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第3話
前書き
ほんと久々の投稿ですね。
対してリアルが忙しかったわけでもなく、あんまりインスピレーションがわかなかったりそもそも書く気があまり起きていなかったりとしていましたが、少数とはいえ期待している方もいることを知ったので、その方のために書きましょう!
教室から出るとき、先生の言っていた通りに黒板左隣の本棚にライトノベルの第一巻だけがきれいに並べられている。
(入学式の時に並べてたんだろうか?)
僕の知っているタイトルもあれば、僕の知らないものまである。それだけでも先生が読んでいるジャンルの幅が大きすぎることがわかる。
と、そのライトノベルとは別に『しっかりと』と言うべきなのだろうか、列記とした世界中の文豪たちの小説も数冊あった。
その中に一冊だけ、一際目立っている『著 H・P・ラブクラフト』にだけは触れないでおこう。SAN値が削れてしまいそうだ。
まあそんなことあったが、無事に一日目が終了した。あとは帰宅して明日の準備を済ませるだけだ。明日からは早速に授業が開始され、各教科の教科書が配布される。
ラノベ1巻の山とラブクラフトの『クトゥルフの呼び声』を背に扉を出て、玄関口に向かう。
教師や教室の出来事、先程の銀薔薇先輩のことがあったと思うと何とも言えないホラーな感覚に陥ってしまった一日だと思う。
ここで読者の皆さんは背中に悪寒を感じます。『0 or 1d3』のSANチェックをどうぞ。
とクトゥルフTRPGのネタを挟んだところで学校の場面はここで終わりだ。
帰宅。一人っ子の僕には家に帰ってただいまを言っても返事が返ってこない。共働きの両親は今晩も7時を超えて帰ってくるだろう。
無言のまま自室に行くと学校でもらった親に見せるプリント類をクリアファイルから取り出しておく。あとはノートを7冊入れて机の上へ。
後は入学初日に勉強をやるはずもなく、PCを起動した。もちろんの如く、『G-do 200MEGA DREAM』である。
ネットニュースを一通り見れば、動画サイトに飛ぶ。また、同時進行でPCゲームの起動を済ませ、自分のプレイリストにある曲を流し始めながらゲームをする。
時刻はまだ午前11時前。これから始める高校生活へのウキウキもあるが、ゲームで今日から始まるキャンペーンへのウキウキの方がはっきりと言って楽しみだった。
「今日からのキャンペーンでまた新しい衣装がもらえる・・・・、フフヒッ」
と気持ちの悪い笑みを浮かべたら、自分のキャラがゲームのエントランスとなる場所のゲートの前に魔法陣で出現した。
青を基調とした低身長の女の子キャラ。青を基調にしているにもかかわらず髪だけをピンクにすることでワンポイントになっている。
するといきなりチャット欄がざわめく。
『
オラ侍んだっ:あ、blueskyさん、にちわです。 (^^♪
ビンビン丸:お、blueskyさん昼なのにinしてる、珍しー
PKあさしん:誰がロリコンじゃあああああああああああ!!!!
(つ俺)つ:ブルスカさんジャマイカ、オッスオッス!
:チャット/ギルドメンバー
早苗:blueskyさん、にちはです。^^
』
まあ、僕の知名度が高いのは少し事件があったからなのだが・・・・。
1年ほど前。僕がこのゲームを始めてだいたい8か月ぐらいだったころ。このゲームの中では、女性キャラの見た目のグランプリのようなものがあるのだが、それに興味本位で応募してみたところ、最終選考まで残り、その結果2位になってしまった。
もちろん、そんなことになった僕は大はしゃぎ。受賞を逃したとはいえ僕を含めた上位のキャラの見た目はもはやこのゲームのコーディネートのテンプレートへと成り果て、僕は他の人も同じ見た目になるのがうれしくて、そこからは結構同じ衣装を使っていた。
で、その後のオープンチャットでのことだ。
『
JKチラー:そう言えば、blueskyさんって学生さんって聞きましたが、やっぱりネカマだったりするんですか?
』
このチャットをしているキャラは、今の僕のいるギルドのリーダーをしている人である。別段隠しているわけでもなかった僕は男であることを送ろうとした。
『
bluesky:私おんなキャラですが、一応おとこですよ。
』
この文からこのゲームの人たちはおかしなことに気付いたそうだ。
僕はネットでタイピングする時の一人称は私に統一している。中性的なかしこまった感じが出てしまうが、子の一人称が大人な気がしていたからだ。
だが、他のプレイヤーから見ればこれは一見『私おんなキャラですが、おとこです。』という風になる。女に飢えた人から見れば、一人称が『私』なんて人がいれば、それはどれだけ自身を男と言っていても女になるらしい。さらに、当時の僕のタイピング速度もあり、一瞬動揺したと思われていたらしい。
と、今のギルドのリーダーであるこの『JKチラー』さん26歳が言っていた。
まあ、皆が皆そんなわけではないことは知っていたので、僕は広めた人がたまたまそういう思考を今回繰り広げただけなんだと思っている。
その後は大騒ぎ。なぜか僕のキャラクターのイラストがネットに掲載され、イラスト投稿サイトには僕のキャラ『bluesky』のタグや説明文まで載ってしまった。
これが僕が体験したネットの恐怖である。もちろん、その後にタグは残ったが説明文は訂正が加えられ、僕が男であることがしっかりと伝わった
と思う。
まあ、そんな経緯があり、ちょっとした有名人としてゲームをプレイしていたのだが、そんなに悪い気が起きることもなかったのでこのゲームを続けているというわけだ。
『
クルミ:はいはい。ロリコンじゃないんですよねぇ~、娘が好きなだけなんですよねぇ~。
炎田:なんだ、またPKあさしんさんの親バカかよ
ビンビン丸:リア充爆発しろっ
おら侍んだっ:リア充暴発しろ
(つ俺)つ:娘さんをください、お義父さん!
タタティトゥ:リア充破滅しろ!
』
何故かいつものようにこのゲームの人たちは明るく笑えるようなチャットを繰り広げている。見ていてほっこりとするような内容だ。
『
:チャット/ギルドメンバー
早苗:これからいつ面でムンビのレア泥チャレするんですけど、一緒にどすか?
bluesky:今日はキャラの新コス取りに行こうと思うのでそちらに行きますね。
』
と一言。ちなみに彼らが行こうとしているのは、『ムンビの館』というところで極限まで下げられた確率でドロップするレアアイテムである。
その確率驚異の0,000175%であり、その存在自体を疑われるほどだが、過去に二回だけドロップしたことがSNSで報告されたため、みんな躍起になっているのである。
ちなみに、そのアイテム自体も強力であり、年に一度開催される感謝祭というイベントでボスクリアでゲットできるのだが、難易度が非常に高く初期から遊んでいるガチ勢でもなければクリアできないほどなのである。
彼らの幸運を祈っておこう。
さあ、今日からのイベントを攻略させてもらおう。イベントとはいえ、ドロップすればもうあとは何も進める気はない。
今回のイベントは新春仕様ということで、自身のキャラクターに学校の制服のような見た目の衣装が実装され、その衣装を装備したときのステータス上昇も優秀であり、アップデート前から期待していたのだ。
深夜0時から午前7時にかけてメンテナンスをするこのゲームは学生にとってはとてもありがたいようなゲームなのである。
難易度は最難関でもいいか。今回は僕だけでもなんとかなりそうな気がする。
結果から言おう。何とかなってしまった。今回のイベントはそもそも甘いめの高難度に設定されているようで、始めたばかりであってもある程度進めることさえできればクリアできるようなものだった。
やはりこのゲームが学生に優しいということを再確認できる。
今回のイベントのあらすじを皆様にもわかりやすいように説明すると、ファンタジーな剣と魔法の世界から僕たちのいる現実世界に迷い込んでしまった主人公一行を元の世界に還すという内容だ。
端折った部分も確かにあるが、本当にこれだけの内容であるがために時間がかからなかった。僕が始めたのが11時35分からだったが、終わったのは12時25分ごろであった。
今日のうちにクリアできる内容であったことは結構ありがたいな。明日はムンビをやってみよう。あの確立に挑戦するのもこのゲームの楽しみだからね。
残りの時間、大変暇になってしまった。母親がリビングの机に置いていった1500円が僕の昼飯になるようだな。
どこか出かけるか。
そう思い、私服に着替えてから電車に乗り街へと出てきてみた。いつも騒がしい車の音と、人の歩く足音が延々と聞こえてくる。そして、僕自身もその人ごみの中に入る。
人込みはいつものことのようで、僕のような学生と思えるような人間がいつもの情景に混ざり、明日から始まる高校生活を今は忘れて友人と会話を繰り広げている。
平日だからだろう。人込みはあれど、見えてくるのはスーツの人ばかり。私服の人間も多いがやはり仕事をしている最中というオーラを醸し出している。学生と思える人物たちはその中でも目立つように屯っており、見ていて現代日本らしい情景だと言える。
僕は、その中大きなモールの中にあるファミリーレストランに入り、適当に選んだものを口にしている。特に話す相手もいないので、自分のスマホを手に持ち、ずっと右指を上下運動させている。
そして、周囲にはさも当然のように学生たちが私服で会話を楽しんでいる。友人と会話することの楽しみを噛み締めてくれいているのか、ただただ一人でいる僕の方に視線を向けることはない。
と、思った矢先だ。女だけの3人組が小さくだがこちらに一瞬指を向けた。前かがみに聞こえないようにひそひそと話している。
いつもの情景だ。彼女らに悪気はないなんて言わない。むしろ悪びれる気がない。彼女ら、彼らは人間をカーストのどこにいるかで判断しているのだ。これはゆるぎない彼女ら、彼らの中に存在する近代の常識の一部であり、これからも不変となってしまう常識のうちの一つなのだろう。
僕自身がそんなことを考える。誰に知られるわけでもなく、口と指先だけを動かしている僕だけの会話で行われる。相手はいない。
今、彼女たちが写真を撮ったな。僕を撮った。しっかりとシャッター音が鳴ったのを僕は聞き逃さないし、周囲も気づいている。が、この冷たい国ではそんなことは気にも留めず、また会話へと戻っていくのだ。
そうして食事が終われば、スマホをしまってレジに向かう。一つのメニューで1000円を少し過ぎるくらい。残りのおつりはしっかりと返さなくては。
考えながら、僕はさらに階段を上がる。時刻は1時を少し過ぎたぐらいか。ゲームセンターに向かうには絶好のタイミングだ。
と言っても、最高の時間は1時30分になるまでなのでその最高の時間をすべて堪能できないのは残念だ。
まあいい。とりあえず、財布から100円を取り出すとゲーム機に投入する。僕が目当てだったのはリズムゲーム、いわゆる音ゲーだ。
たまにはこういう日もいいかもしれない。ゲームセンターに来るといつもそう思ってしまう。それほどにゲームに囲まれている状況が好きなのだろうなと思う。
それほどに有意義な時間を楽しんでいれば、時間が流れていくのはとても早く、時刻は午後17時20分を少し回り、もう電車に乗って帰らなければいけない時間だ。
今日は気持ちの良い時間が過ごせたな。また週末にでも来よう。
後書き
読み終わった人の言い分はわかる。早くif devilしろって言うんでしょう?
わかってます。あと二話だけだと思いますので付き合ってください。あと、今回ちょっと鬱っぽい?
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