【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。
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0095話『三日月のとある悲しみ』
前書き
更新します。
私は大本営からのとある電文を受けて少しショックを受けていた。
そう……それは昨日進水日だった三日月に関する話題を出しておきながらそれとは別に改二の睦月型を用意しているといういわゆる三日月には改二は来ませんという残酷なお知らせだった。
それで内心では「それはないぜ、大本営様よ……」という愚痴を吐いているのは許してほしい。
《て、提督……どうしましょうか? 三日月さんをお呼びいたしますか?》
「いや、まずは縁のある子達に教えた方がいいだろう。睦月型の他の子達も呼んでもいいだろうが、今回はあの子だな……」
それで私はとある子を執務室へと呼ぶ事にした。
しばらくしてその子は執務室へと入ってきて、
「提督……? この瑞鳳になにかご用ですか?」
そう。呼んだのは瑞鳳。
三日月がかつて三航戦所属のよく瑞鳳や鳳翔の護衛についていたためについたあだ名が『瑞鳳の護衛艦』というもの。
それで今回は瑞鳳を選抜させてもらった。
「ああ、話はというのはなんだけど三日月にとある話をする時のクッション材になってほしいんだ」
「それはどう言った事でしょうか……?」
瑞鳳はまだ話が読めないらしく首を傾げていた。
それなので教えることにした。
「それなんだけど、昨日の大本営からの電文で改二になる睦月型のヒントが発表されたんだけどな」
「うんうん」
それで瑞鳳も興味を持ったのか耳を傾けてきていた。
おそらく誰かを予想しているのだろう。
然としたとおりに瑞鳳は三日月の事を可愛がっているのはよく聞く話だ。
だからもしかしたら三日月に改二がくるのではないかと淡い期待を持ったのかもしれない。
その予想を外してしまうのは少し心苦しいが仕方がない。
「さっきも言った通りに電文で一応三日月に関して少しは触れたんだ。だけど触れたの昨日の進水日の件だけでそれとは別に改二艦が用意されているというものなんだ」
「それって……」
「ああ。つまり……三日月には改二は今回は来ない事が確定してしまったんだ」
それで瑞鳳はがっかりといった感じの表情になった後に、
「で、でも仕方がないですよね。また次の機会がありますよ。だから三日月ちゃんにはそれとなく伝えましょうよ」
「わかっている。だからこその瑞鳳というクッションを入れておきたいんだ」
「なるほど……睦月型の子達以外だと三日月ちゃんに近しいのは私だもんね」
「ああ。だからそれなりに期待しているよ。きっと真面目な三日月の事だから話を聞いた後にきっと『まだまだ精進が足りないみたいですね』と空元気で答えながらも裏では涙を流す光景がやすやすと想像できてしまうんだよな」
「そうですねぇ……」
それで瑞鳳も思い浮かんだのだろう少し上を見上げて考え込んだ後に、
「はい。多分三日月ちゃんの事ですからそんな感じになっちゃうと思います」
「それでだ。それとなく瑞鳳が三日月のフォローに回ってもらいたいんだ」
「そう言う事でしたか。わかりました、この瑞鳳にお任せください!」
それで瑞鳳が元気よく答えてくれた。
よし、これで三日月に素直に話が出来ると思う。
それなので私は三日月を執務室へと呼ぼうと思ってふと思った。
「なぁ瑞鳳。この際だから第三十駆逐隊の望月と卯月も一緒に呼ぶか? 彼女達もそれとなく元気づけてくれるとは思うから」
「いいと思います」
「わかった」
それで私は電話を取って三日月、望月、卯月の三人を呼ぶ事にしたのであった。
突然司令官から呼び出しを受けたので私は執務室へと向かっていました。
道中で望月と卯月の執務室へと向かう姿もあったので、
「もっち、それに卯月姉さんも……二人も執務室に呼ばれたのですか?」
「あー? まぁな」
「卯月、なにか司令官の怒りに触れたのかと思うと怖いぴょん……」
もっちはいつも通りに気だるげに答えて卯月姉さんはどこか震えていた。
きっと卯月姉さんは最近なにかしらやらかしてしまったのですね……。
でも私を含めたこの三人だと第三十駆逐隊関連の任務でしょうか……?
それでなにを司令官に言い渡されるのかドキドキしながらも、もし私達が活躍する任務なのでしたら思う存分頑張りたいと思った所存です。
そして執務室へと到着して、
「三日月、および望月、卯月、入ります!」
『ああ、入ってくれ』
司令官の声が聞こえてきたので私達は中へと入っていきました。
だけどそこには瑞鳳さんの姿がありました。
その瑞鳳さんの私を見る眼差しがどこか悲しそうなのはどう言った事でしょうか……?
とにかく私は一回司令官に敬礼をしながらも、
「司令官! 今回は私達に何のご用でしょうか?」
「ああ、三日月。楽にしていいよ」
「はい、分かりました」
それで私は言われたとおりに楽な姿勢を取ります。
でも司令官の表情も幾分か優れないものであった。
どこか体調が悪いんでしょうか……?
でしたら早めに休んでいただきたいものです。
私は司令官の隊長を少し気にかけながらも司令官がどんな話をするのか今か今かと待っていました。
すると司令官と瑞鳳さんは少し躊躇するような顔つきになりながらも、
「三日月ちゃん?」
「はい。なんでしょうか瑞鳳さん?」
「これから提督が話す事なんだけど……気をしっかりと持って聞いてほしいな。望月ちゃんと卯月ちゃんもそれとなくフォローに回ってね?」
「んー……? どう言った事かわからないけどわかったよ」
「うーちゃんも一応は了解ぴょん」
「それで司令官。どういった内容でしょうか……?」
どうやら私に関係する話らしい。
しかもどうやらあまりいい話という訳でもないようです。
司令官は少し黙った後に、
「三日月。君にとって少し残念なお知らせがあるんだ」
そう言って司令官はとある電文を私達に見せてくれた。
その内容は睦月型の改二に関連する話のようです。
しっかりと一文一文を呼んでいって、ああ……つまりそう言う事なんですねと私は理解した。
それなら司令官と瑞鳳さんの表情がどこか優れないのか理解できた。
「なるほど……つまり私には今回は改二への話は回ってこないという事ですね?」
「ああ。残念ながらそう言う事なんだろうな。それで三日月も改二になれない事に対して思う事はあると思う。だけどあんまり落ち込まないでほしい……今回がダメだったからと言ってまた次の機会が来るかもしれないのだからな」
「そうだよ三日月ちゃん。だからそんなに落ち込まないでね?」
司令官と瑞鳳さんが私を気遣う言葉を言ってくれている。
それだけで私は改二になれないショックよりも安心感を感じていた。
ああ、私は司令官たちに大事にされているんだ……という嬉しい気持ちが少しばかり溢れてきていた。
それなのでその思いを伝えるべく、
「大丈夫ですよ司令官に瑞鳳さん。私はそれくらいでは落ち込みません。他の姉妹に改二が回ったと考えればむしろ嬉しいです。今回は私の努力が足らなかった……そう考えておきますね」
私がそう言った瞬間、司令官は「やっぱりそう感じるんだな」と言った後に、
「望月、卯月。三日月はこんな反応をしているけどやっぱりどこかショックは感じているだろうから後でそれとなく頼むよ」
「あいよー。三日月は溜め込みやすいからなにかで発散させておくよ」
「うーちゃんもなにか三日月にできることをするぴょん」
……どうやら私がショックを隠しているように感じられてしまったようです。
まぁそんな司令官の気遣いも嬉しいですから心に刻んでおきますね。
改二になれないのは少し悲しいけど……でも私は大丈夫です。
ですからこれからも期待していてくださいね、司令官。
私は口には出しませんでしたがそう思いました。
後書き
運営の無慈悲な三日月には改二に来ないという発表でしたね。
まぁそれで他の子に絞られてきましたけどまだまだ誰かはわかりません。
どうかヒントをー……。
それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。
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