大和撫子の胸
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第三章
「そうしてくれる?」
「ええ、それじゃあね」
こうしてだった、友人達はのりのその矯正ブラを体育の着替えの時に見るもっと言えば見せてもらうことになった。
そして実際にだ、そのブラを見ると。
「あっ、それブラなの?」
「それがのりちゃんの言ってたブラだったの」
「そうだったの」
「ええ、そうなの」
その通りだというのだ、見ればそのブラはさらしだった。のりは胸のところにそれを巻いているのだ。
のりはさらし姿になって皆に話した、上はさらし一枚だが下はスカートである。
「お母さんもこれでね」
「着物の邪魔にならなくて」
「肩も凝らなくなった」
「揺れなくもなったの」
「いいわよ、あと型崩れしない様に気をつけてるから」
そうして巻いてるからだというのだ。
「そっちも大丈夫だし」
「そうなのね」
「矯正ブラって何かと思ったら」
「日本古来のさらし」
「それだったの」
「いいわよ。ブラの肩のラインも見えないし」
袖や脇からだ。
「汗も吸ってくれし」
「そうなの」
「さらしね」
「そんなにいいのね」
「そうよ、本当にいいから」
また言ったのりだった。
「皆もしてみたら?」
「いや、ちょっとね」
「のりちゃん大和撫子だからいいけれど」
「私達はね」
友人達は少し苦笑いになってのりに答えた。
「さらしはね」
「少し抵抗あるから」
「遠慮するわ」
「そうなの、揺れないし凝らないし着物の邪魔にもならないのに」
胸をそう矯正してくれるというのだ。
「それでもなのね」
「まあのりちゃんに合ってるならいいんじゃない?」
「それじゃあね」
「それでいいんじゃない?」
「のりちゃんがいいのなら」
「それじゃあ私はこれからもね」
そのさらし姿のまま皆に応えた。
「着けていくわね」
「ええ、そうしたらいいわ」
「のりちゃんに合ってるなら」
「それでね」
友人達はこう言うだけだった、そしてのりはというと。
さらしの上から体操服を着た、それからスカートを脱いでだった。
半ズボンを穿いた、そうしてまた言った。
「じゃあ今からね」
「ええ、体育ね」
「私達も着替えて」
「それでグラウンドに出ましょう」
「揺れないから」
体操服姿で言った、今度は。
「もう安心よ」
「ううん、どんな矯正ブラかって思ってたら」
「まさかのさらしで」
「しかもそのさらしがいい」
「思わぬことだったわね」
友人達も体操服に着替えつつ言う、そしてだった。全員体操服のりと同じ服装になってだった。
授業に出た、そうしてのりは揺れない胸を見てさらしに感謝した。
大和撫子の胸 完
2017・6・26
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