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キスの味はさくらんぼ?・その2
さて、荒潮がシンガポール・スリングを楽しんでいる間に、こちらはさくらんぼを使ったスイーツを作っていこうと思う。と言っても、甘いオヤツ感覚のスイーツではなく、大人だからこそ楽しめる味わいのスイーツに仕上げていく。まずは前もって仕込んでおいた、さくらんぼを使ったゼリーから出していくけどな。
《オトナ味!さくらんぼの赤ワインゼリー》
・さくらんぼ:160g
・赤ワイン:100cc
・水:400cc
・上白糖:50g
・レモン汁:小さじ1
・ゼラチン:10g
※お酒がダメな人は代わりにアセロラジュース500ccでも美味しく作れます。
さて、作っていこう。今回のゼリーの特徴は、赤ワインをゼリーのベースに使う事だ。赤ワインの酸味と渋味がさくらんぼの甘味を際立たせてくれる。使うさくらんぼは佐藤錦等の甘い品種がオススメだぞ。早速ゼリー液から作っていこう。耐熱ボウルに赤ワイン、水、レモン汁、ゼラチンを加えて軽く混ぜて500wの電子レンジで2分加熱。一度取り出し、上白糖を加えて再び混ぜたら再度500wで2分加熱。
ゼリー液の粗熱を取っている間にさくらんぼの種を取り除く。種取り器があるならそいつを使えばいいが、無いなら手軽な方法があるぞ?用意するのは割り箸。さくらんぼの実から軸を外し、その裏側を見ると黒い点のような物がある。実はコレ、さくらんぼの種の真下にある点だ。何であるかは知らん。ここに割り箸を突き刺して、軸の付いていた方向に割り箸を進めるとあら不思議、種がムニュッと押し出されてくる。しかも、型崩れしにくい。他のさくらんぼを使ったお菓子にも使えるテクニックだから覚えておくといいぞ。材料に使うさくらんぼは全て種を取り除いておく。
粗熱を取ったゼリー液を型に少量流し込み、15分程冷蔵庫で冷やし固める。一度取り出したらさくらんぼを半分程敷き詰める。そこにゼリー液を更に流し込み、さくらんぼがヒタヒタになる位までゼリー液を入れて再び冷蔵庫で1時間程冷やす。ゼリーが冷えて固まったら残りのさくらんぼを散らし、ゼリー液の残りを流し込んで冷蔵庫へ。しっかりと固まるまで2時間程掛かるぞ。しっかりと固まっていたら完成だ。
「よしよし、しっかりと固まってるな」
「あらぁ?何だか美味しそうな物を持ってるわねぇ」
「焦るな焦るな、今出してやるよ」
大きなゼリー型に収まったゼリーを、皿の上にひっくり返す。ブルン、と大きく揺れて型から外れたそれは赤ワインのクリムゾンレッドの中にさくらんぼの朱が浮かぶ、何とも美しい見た目に仕上がっていた。
「『さくらんぼの赤ワインゼリー』だ。荒潮の注文がさくらんぼを使ったカクテルだったんでな、折角だから合わせる物もさくらんぼにしようと思ってな」
「あらあら、ステキじゃない♪」
カウンター内の早霜も、甘い物には目がないせいか、ゼリーから視線が外せないようだ。
「どれどれ、切り分けるぞ」
ちょっとしたホールケーキ位のサイズがあるゼリーを、ナイフで切り分けて荒潮と早霜、そして俺の分と配膳する。
「冷たくてプルンプルンで……美味しい♪」
「成る程……さくらんぼの甘味を活かす為にゼリー本体は赤ワインの酸味と渋味を引き立たせて甘さ控え目に。丁度良い甘さで飽きも来ない。素晴らしい出来栄えです」
嬉しそうにニコニコしながら食べる荒潮は解るが……早霜よ、お前はいつから評論家になったんだ。
「すいません、甘い物には目がない物で、つい……」
「まぁ良いんだけどよ。他にも作るがもっと食べるか?」
「是非っ!」
食い付き早えぇよ、早霜。
「お菓子作りも良いけどぉ、こっちのお代わりも忘れちゃイヤよ?」
見れば、荒潮の奴が『シンガポール・スリング』を飲み干していた。お次もチェリーブランデーを使ったカクテルをご所望との事、チャッチャと作るとしよう。
《ハンターのカクテルレシピ》
・ウィスキー:40ml
・チェリーブランデー:20ml
お次は日本でも古くから知られているウィスキーベースのカクテル、『ハンター』だ。その昔は猟師が山での狩りの際の気付け薬として飲んでいた……らしい。ウィスキーに香りのよいリキュールを混ぜて作るんだが、チェリーブランデーがポピュラーらしいな。日本だと昔は梅酒を使ったりしてたらしいが、最近はチェリーブランデーが主流だそうだ。基本はウィスキーが2に対してリキュールを1加えてミキシンググラスでステアし、グラスに注ぐのだが甘口をお好みならウィスキーを減らしてリキュールを増やしてやると良い。
「ほらよ、『ハンター』だ。度数高めだから、チビチビ飲んだ方がいいぞ?」
「気を付けるわぁ……でも、良い香り♪」
香り高いウィスキーにチェリーブランデーの組み合わせだからな。香織を楽しむだけでも一度は頼んでみて欲しい1杯だ。さて、ウィスキーに合わせるならチーズだな。レアチーズケーキでも作るか。
《レアチーズケーキ!~さくらんぼのコンポート添え~》
(レアチーズケーキ)※直径18cmのケーキ型サイズ
・クリームチーズ:270g
・牛乳:180cc
・生クリーム:150cc
・グラニュー糖:75g
・レモン汁:大さじ1.5
・香り付けのリキュール(ラム酒オススメ):大さじ3/4
・粉ゼラチン:8g
・水:45cc
・ビスケット:90g
・無塩バター:60g
(さくらんぼのコンポート)
・さくらんぼ:400g
・砂糖:80g
・水:150cc
・赤ワイン:50cc
・バルサミコ酢:大さじ1
さて、作っていこう。まずはレアチーズケーキから作っていく。まずはケーキ型のそこにオーブンペーパーを敷いておく。底の形にピッタリになるように気を付けてな。お次は粉ゼラチンを水に入れて溶かしておく。
レアチーズケーキの底のタルト生地を作るぞ。市販されているビスケットをビニール袋に入れて細かく砕く。砕いている間に無塩バターをレンジで加熱し、溶かしバターを作っておく。
溶かしバターができてビスケットも細かくなったら、溶かしバターをビスケットに加えて全体をかき混ぜ、再び電子レンジで1分加熱。レンジから取り出したらケーキ型の底に敷き詰めて表面を均し、冷蔵庫で30分冷やす。
冷やしている間にレアチーズ生地を作るぞ。クリームチーズを電子レンジで40秒ほど加熱して柔らかくし、ボウルに入れて泡立て器で練る。そこにグラニュー糖の半分を加えてよく混ぜる。
グラニュー糖が混ざったらレモン汁とリキュール……今回はラム酒を加えて更に混ぜ合わせて滑らかにしておく。
鍋に牛乳とグラニュー糖の残りを加えて、かき混ぜながらグラニュー糖を溶かしていく。85℃位(軽くフツフツと沸いてくる位)になったら、一旦火を止めて水に溶いたゼラチンを加えてよく混ぜる。
再び火にかけて、ゴムへら等でゆっくりと混ぜつつまた85℃位になったら火を止め、温めた液を細かい目のザル等で濾す。
練ったクリームチーズに少しずつ濾した液を加えて混ぜ合わせ、全部が混ざったら再びザルで濾す。チーズクリームが出来たら生クリームを七分立て位に泡立て、チーズクリームと混ぜ合わせる。チーズクリームと混ぜる時には少しずつ加えて、ゴムへら等でサックリと混ぜてやるのがコツだ。これでレアチーズ生地が完成。
後は冷やして固めておいたタルト生地の上にレアチーズ生地を流し込み、型を左右に揺らして表面を均して冷蔵庫で冷やす。大体2時間位かな。
その間に上にかけるさくらんぼのコンポートを作るぞ。コンポートってのはフルーツを砂糖で煮詰めたシロップ煮みたいな物だ。何、ジャムとどう違うのかだって?ジャムってのはフルーツと同じくらいの砂糖を使って砂糖漬けにしたものを煮詰めた保存食、コンポートは砂糖少な目でフルーツの味を活かした常備菜みたいなモンで、保存性は低いぞ。コンポートは長期保存には向かないので早めに食べるようにしよう。ってなワケで作っていくぞ。
さくらんぼはしっかりと表面を洗い、さくらんぼゼリーの時にやったように種を取り除く。
鍋にさくらんぼ、砂糖、水、赤ワイン、バルサミコ酢を入れて落し蓋をして火にかける。弱火でコトコト40分くらい煮詰め、落し蓋を取って強火で10分くらい煮てアクを取る。勿論、水かさとかをチェックしつつ足りなさそうなら少しずつ足すようにしてくれよ?焦がしたら台無しだからな。アクも取れたら火を止めて、荒熱が取れれば完成だ。保存する時には煮沸したガラス瓶等に詰めて冷蔵庫へ。大体一週間は保つハズだ。
レアチーズも頃合いなので、食べやすい大きさにカットして上にコンポートをシロップと共にかけてやれば完成だ。
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