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マイ「艦これ」「みほ2ん」

作者:白飛騨
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第48話<帰還報告>

 
前書き
帰還した大淀艦隊をねぎらう司令。被害は大きかったが新しい戦艦の着任により何とか敵の攻撃は跳ね返したのだった。
 

 

「ありがとう……ございます」

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マイ「艦これ」「みほ2ん」
 第48話 <帰還報告>(改1.2)
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 私は指令室を、いったん祥高さんに任せると直ぐに埠頭へ下りた。

 岸壁では大淀艦隊が順番に接岸している。轟沈こそ無かったが、もはや小破も大破も区別がつかない。彼女たちは艤装も服もボロボロだった。

 特に寛代を運んでいた駆逐艦娘たちの被害が酷かった。ほとんど反撃し難い状態だからな。黒潮に白雪、雪風、大潮か……よく沈まずに耐えてくれた。

 一方の夕立を運んでいた荒潮、皐月、長月、霞は途中で担架を外したので、そのまま戦闘に合流出来た。従って、さっきの艦隊よりは被害が少なかった。

 だが夕立を含めて大淀艦隊全員がボロボロなのは、ほとんど同じだ。
途中から参戦した夕立も可哀相に「ポ」の字も出ないくらい激しく疲労していた。
もうグッタリだな。

 まだ意識のハッキリしない寛代は直ぐに担架のまま救護室へ運ばれた。

足柄さんに支えられた大淀さんが私の前で敬礼をした。
「報告します……」

私は手を上げて制した。
「無線で聞いている。詳細は良いから早く手当をしろ」

「はい」
敬礼して足柄さんと共に下がる大淀さん。

「待て」
私は声をかけて彼女の手を握って言った。

「良くやってくれた。有り難う」
最初は驚いていた大淀さんは、私の言葉で緊張が途切れたのだろう。急にボロボロと大粒の涙を流しはじめた。

 いつものツンとした印象とは裏腹に彼女自身は日向よりは素直な性格だなと感じた。

大淀さんは片手で自分の頬を拭ってから、改めて私の手を握り返して言った。
「司令も……有り難うございます」

「あ?」
思わず振り返ると……足柄さんも

「貰い泣きしているのか?」

「ち、違う。目にごみが……」

(はいはい)
取り繕う表情が何とも言えなかった。

 救護のため岸壁で待機していた他の艦娘たちが集まって大淀さんや負傷した艦娘たちを手助けしながら鎮守府本館へと向かう。

 私は落ち着いてから最初に救護室に運ばれた寛代の様子を見舞った。
彼女は、まだ意識が戻らないようだったが夕張さんによると命に別状はないとのことだった。ホッとした。

 念のためにベッドの彼女の様子をうかがったが彼女の濡れた長い髪の毛がワカメのようだった。思わずあの弓ヶ浜での逃避行を思い出した。

 ある程度、各自の被害状況を確認した後、艦娘たちは順次、入渠施設へ入る。

ただ、これだけの人数になると一度には入れないため怪我の程度の軽い子は一部、待機となった。

 そんな中、意外に金剛と比叡が良く動き回って補佐をしてくれた。やはり戦艦はタフなのだろうか?

 それから私は、疲れていた祥高さんには休んでもらった。その代わりに私が2階の指令室へ入った。

 艦隊司令本部からは早速、状況確認の催促が着ている。私はちょっと考えた。

『金剛ト扶桑ノ加勢ニヨリ敵空母機動部隊ヲ撃退セリ』

……と書いて本部へ返信した。

 通信用の文面を作りながら、なぜか深海棲艦(大井・仮)を連想した。

「私が作った文面より、あいつのほうが日本語がうまいな」

 自分で自分に冗談を言ってしまった。

「しかし……」

 私は考えた。あの連中は沈没して変化(へんげ)する割には日本語がたどたどしくて使えなかったり、ママならないことが多い。

「結局、あれは元艦娘ではないのだろうか?」

それとも現役の頃の記憶は沈没のショックでどっか飛んでしまうのか?

「何しろ情報が少ないからな……良く分からない」

 しかし今回、敵は地上部隊まで投入してきた。今日来たのが重戦車かどうかは不明だが、その気になれば敵は地上も制圧する能力があるわけだ。これは厄介だ。

 でも夕張さんの軽機関銃とか日向が使った簡易飛行甲板。今回は試作だろうけど、あの新兵器が無かったら恐らくもっと苦戦していた。

「さすが夕張さんだな……助かる」

 そう言いながら、ふと気付いた。

「この新兵器のことも中央に報告しないといけないのだろうか?」

 そういえば戦車の残骸のこともある。結局、陸軍にくれてやったが……そもそも、調査するにも予算が足りない。そっちの費用とか申請したら廻してくれるのだろうか? 

「そうなると稟議をあげなきゃ……くそ面倒くさいな!」

 私は頭をかいた。

 ここは実家と違って空調なんか入っていないから夏の午後は異常に暑い。早くも、暑さによる混乱で頭が働かなくなってきた。

 今日はどういうわけか、あまり美保湾からの海風も吹かない。

「もう、やめた!」

速報は流した。後は、あの二人に任せよう。祥高さんと大淀さんが復帰するまで報告は中断だ!

 私は紙とペンをデスクに投げて、そのまま通信機の前の椅子に手足を伸ばして思いっきりふんぞり返った。どうせ誰も見ていない。

「しかし通信や指令室担当も、また育成しないとだめだなあ」

 そんなことを思いながら、ふと見るとデスクの上に、さっきのサンドイッチが、まだちょっと残っていた。

半分以上は誰かが食べたらしい。

「そういえば、お腹すいたな」

 私はデスクの上のサイドイッチをいくつか、つまんだ。

「……ウマイ」

疲れているからだろう、とても美味しく感じた。

 お台場公園で日向と一緒に食べた、あの味だな(当たり前か)。

「どうせなら、もっと落ち着いた環境で、のんびり食べたいな」

 ふと、そんな状況を妄想してみる。

『フンコツサイシン!』

なぜか金剛が叫ぶ顔が直ぐに浮かんだ……私は苦笑する。

「いや別に日向でなくても良いけど」

(とりあえず、あいつしか思い浮かばん)

『フンコツサイシン!』

やれやれ金剛の顔が消えない……なぜか彼女の脇に比叡までちらつく。さすが金剛姉妹……っていうか、もはや妄想にすら成ってない。

「まあ、いいか。妄想は」

 私は女性と付き合ったこともない。軍隊一筋で生きてきた弊害だな。

ふと窓を見ると、大山も青いシルエットを美保湾に写していた。

 そんな美保鎮守府の夏の午後は、ゆっくりと過ぎていくのだった。


 
 

 
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
 
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