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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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412部分:第三十三話 孫策、山越を討つのことその八


第三十三話 孫策、山越を討つのことその八

「今よ」
「はい!」
「それでは!」
 孫権が指示を下す。それによってだ。
 砦の壁に陣する孫権軍が一斉に弓矢を浴びせる。それが山越軍を襲う。まるで雨の如き攻撃を受けてだ。彼等は浮き足立った。
「糞っ、漢の奴等!」
「今度はとりわけ強いな!」
「そう、強いからこそよ」
 孫権はその彼等を見下ろしながら言うのだった。
「勝たせてもらうわよ」
「敵将はあれか!」
「あの青い目の女だ!」
 山越達も孫権に気付いた。
「あの女を射ろ!」
「そして倒せ!」
「そうはさせん!」
 弓矢が孫権に向かって放たれる。しかしであった。
 その彼女の前に甘寧が出てだ。その手に持っている剣で弓矢を全て叩き落す。見事な剣の腕である。
「蓮華様には傷一つつけさせぬ!」
「何っ、またか!」
「あの女将軍、あの!」
 ここで山越兵の一人が言う。
「江南の鮫か!」
「甘寧か!」
「そうだ、私が甘寧だ!」
 自らもこう名乗る。
「この剣を恐れぬならば来い!」
「抜かせ、今こそだ!」
「その首貰い受ける!」
「絶対にだ!」
 こう言って一斉に壁に梯子をかけ登ろうとする。しかしであった。
 呂蒙がだ。遠くを見て言った。
「来ました」
「姉上ね」
「はい、来られました」
 こう孫権に言うのだった。
「この戦い、これで」
「ええ、勝てるわね」
「ここまでは手筈通りです」
 呂蒙は冷静に述べた。
「問題はこれからですが」
「姉上ね」
「雪蓮様は見事勝たれます」
 それは呂蒙も確信していた。
「ただ。勝ってからですが」
「そういうことなの」
「はい、敵の本拠地をどうするかですね」
「ええ、それからのことも考えているわよね」
「はい、既に」
「ならいいわ」
 孫権は呂蒙のその言葉に頷いた。そのうえで、であった。
 戦い続ける。そしてそこにだ。
 攻める山越軍の後方からだ。鬨の声があがった。
「さあ、行くわよ!」
 孫策が軍の先頭に立ち指示を出す。
「この山を登ってね。一気に討つわよ!」
「了解です!」
「それでは!」
「全軍突撃!」
 剣を抜いて兵達に命じる。
「今こそ我等に勝利を!」
「それにしても雪蓮様」
 陸遜が孫策のところに来て話してきた。
「山越は相変わらず凄い山ばかりですね」
「そうね。それがねえ」
 孫策も苦笑いになる。彼等の周りは緑の木々ばかりである。その山の中を駆け登っているのである。肉体的にかなり辛い戦いであるのだ。
 
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