レーヴァティン
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第十四話 森を進みその十一
「その水を沸騰させてから飲もうな」
「ちゃんとそこで沸騰させるのがいいな」
「当たり前だろ、やっぱりな」
久志は智に真剣な顔で言った。
「生水は色々と身体に悪いからな」
「雑菌の集まりでな」
「だからな」
それでというのだ。
「俺もこの世界に来てから気をつけてるんだよ」
「水のこともか」
「ああ」
その通りだというのだ。
「俺もな」
「それはいいな」
「さもないとな」
「死ぬからな」
「ああ、下手をしたらな」
水にあたってだ。
「歴史的に結構生水飲んで死んだ人が多いしな」
「はい、欧州の歴史を読んでいますと」
順一も話してきた。
「スポーツの後冷えた生水を飲んで急死したという例もあります」
「あたったのか、やっぱり」
「毒殺の可能性もありますが」
その死んだ者がそうしたことをされる様な立場ならだ、ハプスブルク家からスペイン王家に嫁いだフィリップ美公が順一が言ったままの死に方をしたが彼の場合は王子という政治に関わる立場故の毒殺かも知れない。
「しかしです」
「生水にあたった可能性もか」
「やはりあります」
「生水は危険か」
「ですからあなたがそうして生水を飲まれないことはです」
必ず沸騰させた後の水を飲んでいることはというのだ。
「よいことです、特にお湯よりもお茶を飲んでおられますね」
「それはな」
「ビタミンの摂取ですね」
「ああ、それも考えてな」
それでというのだ。
「お茶の方をよく飲んでるんだよ」
「やはりそうですか」
「俺もな」
「それもです」
「いいことだよな」
「はい」
順一は久志のそのやり方、つまり茶を飲むことをよしとした。
「お湯よりです」
「お茶の方がいいな」
「ビタミンのこと、それに味もです」
「そうそう、お湯ってな」
つまり白湯だとというのだ。
「どうにも味気がなくてな」
「だからですね」
「俺もなんだよ」
「お茶ですね」
「それを飲んでるんだよ」
実際にというのだ。
「そうしてるんだよ」
「いいことです、私もです」
「お茶好きか」
「はい、特に紅茶が」
「そっちのお茶か」
「そうです、緑茶も好きですが」
順一は久志にさらに話していった。
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