レーヴァティン
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第十一話 空の港町その六
「それが合うな」
「白よりもだな」
「というか白合うか?」
パスタに、というのだ。
「そもそも」
「どうだろうな、それは」
「合わないだろうな」
「合うかも知れないが、だ」
「やっぱり赤の方が合うよな」
「パスタにはな、そして肉にもだ」
「赤だな」
「そう思う、こうしてどんどん飲める」
英雄は言いつつまた一口飲んだ。
「それも気分よくな」
「そうだよな」
「いい宴だ」
「酒はどんどん頼もうな」
それだけの金は充分ある、だから何の気兼ねもなくというのだ。
「いい赤ワインをな」
「そうするか、しかし保存技術もいいせいかだ」
「味がいいな」
「酸っぱくない」
「ああ、ワインというか酒は保存してないと酸っぱくなるんだよな」
「そうなる」
酸化してだ、だから古代はワインは酸味が強いのが普通で採れたてのワインは貴重だった。その酸味を薄めかつ酒自体が高価である為水等で割って飲んでいたのだ。
「どうしてもな」
「酸っぱくないってことは」
「季節的にも見て造りたてでもない」
「ってことは保存技術がしっかりしてるか」
「この時代のワインはな」
「それで美味いんだな」
酸味が強くないというのだ。
「そういうことか」
「このことも俺達の世界の中世とは違う」
「中世のワインは酸っぱいか」
「長い間そうだった」
「保存技術が未熟だったからだな」
「だがこの世界のワインはこうして美味い」
「甘いしな」
それも結構な甘さだ。
「いい感じだな」
「それを飲むとわかる」
「そういうことか、だから美味くてどんどん飲めるか」
「こうしてな」
「俺達の世界でみたいにな」
「俺達の世界のワインと遜色ない味だ」
そこまで味がいいというのだ。
「料理もだがな」
「料理にも技術って出るしな」
「そうだ、どれも本当に美味い」
太鼓判を出すまでというのだ、そんな話をしている間にもう二人共フェットチーネは食べ終えて今度はペンネを食べている。
ペンネは大蒜とトマトで濃厚に味付けされていてだ、久志はそこに粉チーズを入れてからあらためて言った。
「チーズな」
「それを入れるとな」
「パスタってのは余計に美味くなるよな」
「同意だ」
見れば英雄もそれをかけている、粉チーズを。
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