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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  Diving Story



落ちる、落ちる、落ちる
狭い縦穴を、重力に従って蒔風が落ちていく。


(飛び上がって戻ってもいいけど、なんかそんなことするとすごく叩かれそうだし・・・・)



行くべきか、行かざるべきか
悩んだ末に、彼は渋々だがそのまま向かうことにしたのだ。


そして、思考から二秒後。
その最下層が見えてきた。



------------------------------------------------------------



ドォン!!という音を、「それ」は聞いた。
振り向くと、エレベーターの扉が振動して、その隙間から煙が出ている。


音に反応してか、同じように死人兵士(それ)が集まってきて、扉に向かって銃口を構える。
そして首輪がピピッと光ると、それが合図だったかのように引き金が引かれた。

カチッ、バグォッッッ!!



「・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・」


死人兵士は無言でその爆発を見る。
この銃は、機関が開発していたあの高威力銃だ。


一発一発があまりにも重いもの。
これで扉の向こうにやってきたものは粉砕したはず。


『遺体を確認せよ』

「・・・・」


首輪から発せられる音声。
死人兵士はそれに従って煙の中に入っていく。





視界は効かないが、手元ぐらいは見える。
煙の中に入った一体は、足元を調べて遺体を確認しようとする。


ひしゃげた扉、転がる瓦礫。
だがその中に侵入者の残骸はない。


「・・・・・?」


死人兵士が少し頭を捻るように上を見る。

すると



「フッ、フッ、フッ――――――!!!」

「・・・・!!」


そこで細かく呼吸を取りながら、四肢を突っ張って竪穴で止まった蒔風を見つけた。

興奮したような呼吸を切り、蒔風が死人兵士に飛び降りて首を蹴り折る。
兵士の手から落ちた銃を拾って「はぁ~・・・・」と非常に長い溜息を吐き出す蒔風。


その顔には冷や汗が流れており、今にも逃げ出したしたいかのような表情を浮かべている。
そして、その願いはかなえられる。


「?・・・・う!?ひぃっ!!!!」

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュンッッ!!!



煙の向こうに向かった一体が倒されたと知った残りの兵士が、煙の中に向けて一斉掃射を仕掛けてきたのだ。。

それに驚いて蒔風はジャンプ。
縦穴に取り付けられた梯子を握ってぶら下がった。


「ひぇえ・・・・って、これからどうしよう・・・・」


正解を述べるのなら、彼は着地するべきではなかった。
一体が入ってきたところで倒すのはいい。

その倒し方としては、死人兵士から見て縦穴の奥の方の壁を蹴って行くのだ。
そしてすれ違いざまに一体を撃破、そのまま残りの死人兵士に突撃して殲滅。


しかし蒔風は、とりあえず目の前の敵だけ倒してしまった。
だからこんなめんどくさいことになるのだ。


「た、たぁすけてぇーーーー!!!」

キャー!と声を上げる蒔風。
その声はコンクリートの壁に反響し、アリスや佳景山達のところにまで聞こえてきた。



『キャー!!』

「・・・・なぁ、悲鳴あげてるぞ?」

「下手打ったみたいですね」

「うわ暗。なんも見えねぇ」


呑気に覗き込んで状況を見る三人だが、手前に少しの非常灯が見えるだけで何も見えない。
奥の方は土煙に隠れてしまっているのだ。


「助けに行くか?」

「そりゃあそうだろうな」

「こっちも呑気なこと言ってられなくなりましたしね」

「「え?」」



穴を覗き込む二人とは反対側を見ていたアリス。
そこにやってきたのは死人兵士二、三体だった。


「ま、舜の言葉通りなら見つかった以上我々を放置する理由は向こうにないわけでして」

「やるか?」

「うーん・・・・そうですねぇ。でも今は舜も危ないことですし」

「行くのか」

「ええ」

ガシッ!

「行きま~す!」


そして、アリスが二人を掴む。
飛び降りる。


「「うおォォおおおおおお!!??」」

縦穴を猛スピードで落ちていく。
それは怖いのなんのである。

初原も佳景山も、度胸があると言ってもやはり一般人だ。
一辺二メートルほどのコンクリートでできた縦穴を自由落下したらそれは怖い。


そしてその時間はあっという間に終わる。

真上から死人兵士の銃撃がやってきて、それをアリスが手を上にかざしてバリアで防ぐ。
土煙の中に突入すると、そこには蒔風がいた。

バリアを足場にも展開し、着地するアリス。


「なにやってんですか」

「いや、行こうにも行けない」


蒔風は獅子天麟を壁に突き刺して足場にしてしゃがみこんでいた。
手に銃を持っているということは一体は倒したのだろう。


ちなみに上からはともかく、土煙は収まってないが下の方の銃撃は止んでいるのだ。
出て行けば間違いなく蜂の巣だが。


「蜂の巣ってレベルじゃないよな」

「ああ、あの威力じゃ消炭だ」

「いや、あれはレーザーの形だけど熱線じゃないから」

「受けてる感じですと光弾に近いですね。まあ威力はディメンションブラストとかシュートレベルですが」

「それって何?」

「前者が仮面ライダーディケイドの必殺技。後者はディエンド」

「それを片手で受けてるアリスさんって・・・・」

「あぁ、こいつ実は相当強いよ?だから、さぁ!!行くがよい!!」


まるで目の前に道があるかのようにバッ!と手を出してアリスに指示を出す蒔風。
その蒔風の頭を呆れたようにコツンと叩き、アリスがため息交じりに初原と佳景山を預けた。


「まあ戻らずにここまで飛び込んできたのですから、今の段階では合格点としましょう。彼らの足場を用意してください」

「うい」


蒔風が「林」を壁に突き刺し、バリアを張ることで足場にする。
さらにアリスから頭上のバリアも受け取ってそれを持ちあげて

「重ッ!?」

「ものの二十秒もかけませんよ。がんばってください」

「う! お! お! お! お! お! お! お!?」

振ってくる銃撃の重さに振動しながら声を上げる蒔風。
そんな蒔風をしり目に、ひょいと飛び降りて弾幕の中にアリスは向かって行ってしまった。



------------------------------------------------------------




収まらぬ土煙の中にアリスが飛び込み、服装がノースリーブのスマートなものに変わっていく。

バフッ、と静かだった土煙に乱れが生じ、それを感知して死人兵士たちが銃を構えて



ドドドドドドドドドドドンッッ!!



引き金を引いた。

死人兵士は五体。
五つの轟弾が飛んでいき、すぐに次弾が銃口から飛び出していくことで弾幕が完成する。

その間隔は実に0.1秒。
だが逆にいえば


バンッ!バッバン、ドドンッ!!


「0.1秒に五つしか来ないということです」

飛来してきた最初の五つを弾き飛ばし、0.1秒で猛接近をするアリス。
当然次弾が来るが、それよりも早くアリスは跳躍、一気に五体を飛び越える。


そして背後から二体を後ろ蹴りで蹴り飛ばした。
その勢いは凄まじく、アリスを狙っていた弾幕の中に突っ込ませるほどのものだった。

死人兵士が爆散し、そこで残った三体は、やっと背後にアリスがいることに気付く。




振り向きざまに銃撃を放つ三体。

アリスは真ん中の手元を蹴って、銃口を別の一体に向けさせる。
アリスから見て左側の一体がその銃撃で爆発し、右が放った銃撃は上腕で逸らすように弾いた。

そして右の銃を掴みとって握力でひしゃげさせて破壊、その一体と一緒に引きずるようにして放り投げ、爆発。

アリスの右頬に新たな爆炎が迫るよりも早く、彼女は最後の一体を盾にしてそれから身を守った。
盾にした一体は前面が焼け爛れてしまい、命令を受理しても体が動かぬままビクビクと動くだけだった。


これにて、戦闘は終了する。


経過時間は15秒もない。
その一体を放り投げ


「・・・ふぅ」


パンパンと両手を払い、一息をつくアリス。
エレベーター縦穴内の蒔風たちを呼び、出てくるように促した。


どうやら上からの銃撃は止んでいたようで、話を聞くとバリアを斜めに少しずらしてできた隙間から佳景山が狙い撃ちして倒したようだ。



ともあれ、障害は排除した。
次の段階へと歩を進める。


「先に進みますよーぅ」

「うーぃす」


施設の攻略を?
それもだが、何よりもビビってしまっている主人公を立ち直らせるのを、だ。



to be continued
 
 

 
後書き

アリスのかっこいい戦闘シーン


アリス
「0.1秒!!一発目が撃たれてから次のレーザーが飛び出すまで、0.1秒の隙がある!!」

蒔風
「0.1秒は隙って言わねーよ!!!(汗)」

アリス
「いまだ!!」

蒔風
「聞けよ!!」


次回は機関の局員が出てきます。
まあ残党なので大した奴らじゃないですけど、ここを乗り越えていけるのか!!蒔風!!



蒔風
「友よ!君たちはなぜ、戦場に来てしまったのか!!」

初原
「ライブマンかよ」




ではまた次回
 
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