戦姫絶唱シンフォギアAXZ ─全てはその歌のために─
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全ての始動
前書き
という訳で、ふんわりと始めてしまいました…。
生暖かい目で見守って頂けると、幸いです。
尚、この小説のOPとEDについては、やっぱり以下の曲でいきます。
OP → TESTAMENT ~水樹奈々~
(“戦姫絶唱シンフォギアAXZ” OP)
ED → FUTURISM ~高垣彩陽~
(“戦姫絶唱シンフォギアAXZ” ED)
では、始めます。
ドガアアアアアアンッ…!!!
鬱蒼とした森林地帯から響き渡る轟音…。南米の“反国連”を掲げる軍事政権国家“バルベルデ共和国”は、現在実質的な紛争状態にあった。ここ最近までは国連軍の攻勢よって小康状態になっていたのだが、軍事政権側が異形の存在──“ノイズ”を戦線に投入したことで、情勢が一気に“混迷化”してしまったのだ。しかし、そんな状況を打開すべく国連軍も“或る存在”を戦線に参加させた。その存在とは……
『接近車両をモニターで補足ッ! 敵は…シンフォギアですッ!!』
ノイズに対する唯一の対抗手段――“シンフォギア”である…。そして今その力を振るっているのは…3人の少女達だった…。
♪~♪~♪~♪~
そして今度は戦場に、激しくも美しい歌が響き渡る。いずれも成人に達していないであろう見た目の彼女達は、いずれも拳、剣、銃火器を以て軍隊やノイズを圧倒し始めた。銃弾や砲弾を受けても一切動じないその姿は…まさに“戦士”と呼ぶに相応しい…。そんな中、
「まさかいきなり来てすぐにこの光景だなんて…。正直ちょっと混乱してるんだけど…」
「…ああ…そうだな…」
その光景を“遥か数十キロ先の山岳部”から見ている者達がいた。1人は短い茶髪と眼鏡が特徴の温厚そうな青年。もう1人は短いオレンジ髪が目を引く若干不良っぽい青年である…。
「やっぱり複雑? あの3人…いや、あの“6人”がこうやって普通に戦場に立ってるのは…」
「…“何も感じねえ”…とでも言うと思うか?」
「思わないよ。そんな人間だったらすぐに“斬り捨ててる”し」
「…そうかよ…っ!」
ここでオレンジ髪の青年は何かに気付き、咄嗟に右手を突き出すような形で構えたかと思うと、
「破道ノ四、“白雷”ッ!」
指先から一条の青白い光線を放ったのだ。放たれた光線は光の如く凄まじい速度で進んでいき…“ある物体”に命中した…。
「早速“影響”が出てるみたいだね…」
「ああ…今のも“本来なら無かった”筈だ」
「でも、それを恐れてたら何も出来ない。その先に待ってるのは…」
「………」
「本当に嫌になるね、こういうの…」
そこから暫くは2人の間を沈黙が支配するが…何故か2人とも右手の拳を力一杯握り締めていた…。まるで何かに対して、言い様の無い“やるせなさ”を感じているかのように…。
「ねぇ、“一護”」
「…何だ?」
温厚そうな青年──奴良リクオは、不良っぽい青年──黒崎一護に対し、こう問い掛ける…。
「──、何でいないの…?」
「……俺が知るかよ」
その瞬間、今度は2人の間を言い様の無い“呆れた雰囲気”が支配し始めた。2人共今にも溜め息を吐きそうな様子である。
「まあ、いつものことだろ?」
「いや、それはなんだろうけど…一護も何となく感じてるでしょ?」
「…まあな…」
そして、2人は同時にこう呟いた…。
「「この上なく嫌な予感しかしねえ(しない)……」」
~~~~~~~~~~~~~
そんな2人の青年のやり取りから数時間後。同じバルベルデの中でも治安が安定している市街地の軍港に、一隻の最新鋭大型潜水艦が停泊していた。明らかに異質なこの潜水艦の正体は、国連直轄の頂上災害対策機動タスクフォース、“S・O・N・G”の仮設本部である。そして、その潜水艦の中に設置されているシャワールームでは現在、6人の少女達が汗を洗い流していた…。
「“S・O・N・G”が国連直轄の組織だとしても、本来であれば武力での干渉は許されない…」
「だが異端技術を行使する相手であれば、見過ごすわけにもいかないからな…」
「アルカノイズの軍事利用…!」
シャワーを浴びながら険しい表情で会話しているのは、ピンクのロングヘアーが目を引く少女――マリア・カデンツァヴナ・イヴ、青のロングヘアーが目を引く少女――風鳴翼、銀色のロングヘアーが目を引く少女――雪音クリスの3人である。その中でも、クリスは特に険しい雰囲気を漂わせていた・・。その一方で、
「“LiNKER”の数さえ十分に有れば、私達だってもっと…」
「ラスト一発の虎の子デス。そう簡単に使う訳には…」
そんなやり取りを交わしているのは、黒のロングヘアーが目を引く少女――月読調と、ショートカットの金髪が目を引く少女――暁切歌である。と、そこへ、
パシッ!
「デデデデッ…///!?」
「大丈夫だよ! 何かをするのに、LiNKERやギアが不可欠な訳じゃないんだよ!? さっきだって、ヘリを守ってくれた! ありがとう!!」
「な、何か照れくさいデスよ…////」
1人の少女がシャワー室から出てきた切歌の右手を両手で取りながら、彼女の目を真っ直ぐ見据えつつ語り掛けてきた。その少女の名は立花響。ベージュのショートカットが目を引く快活そうな少女である…。そして、そんな響の迷いのない行動に思わず切歌が顔を赤くしていると・・
「じーーーっ…」
「ッ///!! め、目のやり場に困るくらいデースッ…///!」
調がいつの間にか2人の横に来て、あからさまに切歌をジーッと見つめ始めていた。切歌はそんな彼女の行動に気付き、思わずそう口にする…。そう…ここまでの彼女達6人のやり取りは、彼女達が本来辿る出来事と何ら相違ないものだった。しかし次の瞬間…その行き先が一気に変わることになる…。
キィィィィィィンッ!!!
「えっ!!?」
「っ!!?」
「な、何デスかッ!?」
突如シャワールームの入り口付近から凄まじい光が発生し始めたのだ。突然の超常現象の発生に驚きを露わにする響、調、切歌の3人。更にそんな彼女達の様子に気付き、
「あー、もううるせえな! さっきから一体何の騒ぎ…って、何だよそのトンデモはッ!?」
「まさかノイズ!? 下がりなさい、調、切歌!!」
「お前もだ、マリア! 立花、雪音、早くギアを…!」
クリスやマリア、翼もそれぞれシャワールームから出てきた。マリアの言葉を聞いた翼はすぐさま響とクリスにギアを纏うよう指示を出そうとするが、その間に発生した光は段々弱まっていき…
「どわっ!!?」
ドスンッ…!!!
そんな間抜けな声と落下音がシャワールームに響き渡り、響達6人は突如現れたモノの正体に呆然とせざるを得なかった。何故ならそれは…
「ぐぉぉッ…! い、いきなりこの扱いは無いんじゃないでせうか…って……はい……?」
「ひ、“人”…?」
「“男”、だと…?」
見た目クリスや響よりちょっと年上くらいの、“ツンツンとした黒髪”が特徴の青年だったのだから…。と、ここで、
「ッ…/////!!!???(ダラダラダラダラッ)」
現れた青年が響達に目を向けた瞬間、汗を顔中から吹き出しながら顔をこれでもかと紅潮させ始め、それを見た響達もようやく驚愕した状態から脱却した…。さて、ここで現在の状況を整理しよう…。
現在の場所 → 女子のシャワールーム
現れた青年の性別 → “男”
現在の響達の状態 → タオル1枚、または“全裸”
では、この後一体何が起きるかというと、それは言うまでもなく…
「…お、お邪魔しましt」
「ふえええええええっ///////!!!??」
「デーーーースッ///////!!!??」
「ッ…////////!!!!」
青年が退散しようとする前に、響、切歌、調の3人は顔を真っ赤にしながら自身の身体を慌てて隠し…
「「ッ~~~~/////////!!!!!」」
「し、死ねェェェェェェェェェェッ//////////!!!!!」
ボゴオオオオオオオオオオオンッ!!!!×3
翼とマリア、クリスの3人は羞恥と怒りで顔を真っ赤にしながら、青年に渾身の一撃をお見舞いした。そして、その一撃を諸に受けながら…
(ふ、不幸……だ……)
その青年―――上条当麻は、心の中で思わずそう呟いたのだった…。
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