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MS Operative Theory

作者:ユリス
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内部図解
  MSの操縦訓練②


——パイロットの基礎能力を養う訓練と、訓練を必要としないニュータイプ——

 パイロットの訓練とは、シミュレーターや実機を用いた操縦技術に関するものだけではない。強い肉体や精神を養うことも、パイロットとして必要不可欠に訓練である。強い肉体(体力)は、急激な加減速や方向転換時などで身体に掛かるG、そして狭いコックピット内での長時間の作戦行動に耐えるために必要な要素である。精神面の訓練は、被弾時や空間失調時に陥りやすいパニックへの耐性だけでなく、自制心を養う意味でも重要なものとなる。戦功や個人的な復讐心などから、命令を無視するパイロットが見られることからも(ジオン公国軍のジーン軍曹やティターンズのジェリド・メサ中尉など)、自尊心はパイロットには特に重要である。

 MSを手足のように操るためには、長期に亘る調練が必要、と言うのが一般的な見解である。しかし、中には訓練を受けることなくMSを乗りこなすものがいる。それが「ニュータイプ」と呼ばれる存在で、民間人でありながら偶然乗り込んだRX-78-2(ガンダム)で2機のMS-06(ザクⅡ)を撃破したアムロ・レイや、奪取したRX-178(ガンダムMk-Ⅱ)を操ったカミーユ・ビダンらが特に有名である。アムロやカミーユは、親がMS開発者であったため、機械に通じていたことは確かだが、軍用MSはJr.MSやプチMSより遥かに複雑なマシンであり、本来であれば訓練なしで操縦できるものではない。だが、ニュータイプはそうした訓練は殆ど必要とすることなく、MSを思い通りに操縦したのである。


——具体的なMS訓練方法/機材——

 MSの操縦訓練ではシミュレーターが必要となる。これには前述の通り、据え置き型とMSのコックピットを流用したものの2種類があり、それぞれに操作感などに違いがある。訓練は一般的に据え置き型から始められるが、状況によってMSのコックピットを流用したシミュレーターが用いられることもある。また、これ以外にも模擬戦用の兵装などの機材もあるが、これらは通常では実機での訓練に用いられる。

■据え置き型シミュレーター

 専用の筐体あるいはMSのコックピットそのものを流用した据え置き型のシミュレーター。最初期の訓練に利用されるものだが、Gなどを再現できないことを除けば、本物のMSと銅との操縦感が得られる。

▼ホワイトベース設置モデル

 一年戦争時の地球連邦軍のモデルは、シートと操縦桿、前部コンソールなど、最小限の機器のみで構成されていた。航空機用のシミュレーターを転用したものと思われる。ジオン公国軍のものは知られていない。

▼艦艇設置タイプ

 MSのコックピットを流用したタイプは、艦艇や基地など、ある程度の余剰スペースのある施設に置かれる。大型艦であるドゴス・ギアには、NRX-055(バウンド・ドッグ)用シミュレーターが置かれていた。

■MSのコックピット

 MSのコックピットを、シミュレーターとして代用するもの。基本的には据え置き型と同じだが、MSをそのまま使用するため、専用のシステムを必要とせず、余剰スペースが少ない艦艇などに適する。

▼RX-78NT-1(アレックス)

 一年戦争末期、リボー・コロニーで調整中だったアレックスのコックピットがシミュレーターとして利用された。全天周囲モニター搭載機だったため、シミュレーターへの転用が容易であったようだ。

▼RGM-89(ジェガン)

 地球連邦軍主力MSRGM-89(ジェガン)のコックピットは、事前に行った戦闘データを反映させたシミュレーターとして利用できた。これは軍事機密であったとされるが、この時期のMSの標準的な機能だと思われる。


——実機を挙動させての訓練——

 MSの実機に搭乗して行う訓練で、シミュレーターでは再現しにくいGや衝撃を体験できるだけでなく、戦闘時のパイロットの疲労度なども計測できる。初期には歩行やジャンプなどの基本動作を訓練するが、段階を追うごとに実戦に近い訓練となり、最終的にはMS同士の模擬戦となる。模擬戦ではペイント弾を使用するか、ロックオンのみとなるケースが殆どである。対戦相手は、実機だけでなくコンピューターで再現されたデータであることも少なくない。

■実機を使用した訓練

 実記を用いた単独操縦訓練や、実機同士の模擬戦。訓練初期には、複座コックピットを搭載した訓練用MSが使用されるケースが多く、パイロットは教官と共に搭乗する。模擬戦は、安全性を考慮してペイント弾やロックオンのみを行う射撃戦が殆どだが、実弾を用いるケースも有る。

▼サウス・バニング大尉とコウ・ウラキ少尉の模擬戦

 U.C.0083に行われたバニング大尉(RGM-79N(ジム・カスタム))とウラキ少尉(RX-78GP01Fb(ガンダム試作1号機))の宇宙での模擬戦。相手をロックオンする型式を採った訓練であった。

▼ロベルト中尉とカミーユ・ビダンの模擬戦

 ロベルト中尉(RMS-099(リック・ディアス))と軍属のカミーユ(RX-178(ガンダムMk-Ⅱ))の模擬戦。模擬戦専用の兵装が使用されたが、クワトロ大尉機が乱入したために実弾が使用されている。

■シミュレーションによる訓練

 模擬戦の一種だが、対戦相手は実機ではなく、実働中のMSのコックピットに表示されたデータである。実機同士が行う模擬戦と異なり、接触や誤射による被害が無く、比較的安全な訓練だと言える。実際にMSを挙動させるため、実戦に近い感覚で訓練できる点もメリットとなっている。

▼クワトロ・バジーナ大尉対データ版シャア・アズナブル

 クワトロ・バジーナ大尉ことシャア・アズナブルが、リック・ディアスで行った対データ模擬戦。ジムⅡやガンダムMk-Ⅱを撃破したが、一年戦争時のシャアのデータを反映させたMS-06S(ザクⅡS型)に敗れた。

▼クワトロ・バジーナ大尉対「あの人」

 ザクⅡS型とのデータ模擬戦の後、MSN-00100(百式)を受領したクワトロ大尉が行った対データはRX-78-2(ガンダム)で、パイロットデータは「あの人」ことアムロ・レイであったようである。 
 

 
後書き
次回 マニピュレーター 
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