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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0104話『龍田の謎の思惑』

 
前書き
更新します。 

 

……日に日に暑くなってくる気温。
梅雨が開けたと最近のニュースで聞いた気がする。
だから雨が降ってこないだけマシな方か。
あの雨が降った後のジメジメとした感じは本気で最悪だからな。
まだ扇風機だけで耐えられる程度の環境だけどクーラーなんてまだ使うほどじゃない、まして今日に関してはクーラーなんて使ったら私の首が物理的にパンパカパーンと飛んでしまうかもしれないという恐怖を感じている。
それは何故かって……?
なんだって今日は珍しく龍田が秘書官をしているからだ。
なぜかしきりに今日は秘書官がしたいと言ってきたのでまぁ、いいかなという感じで龍田に秘書官を任せている。
でも、少し後悔しているかもしれないかなぁ……。
なんでって、

「提督~。どうしたの? 腕が止まっているわよ」
「すみません……」
「どうしてそうすぐに謝っちゃうの? 龍田は別に怒っていませんよ?」
「いや、それは分かっているんだけどどうにもやっぱり威圧感的な何かが……」
「な・に・か……?」
「いや、やっぱりなんでもないです」

それでまた謝ってしまう私。
うーん……別段龍田は嫌いな子ではなかったはずなんだけどな。
実際に会ってみるとなんというか他の子とは違った凄みを感じるんだよな。
天龍のなんちゃってフフ怖が可愛くみえるくらいには差は歴然だ。

「あら~、今提督ってば天龍ちゃんのことを考えていませんでしたかー?」
「ッ!? い、いやそんなことはないよ?」
「うーん? 目がどこか泳いでいるみたいですけど、まぁそういうことにしておきますね? ただ……」

安堵した次の瞬間に感じるひんやりとした冷たさ。
見れば私の首筋に感じる龍田の薙刀の刃の部分が優しく添えられていた。
冷や汗がだらだらと流れる。
うん、もう龍田の前では心の中でも天龍のことは考えまい。

《あ、あのー……龍田さん》

そこで私のことを心配に思ったのか榛名がでてきて龍田に話しかける。

「なんですか、榛名さん……?」
《そのですね。提督も別に悪きはないですのでその薙刀をしまってもらえるとすごく嬉しいんですけど……》
「あら。私ったら……ふふふ、ごめんなさいね。いつものくせでつい……」

それで薙刀をしまう龍田。
それよりもなにもいつもの癖って!?
私と榛名はそれでつい戦慄してしまう。
龍田は一体だれに対してこんなことを日常としているのか……。
少し怖くなったから聞かないでおこう。

《て、提督。あまり気にしないようにしましょうね》
「そ、そうだな」
「うふふふふ~」

龍田の意味深な笑みがとても怖いです、はい。

「でもぉ、私としましてはー、提督の事は嫌いではないんですよー?」
「突然どうしたんだ?」
「いえ~、ただ私は提督の事を嫌ってはいないという意思表示をはっきりとしておこうと思いまして。勘違いされていても嫌ですし……」

それで自然な笑みを浮かべる龍田。
うん、まぁそれならそれでいいんだけどね。
私も龍田を嫌う理由がないし。少し怖いけどね……。

「それでですが~、ちょっとお聞きしたい事がありまして」
「なにをだ?」
「はい。榛名さんとはどういったご関係のつもりかなと思いまして」
「そ、それは……」
《龍田さん。その、それは……》
「いえ、無理に言わなくてもいいんですよー? ただうちの鎮守府は提督に対して好意的な気持ちを持っている子は結構な数はいますから。だから榛名さんと提督の気持ちを聞きたいなって……」

龍田はそう言って聞きたいオーラを出している。
うーん、答えてもいいんだけど、

「榛名。私は気持ちははっきりしているから大丈夫だけど君の方はどうなんだ?」
《わ、私は……その提督の事は大好きですよ》
「そうか。私も同じ気持ちだよ榛名」
《提督……》
「榛名……」

それでしばし見つめあう私と榛名。
だけどそこで龍田が「こほんっ」と咳払いをした。
うっ、つい龍田がいるのを忘れてしまっていた。
それで私と榛名はつい顔を赤くしてお互いに顔を逸らしてしまう。

「うふふふ~。いいわねぇ、こういうのはとっても愉しいわ。でも、やっぱり残念なのは提督と榛名さんが触れ合えない事かしらね~」

龍田は核心を突いてきたのでつい「うっ……」といううめき声をあげてしまう。
そうなんだよなぁ。
私と榛名は現状は一緒の身体で過ごしているから触れ合える瞬間がないのだ。
それで榛名も日々残念に思っている事だし。

《うう……龍田さん、ひどいです。榛名だって提督と触れ合いたいんですよ? それでも我慢しているのに……》
「ごめんねぇ~。ただ諦めてはいないんでしょう……?」
「当然だ。いつか榛名と分離できる日が来たとしたらとても嬉しい事だからな」
《はい。私もいつか提督と触れ合いたいですから諦めたくないです》
「だったら希望は捨てないでいてね。いつか、そういつか報われる時が来ると思うから~」

龍田はそう言って頬に手を添えて笑みを絶やさないでいる。
その自信はどこからくるのだろうか。
まるで未来を見通しているようなそんな感じだ。

「龍田はなにか知っているのか……?」
「いえ? 私は何も知りませんよ~。ただそうなったらいいなって思うだけですから」
「そうか……」

それで少しは龍田との距離を詰められていると思っていたんだけど、そこで龍田がある事を言い出した。

「うん。提督と榛名さんの気持ちも知れることが出来ましたし~、もう満足ですから仕事も終わっているみたいだし私はそろそろおいとましますね~」
「わかった。相談に乗ってくれてありがとうな龍田」
「いえいえ~」

そう言って「天龍ちゃんでも誘ってプールでも入ってこようかしら?」と言いながら龍田は執務室から出ていった。
最後まで不思議な雰囲気の残る立ち合いだったな。

《提督……龍田さんはなにかの確信でも持っているのでしょうか……?》
「それは、わからない。だけど自然と龍田の言っている事は信じられるような気分にさせられるんだよな」
《そうですね……》

それで不思議な感覚は拭えないまままた一日が過ぎていく。








龍田は天龍を誘ってプールに入りながら一人考えていた。

「(提督、それに榛名さん。きっともうすぐあなた達の気持ちが報われる時が来ると思うわ~。だからそれまで我慢していてね)」

そう心の中で思っていた。
そこに天龍が、

「おーい! 龍田、泳ごうぜ!」
「はーい!」

それで一緒に泳ぎに行く龍田であった。
しかし一体龍田はなにを知っているというのか……?
謎は残るばかりである。


 
 

 
後書き
最後に謎を残した龍田さん。
その謎は今月中に判明するかもしれませんね。



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