ストリートミュージシャン
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第三章
「それね」
「はい、学校の中でやっていいですか?」
「ライブを」
「そうしていいですか?」
「中庭とかで」
「私からね」
部長の山田綾音は言った、黒髪を短めにしている大きな目の少女だ。背は一六〇位で胸がかなり目立つ。
「皆に言おうかしらってね」
「思われていたんですか」
「そうだったんですか」
「うちって第二でしょ」
第二軽音楽部だ、部員が多いので軽音楽部が幾つかになっているのだ。
「学校の中のライブ会場もね」
「いつも第一と揉めて」
「どっちが使うか」
「使えない時も多いですね」
「どうしても」
「そうなのよ、あっちもあっちの事情があるし」
第一軽音楽部もというのだ、尚両者の仲は決して悪くはない。しかし揉める時は揉めるのだ。
「向こうの部長の真礼ちゃんもね」
「引かなくて」
「どうしてもですね」
「あの娘とは同じクラスだしね」
第一軽音楽部の部長とは、というのだ。
「同じ丁で付き合いもあってね」
「部長あっちの部長さんと仲いいんですよ」
「よくお話してますよね」
「だから余計によ」
普段仲がいいだけにというのだ。
「揉めたくないし」
「仲がいいだけに」
「そこは部長さんもですよね」
「普段から仲悪いのならですけれど」
「構わないですが」
「そうよ、もう嫌いな奴とはね」
それこそとだ、綾音は未可子と奈津美に言った。
「私的にはどうなってもね」
「平気ですね」
「それこそ」
「私はそうした性格よ、ただね」
また言うのだった。
「真礼ちゃんには譲ってもらうことも多いし」
「ですよね、確かに」
「こっちもそうすること多いですけれど」
「第一さんには借りも多いですし」
「下手に揉めるよりは」
「演奏して歌えるならね」
それならばというのだ。
「こっちもね」
「譲れたらですね」
「もう譲って」
「それでやっていくべきですね」
「出来るだけ」
「だからね」
ライブ場のことも考えてというのだ。
「ここはね」
「はい、それじゃあですね」
「学園の中庭や道路で演奏してみますか」
「そうしていきますか」
「駅前や公園だけじゃなくて」
「先生にも言ってみるわ」
部室やライブの場以外での部活動になる、だからここは部活の顧問に確認を取ってそしてというのだ。
ここはだ、まずそうしようというのだ。
「確認取るわね」
「それでお願いします」
「それじゃあ」
未可子と奈津美も応えた、こうしてだった。
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