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第四章

「最後の最後まででしたね」
「そうだったな」
 ハットゥーシは今は居酒屋でフィルドゥシーと飲んでいた、そのうえで話をしていた。庶民的で賑やかな酒場だ。
「酷い連中だったな」
「遊んでいてそれで、ですね」
「そこを怒り狂った民衆に襲われてな」
「全員殺されて」
「死体は晒されたな」
「ひょっとしてです」
 サハラでの標準的な酒であるワインを飲みつつだ、フィルドゥシーはハットゥーシに問うた。
「ナベツーラ達が国の中枢にならなかったら」
「選挙に勝ってな」
「サラーフは滅びなかったでしょうか」
「そうだったかもな」
 ハットゥーシもその可能性を否定しなかった。
「あそこまであっさりとはな」
「やっぱりそうですか」
「首相があいつになってな」
 ナベツーラ、彼にだ。
「軍を動かしていなかったらな」
「あそこまではですね」
「無様に負けていなくてだ」
「ブラークも破壊されましたしね」
 首都を守る防衛システムだ、アッディーンはこちらも破壊して攻略したのだ。
「ナベツーラ達は慢心しきっていて」
「自分達だけは安全だと思っていてな」
「こうなりましたね」
「馬鹿が軍隊を動かすとな」
 軍隊のことを何も知らない素人がだ。
「ああなるな」
「勝てるか互角になれそうな戦争でもですね」
「国力が優勢でもな」
 それでもというのだ。
「負ける」
「そして滅びますか」
「こうしてな」
「そういうことですね」
「それでだが」
 あらためてだ、ハットゥーシはフィルドゥシーに言った。
「俺達はオムダーマン国民になったな」
「はい、そうですね」
「じゃあこれからはその立ち場で生きるか」
「国が変わっただけで別に何も変わりませんしね」 
 サハラではよくあることだ、国の興亡が常にある国だからだ。 
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