転生とらぶる
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ペルソナ3
1765話
結局俺が何かを答える寸前にラーメンが出てきた事で、自然と荒垣との話は一端お預けとなった。
勿論本当に重大な話であれば、このまま続けても良かったのだろうが……幸いにも、荒垣は話よりもラーメンを食べる方を優先する。
俺にとっても、それは助かった。
少し考えたいことがあったしな。
荒垣の隣で、俺もまたトロ肉しょうゆラーメンを食べる。
うん、美味い。
色々な場所で食事をしている以上、これより美味いラーメンを食べた事もある。
だが、最高のラーメンよりは劣るからといって、このラーメンが不味いって訳じゃない。
俺にとっては、このラーメンも十分以上に美味いラーメンだと言ってもいいラーメンだ。
そのまま暫く、俺と荒垣は集中してラーメンを食べる。
俺は普通にラーメンを食べていたのだが、荒垣は担々タン麺を食べてる途中で少し食べるのを止めては、何かを確認するようにしっかりと味わっている。
それが何をしているのか、俺にも何となく分かった。
ホワイトスターで四葉がそういう仕草をしているのを見た事があるし、家でもマリューや千鶴といった面々がそういう仕草をしているのを見た事があったからだ。
けど、俺が見た限りだと、それは味の分析のような事をしていたんだが……だとすれば、荒垣はこの見た目に反して料理が得意だったりするのか?
似合わないとは思うが、まぁ、趣味は人それぞれだしな。
こういう奴もいる。
結局俺が食い終わってから少しして荒垣も食い終わり、料金を支払ってからはがくれ亭を出る。
「……で、だ。改めて聞くが、お前は何を探っている?」
はがくれ亭を出て数分歩き、自販機のある場所で足を止めると荒垣が改めてそう尋ねてくる。
「何をって言われてもな。特に何もとしか言いようがない。取りあえず何か妙な事が起きてなければ、それはそれでいい」
ポケットの中に手を入れ、そこから財布を取り出したように見せかけ――実際には空間倉庫から取り出したのだが――ると、ペットボトルのウーロン茶を2本買って、片方を荒垣に軽く放り投げる。
「何か企んでるって訳じゃねえのか?」
ウーロン茶を受け取りながら尋ねてくる荒垣だが、俺はそれに軽く肩をすくめるだけで答えとする。
そんな俺の様子を真偽を確かめるような視線でじっと見ていた荒垣だったが、やがて嘘はないと判断したのか、それともこれ以上言っても無駄だと判断したのか、ともあれ小さく溜息を吐いてから、首を横に振る。
「まぁ、いい。これから何かあったら俺に連絡してこい。あそこで妙な騒ぎを起こされると、こっちが迷惑だからな。……携帯の番号は?」
「悪いな、携帯はまだ持ってないんだ。今日の夕方くらいに知り合いと一緒に買いに行く予定だ」
「……そうか。なら、何かあったらまたあそこに来て、俺を探せ。ただ、くれぐれも今日みたいな騒動はごめんだからな」
俺が携帯を持っていないと知っても特に表情を変える様子はなく、ただそれだけを告げると、俺に背を向けて立ち去る。
そんな後ろ姿を見ながら、俺は特に何も言うではなく、手の中にあるウーロン茶の蓋を開け、一口飲むのだった。
……あ、しまったな。俺は混沌精霊だから、冬でもこの程度の冷たさのウーロン茶でも問題ないけど、荒垣は普通の人間なんだから温かいウーロン茶をやればよかったな。
でも、ラーメンを食い終わったばかりなのを考えると、やっぱり冷たい方がよかったのか?
そんな風に考えながら、俺は午後からどうするべきかを考える。
情報を得るにも、図書館ではろくな情報がなかった。
人に聞くにも、誰に聞けばいいのか分からない。
となると……視線を近くの商店街にある時計に向けると、そこではもう午後2時近くになっていた。
そろそろゆかりも学校が終わる時間、か。
ゆかりが通ってる月光館学園は、あの現象の中では塔のような存在に姿を変えていた。
あの現象の中であそこまで露骨に姿を変えていたのはあの塔だけに、恐らく……いや、間違いなくあの現象について何らかの手掛かりがあそこにはある筈だ。
だとすれば、再度あの現象が起きる前に一旦月光館学園を自分の目で見ておいた方がいいか。
ゆかりが学校から出てくるのを待てば、わざわざ待ち合わせ場所に行く必要もないし。
そうと決まれば話は早い。
そのまま月光館学園に向かって移動する。
……影のゲートを使って転移してもいいんだが、この月光館学園はあの現象の中でも大きなキーポイントだ。
であれば、影のゲートで移動するのではなく、しっかりと周辺にある建物とかを確認していく方がいい。
そして何より、影のゲートだとあっという間に向こうに着くから、かなりの時間を待つ事になりかねないのだ。
そう判断し、俺は昼食後の腹ごなしがてらに月光館学園に向かうのだった。
「へぇ……ここが月光館学園か」
ここに来る途中で買った肉まんを食べながら、視線の先にある学校を見る。
腹ごなしがてらの散歩代わりとか思っていたような気がするが、そもそも俺の場合は胃の中に入った瞬間、食べ物は完全に分解されて魔力として身体に吸収されてしまう。
だからこそ、その気になればいつまででも食べ続ける事が出来た。
勿論、そんな真似は基本的にしないが。
精神的に満腹になるというのもあるし。
肉まんの最後の一口を口に入れると、校門から何人かの生徒が出てくる。
どうやら、ちょうどタイミングよく学校の終わりの時間に到着したらしい。
「ん? なぁ、あれって誰だ?」
「さぁ? 誰か待ってるみたいだけど……」
校門の近くで待っていると、恋人同士と思われる2人がそう呟いているのが聞こえてくる。
……まぁ、校門の前で自分たちと同年代の男が月光館学園の制服も着ないで立っていれば、気になるのは当然か。
もっとも、人の注目を浴びるのは色々な意味で慣れている。
冬の寒空であっても、俺は特に気にならないのでそのまま暫く待ち……やがて、校門から見覚えのある人物が姿を現す。
ゆかりが、数人の女友達と一緒に出てきたのだ。
「ゆかり」
「え?」
ゆかりに声を掛けると、一瞬何故自分の名前が呼ばれたのかという表情を浮かべたゆかりだったが、声を掛けたのが俺だと知ると、瞬時に顔が驚愕に満ちていく。
「ちょっ、何でアクセルがこんな場所にいるのよ!」
その叫び声は、当然のように下校途中の生徒達全員の耳に届く。
そして声の持ち主に視線が集まり……それに気が付いたゆかりは、次第に顔を赤く染めていく。
「ちょっ、ちょっとゆかり。誰よこの人。恋人? 恋人なの?」
「それも私服だって事は、月光館学園の生徒じゃないって事よね? っていうか、見た感じ私達より年下じゃない? そうなると、もしかして中学生!? ゆかり、やるぅ!」
「ちょっ、ちょっと待ってよ! アクセルとはそんなんじゃないんだってば!」
「何言ってるのよ、名字じゃなくて名前で呼ばれてるじゃない。恋人でもない相手にそんな真似、普通させる!?」
友人の言葉にゆかりが顔を赤くして抗議するが……うん、ちょっと迂闊だったな。
まさか、声を掛けただけでこんな風になるとは思わなかった。
「あれ? ちょっと、あんたもしかして」
ゆかりに声を掛けようとしたのだが、不意に別の方から声が掛かる。
声のした方に視線を向けると、そこにいたのは見覚えのない人物……ではない。
俺がこの世界に転移してきた時、最初に出会った相手だ。
帽子と髭が特徴的なその男は、俺達の方を……正確には友達に抗議しているゆかりの様子を見て、にんまりとした笑みを浮かべた。
「おいおい、もしかしてお前ってゆかりッチの……」
そう言い、右手の小指を立てているのを見れば、この男が何を言いたいのかは明らかだった。
まぁ、高校生くらいの年齢にしてみれば思春期真っ盛りと言ってもいい訳で。
男と女が一緒に帰っているのを見れば、気になって仕方がないのも当然だろう。
……この分だと、俺が昨日ゆかりの部屋に泊まったのを知れば何と言う事やら。
「ああ、安心しろ。別に俺とゆかりは付き合ってる訳じゃない。ただ……」
顔を真っ赤にしながら友人達に説明して……いや、寧ろ抗議しているように見えるゆかりの姿を見ると、どことなくからかいたくもなる。
「ただ?」
「ちょっ、順平! あんた何をアクセルと!」
ゆかりが俺と男……順平と呼ばれている男が話している事に気が付いたのか、慌ててこっちにやってくる。
それを見ながら、俺は内心の笑みを堪えるように口を開く。
「今日、これからゆかりと2人だけでちょっと出掛ける事になっててな」
『キャーッ!』
俺の言葉を聞いていた周囲の者達……特にゆかりの友人達からは、黄色い悲鳴が上がった。
「へぇ、あんたやるな。あのゆかりッチを口説き落とすなんて」
「どうなんだろうな。……で、結局お前は誰なんだ? あの時、神社であった奴だよな?」
「ん? ああ、俺ッチは伊織順平。よろしくな」
「馬鹿順平! ちょっと退きなさいよ!」
伊織が俺に自己紹介をするのと、ゆかりがその伊織を強引に掻き分けるように俺の前に姿を現すのは同時だった。
「アクセル、あんた何か面白がってない!?」
「……まぁ、それは否定しない」
「否定しなさいよ! 馬鹿なの!? っていうか、馬鹿なの!?」
「何で2回言うんだよ、ゆかりッチ」
「うるさい! ほら、いいからさっさと行くよ! こんな場所にいつまでもいたら、また無駄に噂が広がるじゃない!」
今更遅いと思うんだけどな。
そんな風に思うも、それを口にしてゆかりを怒らせるのも何なので、大人しくついていく。
背後では伊織を始めとして周辺にいた者達……特にゆかりの事を知っている者達の多くが騒いでいたが。
まぁ、分からないではない。ゆかりは顔立ちも整っており、絶世の……とまではいかないが、それでも学校の中では美人として有名になるような容姿をしている。
また、本人の性格もあっさりとしており、付き合いやすい。
……まぁ、その分気軽に自分の近く……いわゆるパーソナルスペースに人を寄せ付けるような真似はしないのだが。
俺との関係だって、あの現象についての問題があるからこそ、こうして親しく付き合っているんだろうし。
もし何でもない時に偶然出会っていれば、恐らく特に何か接触を持つような事もなかった筈だ。
ゆかりに引っ張られながら、ふとそんな風に思う。
そう考えると、この世界に来て早々にゆかりと知り合えた事は運が良かったのだろう。
「アクセル君、また今度ねー」
背後からゆかりの友人達がそう叫びつつ手を振ってくる。
何となく俺はそれに手を振り返し……
「ちょっと、アクセル!」
それがゆかりの機嫌を損ねてしまったのか、叫び声が上がった。
「別に、そこまで怒る必要はないだろ? 何も本当に俺とお前が付き合ってる訳でもなし」
「だからよ、だから! 別に付き合ってる訳じゃないのに、何でわざわざ誤解させるような事をするのよ!」
「……何となく?」
「あー、もう! アクセル、あんたいい加減にしなさいよね! それよりほら、さっさと行くわよ!」
ゆかりが不機嫌そうなまま、俺を引っ張ってどんどんと進む。
それを見て、周囲の者達が俺達を驚愕の視線で見ていたりするんだが、それはいいのか?
そのまま校門から暫く離れ、ようやく落ち着いてきたのか、ゆかりからは手が離された。
「それで、どうだったの?」
「あー……特に情報らしい情報は見つからなかったな。まぁ、全員があの現象について……正確には棺桶になっている時の事を全く覚えてないんだから、それも無理はないけど」
「じゃなくて! いや、そっちもだけど……それよりも、アクセルの寝床の件よ!」
「……あ」
そう言えばそっちが主目的だったな。
あの現象を調べる為に図書館に行った事もあり、その件をすっかり忘れてた。
「あ、じゃないでしょ。あ、じゃ。……今日泊まる場所はどうするの? もし本当にどこにも泊まる場所がなかったら、また泊めてあげてもいいけど」
「あのな、お前は女だろ? それもさっきの件を見れば分かるけど、学校でも人気の高い。そんな女が、気軽に男を自分の部屋に泊めるとか言うなよ。俺だからいいようなものの、もし妙な男にそんな事を言ったら、最悪の結果にもなりかねないぞ?」
「大丈夫よ、アクセルにしか言わないから」
「……それは、俺を男だと思っていないって事なのか?」
だとすれば微妙にショックを受けるんだが……
俺の顔を見てゆかりは何か理解したのか、小さく溜息を吐いてから口を開く。
「あのね、実際昨夜は何もなかったでしょ? だから、少しくらいはアクセルを信用してあげるって言ってるの。別にアクセルを子供だと思ってるって訳じゃないんだから安心しなさい」
「取りあえず、そいういうことにしておくよ」
「はいはい、それよりアクセルの寝床については後で考えるとして、今はどんな携帯が欲しいかを考えておきなさい」
そう言いながら、俺とゆかりは道を歩く。
……やっぱりゆかりは何だかんだと世話焼きな一面があるよな。
もっとも、学校でもそれなりに有名なのは間違いなく、何人かの生徒が俺とゆかりを見て驚きの表情を浮かべている光景もあったのだが。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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