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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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392部分:第三十二話 孔明、妹を得るのことその一


第三十二話 孔明、妹を得るのことその一

             第三十二話  孔明、妹を得るのこと
 この時だ。許昌に恐ろしいものが来ていた。
「か、華琳様!」
「大変です!」
 夏侯惇と夏侯淵が慌てふためいて曹操のところに来た。
「恐ろしい魔人が二人」
「この街に殴り込んで来ました」
「魔人?」
 それを聞いて眉を顰めさせる曹操だった。
「誰なの、それは」
「はい、一人は下着一枚の辮髪の大男です」
「もう一人は褌に髭のやはり大男です」
「?」
 今度は首を傾げさせる曹操だった。
「何、それ」
「わかりません」
「しかしです」
 二人は狼狽しきった声でさらに話す。
「恐ろしい速さで街に入りです」
「門を突破しました」
「門を」
 それと聞いてまた眉を顰めさせる曹操だった。
「衛兵は何をしていたの?」
「全員叩きのめされました」
「一撃で吹き飛ばされました」
「そんなに強いの」
「恐ろしいまでの強さです」
「まさに怪物です」
 二人はさらに言う。
「今夏瞬と冬瞬が必死に食い止めています」
「ですがそれも」
「あの二人なら大丈夫でしょ」
 曹操は彼女達の名前を聞いて安心した。
「貴女達もそうだけれど武芸で天下に轟いているじゃない」
「ですが今は」
「まことに」
「木花」
 ここでだ。背が高く豊かな胸を持つ淡い茶色の髪を長く伸ばした美女に顔を向けた。今曹操の傍にいるのは彼女だけであった。豪奢な青いビロードの服にはフリルがあちこちに付いている。膝までの水色のズボンにそれに編み上げ靴である。そうした格好である。
「誰だと思うかしら」
「そうですね。門を僅か二人で突破したことを聞くと」
「ええ」
「曹仁殿や曹洪殿だけでも危ないかも知れません」
「あの二人でもというのね」
「はい」
 その通りだと答える美女だった。
「ここは曹操軍四天王全員でかからなければ問題かと」
「わかったわ。それじゃあね」
「はい、それでは」
「春蘭、秋蘭」
 その四天王の残る二人に声をかけた。
「いいわね」
「まさか四天王全員で、ですか」
「我等で」
「そうよ。その方がいいかも知れないわ」
 曹操の顔は真剣そのものだった。
「その怪物が本当なら」
「か、華琳様!」
 ところがだった。ここでまた一人飛び込んで来た。
 許緒がだ。慌てふためいた顔で来たのだ。
「夏瞬様と冬瞬様が!」
「な、何っ!」
「あの二人がか!」
 夏侯惇と夏侯淵が驚きの声をあげる。
「まさか敗れたのか」
「まことなのか」
「それで魔人達が」
 そしてであった。その彼等が来たのだった。
 
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