恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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43部分:第四話 張飛、馬超と会うのことその七
第四話 張飛、馬超と会うのことその七
「当主の馬騰が急死して治める者がいないから」
「そうですよね、麹義さんの案内で進出しようっていうところで」
「名馬に西域との貿易」
袁紹はそれを狙っていたのである。やはり彼女はこと政治や戦争といったものに関しては少なくとも無能な人物ではないようである。
「それを狙って擁州の董卓に睨みを効かす」
「その為にも」
「その家の娘が来ているなんて」
また言う麹義だった。
「どうなるのかしら、本当に」
「それはそうとよ」
文醜がまた言う。
「はじまったわよ」
「あっ、今?」
「遂に」
五人はその闘いのはじまりを見る。まずはその緑の肌の男が名乗る。
「わしの名は不知火幻庵」
「それがあんたの名前か」
「左様、わしの名前を覚えておくケ」
「一応は覚えておくさ」
その十字槍を両手に持っての言葉である。
「それはさ」
「一応じゃと」
「そうさ。悪いがあんたは倒させてもらうよ」
悠然と構えての言葉である。
「それでいいよな」
「できたらな。では行くケ」
「はじめ!」
言葉と共に幻庵は一旦その顔を馬超から背けてだ。すぐに紫の息を吐き出してきた。
「毒霧か!」
「左様、かわせるケ?」
「こんなのはな!」
馬超は叫んでだ。一気に跳んでだ。そのうえで急降下して槍の攻撃を浴びせる。すると幻庵は彼女のその攻撃を左手の爪で防いだ。
「くっ、わしの毒霧をかわしたケ!?」
「確かに驚いたさ」
馬超もそれは認める。
「あんたどうやらまともな人間じゃないな」
「そうだケ。我が一族はケ」
それを自分でも認める幻庵だった。
「人ではない存在の血も引いておる」
「そうか、やっぱりな」
「しかしこの世界には気付けば迷い込んでいたケ」
「何っ!?」
「この世界では生きる為に金が必要だケ。だから闘うまでだケ」
「それだけだってのか」
「左様、それだけだケ」
こう言うのである。
「ではじゃ。今度はだケ」
後ろに着地した馬超に対してだ。今度は激しく縦に回転しながら転がってきた。その技で馬超を倒そうというのだ。
「ケケケケケケケケケ!」
「転がってきたのか」
「さて、どうして倒すケ?」
転がりながら馬超に問う。
「このわしを」
「心配無用、こうしてな!」
馬超はこう叫んでだ。その幻庵に対して突進する。そうしてだ。
その槍を激しく突き出す。それで迫る彼を一気に弾き飛ばしたのだ。
「ピギャ!?」
「よし、一本だな!」
馬超は場外に弾き飛ばした幻庵を見て言う。
「あたしのな!」
片足を鶴の様に掲げさせての言葉だ。その時スカートが翻りエメラルドグリーンのものがちらりと見える。彼女の色はそれだった。
「見えた!じゃなくて一本!」
ここで審判の声が響く。馬超も見事勝利を収めた。
勝負はこのまま続く。張飛も馬超も順調に勝ち進んでいく。そして気付けばだ。勝負は決勝にまで進んでいる。その二人の闘う者は。
「さあ、瞬く間にここまで来ました!」
「凄いですね」
解説者の横で審配が言う。
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