ドリトル先生と悩める画家
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第十幕その一
第十幕 雪の中の学園
雪は止みました、ですが関西全てが雪に覆われました。それは勿論神戸も同じで。
八条学園は一面銀世界です、屋根も木も草原も道路もです。
全て雪に覆われています、先生は銀世界の動物園の中にいて動物の皆に言いました。
「暑い場所の生きもの達は中に引っ込んでるね」
「うん、そうだね」
「ライオンも像もキリンもね」
「皆中に入ってね」
「出て来ないね」
「これだけ寒いと仕方ないよ」
「うん、無理をしたらね」
暑い場所にいる生きもの達が寒い場所に出るとです。
「よくないから」
「だからだね」
「ここはだね」
「暑い場所にいる皆は引っ込んで」
「寒い場所の生きもの達だけがいるね」
「そうだね」
「そうだよ。こうしてね」
実際にというのです、見れば狼やシロクマ達は元気です。そしてホッキョクギツネもです。
元気に檻の中で動いています、その白い毛を見てです。先生は言いました。
「ホッキョクギツネ君は元気だね」
「夏は今一つだけれどね」
「冬はいつも檻の中だね」
「それで冬にこそ元気になるね」
「寒い北極の生きものだからね」
先生もお話します。
「シロクマ君やレミング君達と一緒でね」
「あとトナカイさんもだよね」
「トナカイさんも北極の方にもいるね」
「サンタさんと一緒に」
「そうだよ、だからトナカイ君もね」
見れば彼等も元気です、雪の中で飛び跳ねています。
「ああして元気なんだ」
「寒い場所にいる生きものは雪が好きなんだね」
「そういうことね」
「暑い場所にいる生きものは夏が好きで」
「それぞれね」
「そうだよ。特にね」
さらにお話する先生でした。
「北極や南極にいるとね」
「寒い場所が好きで」
「今みたいな状況が一番いい」
「そうなるんだね」
「そうだよ」
先生は皆に笑顔でお話します。ですがここで。
灰色の毛に黒い水玉模様があるアザラシを見てです、こう言うのでした。
「ヒョウアザラシ君も元気だね」
「ううん、そうだね」
ダブダブは専用のコーナーの中で泳いでいる彼等を怖いものを見る目で見て言うのでした。
「あの人達もね」
「殆どのアザラシさんは穏やかだけれど」
ホワイティもヒョウアザラシ達を怖いものを見る目で見ています。
「ヒョウアザラシさん達は違うからね」
「猛獣よ」
ガブガブははっきりと言いました。
「クロクマさん達よりもまだ怖いかも」
「南極にはシロクマさんはいないけれど」
ジップもヒョウアザラシ達を怖いものを見る目で見て言うのでした。
「ヒョウアザラシさんがいるんだね」
「先生と一緒でも」
チーチーも警戒している感じです、安全な場所にいても。
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