ソードアート・オンライン~白と青の軌跡~
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隠される本心
前書き
期末がぁぁぁぁ……!
では、本編へ(笑)
青の剣士……ライアは迷宮区内でレベリングをしていた。
75層でヒースクリフが倒されたにも関わらず、終わらないデスゲーム。
──まさか……な……。
ライアは何故かを考えながら剣を振るっていた。
──あのヒースクリフ……茅場晶彦が約束を破るとは思えない。
デスゲームという非常識な事をやった人物であったが、このゲーム自体はフェアを貫いていた。
昨日、シノンとリーファに会った時に言われた一言。
『いつまでアスナ達から離れるつもり?』
ライアはあの時、本当は違う言葉を返そうとしていた。
「俺は君達の傍に戻る事も、同じ時間にいる事さえ許されない。」と答えようとしたが、答えられなかった。
何故なら、その事を口にしてしまうと……。
──………俺の仮説が正しければ、俺は死ななければいけないから。
その考えが過ぎったことで言えなかったのだ。
「………このぐらいにしておくか。」
ライアは迷宮区の安全地で休息してから、転移した。
「転移・アーガルス!」
「いらっしゃいま……って、ライじゃない。」
カランカランと扉を開けると、元気な声が聞こえた。
「久しぶり、リズ。」
ライアは扉をゆっくりと閉め、声の主の目の前へと歩を進める。
「今日はメンテかしら?」
「いや、オーダーメイドをお願い出来る?」
"オーダーメイド"
それはインゴットと呼ばれる石など、必要と言われる素材から鍛冶屋に作ってもらうLAとは違う強さを持つ剣を入手する一つの方法だ。
「オーダーメイド?構わないけど、アンタ今魔剣クラスの片手剣を……」
「片手剣じゃなくて細剣なんだ。」
ライアはそう言ってウィンドウを開き、素材をオブジェクト化させてリズに見えるようカウンターに置いた。
「細剣って、アスナにあげ……」
「うるさい。」
リズはニヤニヤしながら「はいはい。」と笑いながら仕事を始めた。
「速さ重視の軽めでよろしく。」
「分かったわ、少し待ってて。」
リズは素材を手にして奥の鍛冶スペースへと移動した。
ライアは鍛冶屋の中をキョロキョロしながら待っていた。
鍛冶屋にはハンマーでインゴットを叩く音が響くだけで沈黙が流れていた。
そんな沈黙が数分続くと、リズの方から沈黙を破った。
「アンタさ、アスナにもう会わないつもりなの?」
「……………。」
「アスナ、自分の事のように毎日心配してるわ。それはもう見てるこっちがアスナを心配したくなるほどにね。」
ライアは分かっていた。
アスナ、結城明日奈は幼馴染みで昔からの仲。
彼女がどんな人で、人柄なのかも恐らく誰よりも知っているだろう。
──本当ならすぐ傍で守りたい……
ライアの本心は、アスナの傍にずっといる事だった。
だが、彼は誰にもその本心を話さない。
「彼女が剣を握らなくて済む日まで、俺は戦い続けるって決めたから……」
「……ライア。」
リズはいつの間にか作業を終わらせて、1本の剣を両手で持ちライアの目の前に立った。
「名前は"ラスペツィア・ミーア"、細剣の中でも私が作った"ランペルトライト"と同じぐらいよ。」
「イタリア語で僕の希望……か。」
ライアは苦笑いをしながら剣を受け取った。
「ピッタリじゃない、アスナ喜ぶわよ。」
「…………なぁ、リズ。」
ライアは真面目な顔でリズに話しかけた。
リズはいきなりライアが真剣な顔をして話しかけたため、身構えた。
「俺は……彼女を……アスナをあの世界に戻せるのかな……」
それは弱々しい声だった。
「………大丈夫よ。」
リズはぎゅっとスカートの裾を握って答えた。
「アンタは攻略組の青の剣士で、一刀流使いのライアで何より……」
リズは笑顔で声を発した。
「『私達を守ってくれるヒーローでしょ?』」
「っ!?」
リズはこの時気づかなかった。
昔、ライアが向こうの世界で幼馴染みに言われた言葉と全く同じことを言った事を。
ライアは、リズとアスナを重ねてしまった。
「ライア?」
リズは固まってしまった目の前の少年に話しかける。
「な、何でもない、俺は行くよ。ありがとう。」
ライアはハッとしつつ、感づかれないように鍛冶屋を出た。
「………少しは頼んなさいよ。」
リズが悔しそうに言った言葉は、ライアに届くことは無かった。
鍛冶屋から出て、ライアは街中をぶらぶら歩いていた。
「ライ……くん……?」
その時、名前を呼ばれたライアは後ろに振り返った。
「アス……ナ……。」
約半年ぶりの再開だった。
デスゲーム終了まで、残り9日──
後書き
イタリア語って面白いですよね←単純に英語嫌い
では、また次回!
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