく生きているな…。

しかし、こうも実戦に近い修行だと自分が作った技がどこで有利になるかがわかりやすいな。

それにだんだんと『禁手』の扱い方もわかってきたしいい感じだな。

だけどシンが修行の意味で三つ目の新たな進化の可能性を見出すってのがいまいちつかめないでいるけどな。

『それもそうだろう。古今東西、どのような生物でも自分に眠っている可能性などはそう簡単に見つけられるものではない。それゆえに奴が言っていたことは強力なのだ』

まあ、それなら自身とちゃんと向き合っていくしかないか。

「赤龍帝の小僧?もうギブアップか?」

タンニーンさん、テュールさん、羽衣が上空から見下ろしてくる。

まあ、まだ体力もあるし頑張るか。

俺は反動をつけながら状態を起こしふたたび立つ。

『いや、まだまだだ!!よろしく頼みます!!』

俺は背中のブースターを吹かしながら再び一体と二人に突貫していった。







―○●●●●○―







それから数時間たった。

『も、もう…ダメ…動けない……』

「だ、大丈夫?イッセー…」

「す、すまないのう…」

『禁手』は解けていないがなぜか体が言うことを聞かなかった。

てか、あれだけ電撃や打撃を喰らいまくれば正直スタミナよりも体力が削られる。

「ここまでやるとはな…ここまでガッツがあるとは驚きだな」

『あ、ありがとうございます…』

俺は『禁手』を解きながら倒れている状態から地面に座る。

「おー、やってる……って、どうやったらこうなるんだよ…」

すると近くの木陰からアザゼル先生が姿を現した。

確かアザゼル先生はみんなの修行経過を見ていることになっていたな。

「アザゼル先生じゃないですか。俺の修行経過を見に来たんですか?」

「そういう事だ。それと差し入れを持ってきたんだがどうしたらこんな惨状ができるんだ」

先生は周囲を見渡して苦笑いしながら言う。

俺も周囲を見回してみると、以前の自然あふれる山々の面影はなくなりあちらこちらにクレーターができており山もまるで巨大なスプーンにでもえぐられたかのように三個ほどなくなっていた。

ッて、いつの間にこうなっていたのかよ…。

あとでグレモリーの土地関係の人に怒られないかな…。

まあ、おそらく部長がなんとか融通を利かせてくれるだろう。

するとタンニーンさんが口を開いた。

「そろそろ、休憩にしたらどうだ?頑張るのもいいが、休息するのも修行のうちだぞ?」

「そうさせてもらいます…ていうか、今の俺に戦うほどの気力はもう残っていませんよ…イタタッ……」

「そうじゃのう…。それに妾も腹が減ったしな」

「私もおなかすいたかも」

そして俺は休むことにした。







―○●●●●○―






「うみゃい!!うまいぜ‼‼」

俺はアザゼル先生の差し入れを食べていた。

「おまえが食ってるやつがリアス、そしてこれが朱乃、そしてこれがアーシアだ。しっかり食ってやれよ。特にリアスと朱乃は火花散らしながら作ってたからな」

「もちろんっすよ‼」

修行の間はシンから自給自足の生活って制限があったからみんなの手料理はありがたいぜ!!

しかも部長たちが作ってくれた料理、まずいわけがないぜ!!

この時だけは修行してもよかったと思うぜ。

「それにしてもよく龍王やあの二人相手にして未だに無事なのはすごいぜ。もしかしたらそこらへんで伸びているのかと思ったぜ」

先生は俺の肩を叩いて言う。

「それを言わないでくださいよ…。正直シン乃修行は良くやっていたつもりですが、正直ここまでナイン度がカンストしていると何度も帰りたいと思ったことかわかりませんよ……」

特にタンニーンさんの火炎弾なんて恐ろしくてたまったもんじゃないぜ…。

「まあ、そう思うのが当然だろうよ。何せタンニーンが吐く火炎は隕石の衝突に匹敵するからな!」

え…その情報今更感半端ないんですけど……。

俺ってもしかしてとんでもないドラゴンとあの二人と相手していったのか!?

今更あの一体と二人を相手にしていて無事な俺をほめたいぜ…。

「確かに、我とあの小娘二人を相手にしているお前の実力はかなりのものだぞ?」

貴方はそうほめてくれるけどみんな手加減しているからでしょう…。

あなた方が本気になったら俺は数秒でチリになっていますから……。

「それでシンの課題は直着とこなせているか?」

「まぁ~…『禁手』の持続時間と戦闘経験の蓄積は手ごたえありって感じですけど、最後の新たな進化の可能性を見出すってのがいまいち掴めないんですよね…」

「そうか…まあ、発表を聴いたときは俺も驚いたぜ。まさか未来を見越した基礎能力の強化にお前らグレモリー眷属の新しい力の可能性まで見出すことも考えているなんてな」

「そうですね…。正直同年代とは思えないほどのすごさですよ」

正直まだシンに関しては不明なことが多すぎる。

なんでそんなに強いのか…家族はどうしたのか…様々なところに関してシンの出生や生い立ちは謎のままだ。

だけどここまで俺たちにしっかりと向き合ってくれるのはうれしい。

それと会談の時、今代の白龍皇、ヴァーリ・ルシファー斗初めて戦った時…。正直何とか退ける…いや運よく引いてくれたがまだあいつは実力を隠していた。

確か美猴ってやつに連れ去られる寸前まで何か唱えていたな…。

一体あれは……。

『あれは『覇龍』正確には『覇 龍(ジャガーノート・ドライブ)』というものだ』

するとドライグが話しかけてきた。

ジャガーノート・ドライブ?いかにも危険そうな名前だな…。

『ああ、危険だ。あれは一時的に神や魔王を超える力を得る力を持っている…。だが―――』

するとアザゼル先生が話しに割り込む。

「『覇龍』を使う代償として所有者の命を削るんだ。しかもそれを使った本人は自我をなくし自身の命が枯れ果てるか、別の介入者によって殺されるまで破壊と蹂躙を続ける危険な代物だ」

「でもヴァーリはそんな危険なものを発動しようとしていたんですか?自分の命が危険にさらされるのに?」

「ああ、あいつは自身が持つ膨大な魔力を命の代わりとすることで『覇龍』を使える。使用時間はその時の具合によっても変わるが、最後にあいつが言っていた証言だと大体数十分程度だったな」

そうなのか…。

もしあの時使われていたなら俺は今頃ここには居なかっただろう。

恐らくシンもあの時以上の致命傷を負っていたかもしれない。

もしもシンでも危なくなった場合は…。

『相棒、お前の強くなりたい気持ちはわかる。だがあれは―――『覇 龍(ジャガーノート・ドライブ)』だけは使わないでくれ。相棒には『覇龍』を使ってほしくないんだ…』

「なーに。そんな危なっかしい力こっちから願い下げだぜ。それに俺はそんな力に頼る気はないし、シンと肩を並べるまでのパワーアップは自分自身の力でなきゃ意味ないしな」

『相棒…』

「それでこそイッセーだな!!まあ、お前自身のパワーアップ期待しているぜ」

「そうじゃ。イッセーは真っすぐがイッセーらしいからのう」

「そうだよ!!だから私たちに追いつけるように頑張ってね、イッセー!!」

今思うが俺ってみんなに…仲間に恵まれているよな…。

だからこそ俺はみんなを守れるような強い男に変わって見せるぜ!!

「それでだな…話は変わるんだが、おまえ、朱乃のことはどう思う?」

本当に急に変えてきたな…。

朱乃さんか…。

「優しく良い先輩だと思います!!」

「そうじゃない。異性として…一人の女性としてとしてだ」

「とても魅力的で、彼女にしたい一人です!」

まあ、時にSの時の朱乃さんは怖いけど皆に明るくふるまう朱乃さんはいい女性だぜ!!

「良い答えだ。俺はなダチの代わりにあいつを見守らなければならないんだ」

先生のダチ?

ああ、もしかして―――。

「バラキエルさんって人のことですか?」

「そうだ。バラキエルのやつは俺とシェムハザと同じ大昔からの親友でな。天使だった若い頃は一緒にバカをやってよく聖書の神に怒られたもんだぜ」

先生たちにもそんな時代があったのか…。

てか堕天使になる前からそんなことしていたんですか…。

もしかしたら先生が堕天した理由て案外軽いものかもな…。

「まあ、そういうわけで俺は奴ぼたった一人の家族の朱乃のことが気になるのさ。あの親子にとっては余計なお世話だろうがな」

「なんか先生って世話好きですよね。シンと同じ」

「暇なだけだよ。それにシンのほうは世話好きってよりもオカンだろ」

シンがオカン…やべ当てはまる点しかないぜ。

「まあ、とにかく朱乃のことはイッセーお前に任せるからよろしくな」

「任せるといわれましても…」

う~ん。

戦闘の時になった守れ?かな……。

「おまえはバカだが、悪い男じゃない。誰とか種族や出生関係なく分け隔てなく接してくれそうだ」

「なんか先生が言いたいことがよくわからないんですが?」

「それでいんだよ。お前ならあの親子の関係をどうにかできるって信じてるぜ」

「なんかよくわかりませんが、頑張ります!!」

まあ、いつものように頑張っていくしかないか!!

「まあ、朱乃に関してはこれでいいが……」

すると先生が考え込んでしまった。

ほかの皆に何かあったのだろうか?

「先生ほかの皆に何かあったんですか?」

「まあな。木場、ゼノヴィア、アーシア、リアス、ギャスパーに関しては問題ないんだがな…小猫が少し問題でな……」

「小猫ちゃん?小猫ちゃんがどうかしたんですか?」

先生がため息をつきながら答える。

「どうにも焦っているみたいだ。どうやらシンの言葉と周りの成長で過度に修行メニューに取り組みすぎてしまってな。今朝、倒れた。完全なオーバーワークだ」

「倒れた!?」

後輩の悪い知らせに俺は驚いた。

しかも、オーバーワークって。

一体どこまで自分を追い詰めたんだよ…小猫ちゃん。

「怪我に関してはアーシアがなしたが体力まではどうにもならなくてな。とりあえずシンが今、小猫を診ている」

そこまで…。

だけど今の俺が小猫ちゃんのところに行ったところで何も変わらない。

どうすれば…。

「とりあえず一度修行を中断してグレモリー家に戻るぞ。二人に連れ戻すように言われているからな」

「連れ戻す?二人?一体誰なんですか…」

「シンとリアスの母上だ」

意外な二人から俺は呼び出されたようだ。






―○●●●●○―






「さて、少し休みましょうか」

さて俺は修行を一時中断して部長のお母さんとさっきまで社交ダンスンを練習をしていた。

なぜかいきなり部長の実家に来たら部長のお母さんがいて会うなり、案内されて、そのまま社交ダンスの練習をさせられた。

正直いきなりのことで練習に身が入らなかったが今はしっかりと練習している。

「あの~すみません……」

「何かしら?」

「どうして俺だけなんですか?木場とギャスパーは?」

あの勉強会から疑問だったが、このダンスレッスンもそうだ。

社交界のマナーを教え込むならあの二人もいるじゃないか。

「祐斗さんは既にこの手の技術は身に付けています。ギャスパーさんも吸血鬼の名家の出身だけあって、一応の作法は知っています。問題は人間界の平民の出である一誠さんです。まあ最初のほうは少しダメな点がちらほら出ましたが今ではだいぶできています」

どうやら部長に迷惑は掛からないようだな。

だけど練習中も修行中もずっと俺には引っかかっていたところがある。

どうせなら聞いてみよう。

「すみませんヴェネラナさん。し越し聞きたいことがあるんですがいいですか?」

「ええ、私で答えられる範囲でしたらいいですよ」

「シンが修行の説明に入る時に、朱乃さんと小猫ちゃんを叩いたときにシンが言っていたことが引っかかるんです『フェニックス戦の時自分自身の力を出さずにあの結果を招いた』ってことがひかかったんです。朱乃さんに関しては以前本人から聞いたのですが小猫ちゃんは一体何を…自分の力を何で封印しているんですか?」

俺の質問に対しヴェネラナさんは軽く息を吐き。俺の隣に座り語りだした。

「少し昔の時、白色と黒色の猫の姉妹がいました」





―○●●●●○―





ある昔…。親がいない二人の猫の姉妹は一生懸命に生きていました。

寝るときも、食べるときも、遊ぶ時も一緒で生活は苦しいながらも幸せな生活を送っていました。

そこでそのしまいに転機が訪れたました。

ある日、二人の姉妹はとある上級悪魔に拾われることになりました。

姉はその悪魔に条件をいわれその悪魔の眷属となることで、姉妹はまともな生活を送れる条件を出してきました。

当然姉は妹の居合わせを優先し眷属となり姉妹はまともな生活を送れるようになり、幸せな日々を過ごしていった。

しかしその生活は長くは続かなかった。

ある日、転生悪魔となった姉猫は秘められていた力が一気に溢れだし、急速な成長を遂げ、ついには主である悪魔をも超える力を持ちました。

さらにその猫は妖術に長けた妖怪で、さらには仙人のみが扱える『仙術』も扱えるようになりました。

そしてその姉猫は力にのまれそのまま主である悪魔を殺害して今しました。

そしてそのまま姉猫は行方をくらましはぐれ悪魔のレッテルを張られることになりました。

はぐれ悪魔の殲滅部隊は『はぐれ』となった姉猫を追居ましたが、ことごとく返り討ちにあい、壊滅してしまいました。

これを知った悪魔達はその姉猫の追撃を一旦取り止めたという。



そして悪魔の上層部はこの責任を妹猫に押し付けるかのように―――。

『妹も姉と同じように暴走するに違いない。今のうちに始末した方が賢明』だと。





―○●●●●○―




「私が知る話は以上です」

話しを聞く限りおそらく白猫が小猫ちゃん…そして黒猫が小猫ちゃんのお姉さんなんだろう。

だけどこの半紙を聴く限り引っかかる点がある。

「だけど白猫…昔の小猫ちゃんには罪はないですよね?」

「そうです。ですが上級悪魔の上層部は何とか功績を立てようと妹猫殺害に移ったのでしょう。ですがあなたが言ったようにサーゼクスが妹には罪は無いと、悪魔の上層部の面々を説得したのです。そして、サーゼクスが監視することで処分は免れました」

「だけど昔の小猫ちゃんが負った心の傷は……」

「ええ、かなり大きいものとなっています。ですから、サーゼクスは笑顔と生きる喜びをその妹猫与えてやってほしい、と妹猫をリアスに預けたのです。妹猫はリアスと接していくうちに少しずつ心を開いていったのです。そして、リアスはその猫に名を与えたのです。今あなたがその名前を言った通り―――小猫と」

そうか…だからあの時はシンは『フェニックス戦の時自分自身の力を出さずにあの結果を招いた』と言っていたのか…。

「そして彼女…塔上小猫の正体は猫の妖怪、猫又。その中でも最強の種族、猫魈の生き残りです」

妖怪…か。

だけどあんな辛い小猫ちゃんの過去をを知ってなんでシンはあんなことを…。

「ですがなんでシンはあの時小猫ちゃんの辛い過去を知ってあんなことを…」

「まあ、彼はおそらくただの罰として叩いたわけではないでしょう。おそらく言葉の内容を察するに彼にも何か力の出し惜しみに関しての辛い過去があったのでしょう」

なんだかよくわかんなくなってきたな。

だけど俺が今すべきことは…。



小猫ちゃんと話すことだ。






―○●●●●○―






俺―――神無月進は現在グレモリー邸の病室にいた。

理由は俺が与えた修行のメニューに対して小猫が基礎能力向上のメニュー向上に対して過度に取り組みすぎて体調を崩したからだ。

正直俺は小猫の潜在能力…いや、生れ持った妖怪の本質、猫魈の力を引き出す手目に与えたメニューだ。

それを証明するかのように寝ている小猫の頭部に猫耳が生えている。

だが小猫の修行経過を見てみれば、すべて基礎能力の向上メニューしかやっていなかった。

俺はアザゼルの資料やヴェネラナさんとリアス部長から小猫の過去については聞いている。

確かにあんな過去があったとしても本人が今のままじゃダメなことはわかっている。

だが―――。

「……何をしに来たんですか」

どうやら本人がお目覚めのようだ。

「何って…お前が俺が与えたメニューに対して過度に取り組み倒れたと聞いてな。お前のバイタルを見に来ただけだ」

まあ、アーシアの治療と此処の設備が整ったお陰でもう心配はないが…。

「ひとつ聞く…なんで基礎能力向上に過度に取り組み、そして俺が与えた二つ目の潜在能力の引き出す修行に関してはやらなかった…」

「……なりたいんです」

「ん?」

俺がもう一度質問すると目に涙を溜めながら、ハッキリとした口調で言った。

「強くなりたいんです……裕斗先輩やゼノヴィア先輩、イッセー先輩、朱乃さん…そしてシン先輩のように精神も体も強くなりたいんです。ギャーくんも強くなってきています。アーシア先輩のように回復の力もありません……。このままでは眷属の中で私が役立たずになってしまいます。リアス部長の『戦車(ルーク)』なのに…私がお役に立てないのは嫌なんです……」

「……………」

「だけど…自分に眠る力を…猫又の力を使いたくないんです……。使えばお姉さまのようになってしまいそうで怖いんです…あんなのはもう嫌……」

普段感情を表に出さない小猫がここまで感情を出すとはな……。

だが、俺は―――。

―――甘くない。

「それなら尚更だ。自分自身が強くなりたいなら自分自身の力を受け入れないといけない。誰にだってトラウマはある…そう誰にも……。だがなどんな奴でもそれは必ず克服しなければならないことだ。それに無理な修行をしても自身の将来を奪うだけだ。そして小猫…お前自身お前の姉のようになると誰が一体決めつけたんだ?そして最後に頼れるのは結局自分自身なんだぞ?」

「…あなたに何が分かるんですか?」

俺の答えに小猫が睨む。

「シン先輩に何がわかるんですか!シン先輩は心も体も強いらそんなことが言えるんです!!……あなたは強いから……弱い私の気持なんてなんて分からない!」

「小猫ちゃん…」

「……イッセー先輩」

どうやらイッセーが来てくれたようだな。

それと朱乃さんとリアス部長も来てくれたようだ。

それなら……。

俺は座っている椅子から立ち上がり部屋を出ていこうとする、

「シン…どこに……」

「イッセー、あとはお前に任せた。おれでは小猫と話すとどうしても平行線になってしまうからな。あとは小猫のことを任せたぞ」

そして俺は病室から出ていく瞬間、小猫に一言告げた。

「小猫いいか……最初から心も体も強い奴なっていないんだよ…それに俺はお前が単にうじうじしているからあの時叩いたわけじゃない。ただお前の迷いで周りに…お前自身の恩人に迷惑をかけたから俺はああしたんだ……」

そして俺は病室を出ていった。


 
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