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ファーストキス

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第二章

「そんなに気になるんなら」
「やっぱりそうね」
「かく言う私もね」
 愛美も自分のことを言った、どうにもという顔で。
「ちょっとね」
「やってみようって思ったの?」
「そう、実際にやってみて」
 そしてというのだ。
「確かめてみようかしら」
「キスっていっても色々よね」
 杏美は考える顔で右手の人差し指を肩の高さで立てて言った。
「フレンチキスもあれば」
「軽いキスね」
「お口の中で舌と舌を絡み合わせるハードな」
「ディープキスね」
「そのキスをするの?」
「いや、最初からディープキスはないでしょ」
 愛美はこう杏美に返した。
「それは」
「そうなの?」
「最初は何でも軽くでしょ」 
 そうだというのだ。
「いきなり激しく舌と舌を絡み合わせるとか」
「ないのね」
「幾ら何でもね」
 こう言うのだった。
「ないでしょ」
「そうなのね」
「いや、まさか杏美いきなりそっちのキスするつもりだったの?」
 愛美はいささか引いて杏美に尋ねた。
「高橋君と」
「そこまで考えてなかったけれど」
「じゃあ軽くね」
「最初は」
「フレンチにしたら?そんな最初から舌と舌を絡め合わせるとか」
 自分が相手とそうする姿を想像してだ、愛美は顔を真っ赤にさせてそのうえで杏美に言った。
「どれだけハードなのよ」
「ハードなのね」
「ハードにも程があるわよ」
 それこそというのだ。
「本当にね」
「それじゃあまずは」
「そう、軽くしなさい」
 フレンチキスでというのだ。
「いいわね」
「わかったわ、それじゃあ」
「そう、フレンチキスをね」
「してみるわ」
「どっちにしても何時かはね」
「経験するものよね」
「杏美も結婚して、でしょ」
 将来はとだ、愛美は杏美に返した。
「やっぱり子供ね」
「ということは」
「言わないけれどね」
「言えないわよね」
「ちょっとね」
 愛美は今度は苦笑いで言った。 
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