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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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481部分:第三十八話 袁術、劉備達と会うのことその十三


第三十八話 袁術、劉備達と会うのことその十三

「早いところ化け物退治をしようよ」
「行くぞ」
 最後に趙雲が言った。彼女は両足に力を溜めてだ。そのうえで跳躍しようとした。しかしここで彼女にとって思わぬ事態が起こった。
「ま、待ってくれ!」
「一人にしないで欲しいのだ!」
 その関羽と張飛がだ。彼女をそれぞれ左右から抱き締めてきたのだ。
 趙雲はそれで動きを止めてしまった。止められたと言うべきか。
「待てっ、いきなり何をする!」
「だからお化けだぞ!」
「ちょっとそれは勘弁して欲しいのだ!」
「それはわかるが」
 趙雲は左右から抱かれながらも何とか言った。
「それでもだ」
「そうだよ。早く行くぞ」
 馬超がその二人に言ってきた。
「こんなことしててもな」
「翠もいてくれ!」
「御願いなのだ!」
「うわっ、あたしもかよ!」
 今度は馬超も抱き締められた。四人で絡み合う。
「待て愛紗、脚と脚の間に身体を入れるな!」
「そ、そんなつもりはない!」
「鈴々、何処触ってるんだよ!」
「翠こそ鈴々の上に跨るななのだ!」
 無茶苦茶なことになっている。
「わ、私は胸は駄目なのだ・・・・・・」
「そう言う星も首筋を触るのは」
「あのな、あたし背中は・・・・・・あっ!」
「翠、耳を噛むななのだ・・・・・・」
 しかもだ。二人同士だけでなくだ。
「翠、胸に手が入ってるぞ」
「鈴益々、スカートの中は駄目だ」
「愛、だからよ、お尻触らないでくれよ」
「星、太腿と太腿が」
 そんな四人を見てだ。孔明と鳳統は真っ赤になっていた。そのうえだった。
「はわわ、こっちも大変ですう」
「どうしよう、これは」
「一時撤退しかないわね」
 黄忠はいささか残念そうに言った。
「幾ら何でもこれじゃあね」
「いやらし過ぎるわね」
「浮世絵みたいですね」
 神楽と月もそんな四人を見て話す。
「この状況はちょっと」
「どうしたものでしょう」
「お化けどころじゃないし」
 馬岱もは為す。
「撤退しかないよね」
「いえ、ここは」
 だが、だった。劉備があの剣を手に言うのだった。
「お化けを絶対に」
「そうしたいのはやまやまだけれど」
 その劉備にミナが話す。
「主力の四人があれだから」
「え、ええと」
 劉備もだ。今の四人を見て真っ赤になった。
 最早それぞれ下着も露わになってほぼ半裸になってだ。鰻がそれぞれ絡み合うようになってしまっていた。そうした状況だったのだ。
 そんな四人を見てだ。孔明が言った。
「とりあえずは」
「どうしよう、朱里ちゃん」
「四人に言おう。大声で」
「一時撤退ね」
「劉備さんは雛里ちゃんが言ってあげて」
 劉備には彼女だというのだ。
「四人はどうしてもというのなら」
「どうしてもなら?」
「皆でこのまま担いで行こう」
「それしかないのね」
「ええ、だから」
「それも一つの手ね」
 黄忠は孔明のその言葉に頷いた。
「それじゃあね」
「はい、とにかく撤退です」
「得物は全部拾っておかないと」
 最早構えるどころではなくだ。四人は絡み合い続けている。
「うっ、くぅ・・・・・・」
「はう、あっ・・・・・・」
「あひっ、ふっ・・・・・・」
「あう、ああ・・・・・・」
「何処をどうやったらここまでなるのかしら」
 馬岱はそんな四人を見てまた言う。
「とにかく姉様達を持って行こう」
「ええ、じゃあ」
「私達も」
「協力させてもらいます」
 馬岱に神楽、ミナ、それに月が頷く。そうしてだった。
 四人でそれぞれを引き離してそのうえで担いで行く。得物は黄忠が持った。鳳統はまだ残ろうとする柳眉に対して話した。
「劉備さん、あの」
「どうしたの?鳳統ちゃん」
「もう帰りましょう」
 彼女のスカートを両手で引っ張っての言葉だった。
「皆さんも撤退に移られましたし」
「そうなの」
「はい、ですから」
 鳳統はまた話した。
「劉備さんも」
「それじゃあ」
 それに頷いてだった。劉備も遂に戦線を離脱したのだった。
 ここでは退治どころではなかった。撤退するしかなかった。一行は拠点にした宿に戻りだ。とりあえずは体勢を立て直すことになった。


第三十八話   完


                2010・10・15
 
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