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ドリトル先生と悩める画家

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第十幕その六

「それと君結構暖かい服装をしてるね」
「寒さには気をつけてます」
 見れば厚い生地のコートにズボンです、首にはマフラー頭にはニット帽で耳には耳当てまでしています。手にはミトンです。
「ズボンの下にはもう一枚。トランクスの上に穿いてます」
「ズボン二枚だね」
「ジャージを」
「それはいいね」
「寒いですから」
 だからだというのです。
「もう完全装備でいます」
「寒ければ服を着ろっていうけれど」
「そうしています」
 実際にというのです。
「寒くない様に」
「いいね、僕も実はね」
 いつものスーツに帽子、それにコートを着ていますが。
「シャツの上にセーターも着てるしズボンの下にもね」
「穿いてるんですね」
「日本で言う股引をね」
「そう言うとおじさんですね」
「ははは、年齢はそうだよ」
 先生は太田さんに笑って答えました。
「実際にね」
「そこでそう言われますか」
「言うよ、本当のことだからね」
 先生は笑って太田さんに言うのでした。
「僕はいいおじさんだよ」
「だから股引もですか」
「穿いてるんだ。あとカイロも持ってるよ」
 使い捨てカイロもというのです。
「背中に貼ってるよ」
「あれもいいですよね」
「偉大な発明品だよ」
 使い捨てカイロにこうも言うのでした。
「本当にね」
「僕もそう思います、今は使ってませんけれど」
「どうしても寒い時は使うね」
「そうしています、外で描く時に暖めてくれますから」
 だからこそというのです。
「そうしています」
「それもいいことだね」
「はい、寒い時を描く時は暖かくして」
 そうしてというのです。
「描いてます、あと暑い時は」
「涼しくしてだね」
「帽子を被ってお水も用意して」
「描いているんだね」
「そうしています」
「夏は熱射病や日射病に気をつけないとね」
「ですから」
 夏にお外で描く時はというのです。
「そうしています」
「そうしたことも備えてるんだね」
「はい、いつも」
「それは何よりだね、じゃあ僕はこれから爬虫類のコーナーに行くけれど」
「爬虫類ですか」
「彼等を観てくるよ」
「あそこは何処もお部屋の中は暖かくしてますから」
 熱帯と同じ気温にです。
「元気にやっていますね」
「うん、ただヨウスコウワニ君達は出ていないけれどね」
「その種類の鰐はですか」
「彼等は冬眠をするんだ」
「そうした鰐もいるんですね」
「唯一冬眠をする鰐君だよ」
 先生は太田さんにこのこともお話しました。 
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