恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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527部分:第四十二話 于禁、事実を知るのことその三
第四十二話 于禁、事実を知るのことその三
「やはりな」
「甘いか」
「仮にも牧なのだからな。州全体を治めなくてはいけない」
「それでか」
「そうだ、それでだ」
これが趙雲の主張だった。
「幼いといってもだな。少なくとも曹操殿や袁紹殿はそうしている」
「あの御二人はそうだな」
「基本的に空白地を作ったりはしない」
あればすぐにそこに人をやって治めるのが彼女達なのだ。
「徐州はともかくとしてな」
「そういえばあそこは」
黄忠もその徐州について話す。
「袁紹さんや曹操さんだけでなく孫策さんの領域にも接してるけれど」
「それでも誰も進出しない」
「どうしてなのですか?」
ミナと月が黄忠に問うた。
「何故なのかしら」
「あそこだけは」
「三人共今はそこまで統治の手を進められないのだ」
趙雲がこう指摘した。
「袁紹殿は北の胡の対処に忙しく孫策殿も山越を平定したばかりだ」
「それに曹操殿はだ」
関羽は曹操について話した。
「牧となっている二州の統治に今は専念しておられるからか」
「それで結果としてね」
黄忠が話す。
「徐州には誰も今は進められないのよ」
「何進さんが言っても」
「そうなんですね」
「そういうことなの。色々と難しい事情があるのよ」
こう話すのだった。そしてだ。
門の橋のところに行く。するとだった。
「待て」
白い髪を基本的に短くして後ろ髪だけを伸ばして三つ編にしている小柄な少女が出て来た。強い光を放つ黒い目はやや鋭く身体中に傷がある。そして黒い服に半ズボンという格好だ。身体は引き締まっていて表情もだ。
その少女が出て来てだ。一行に声をかけてきたのだ。
「貴殿等は何者だ」
「私達ですか」
「見たところ山賊ではないようだが」
それは少女もわかることだった。
「それは何よりだ」
「それは見てわかるのか」
ここで言う関羽だった。
「我々が賊ではないのは」
「雰囲気でわかる」
少女は関羽に対して述べた。
「それはな。だが」
「だが?」
「一体何者なのだ」
それを問う彼女だった。
「賊ではないにしてもだ」
「私の名前でいいですか?」
劉備が言ってきた。
「それで」
「うむ、頼む」
「劉備といいます」
劉備は自分の名前を話した。
「字は玄徳といいます」
「劉備?」
少女はその名前にふと眉を動かした。その眉の色も白だ。
「若しかして貴女は」
「私のこと知ってるんですか」
「幽州での烏丸征伐での英雄か」
こう言うのだった。
「そうだな」
「あのことをですか」
「ここにも伝わっている」
そうだというのだ。
「そしてだ」
「そして?」
「貴女が劉備殿だとすると」
今度は関羽達を見る。そうして言うのだった。
「他の方々は」
「鈴々は張飛なのだ」
張飛が右手をあげて言ってきた。
「知っているのだ?」
「あの猛豚将軍か」
少女は彼女の仇名を話した。
「貴女がか」
「猛豚将軍?」
張飛はその呼び名に怪訝な顔になった。
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