魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Eipic38これからの陛下と騎士~School Tour ver.New era 75~
†††Sideアイリ†††
「アギトお姉ちゃ~ん!」
「おー! アイリ~!」
アイリ達は、アギトお姉ちゃんと何度目かの面会をするために海上隔離施設へとやって来た。色々と手順を踏んでやって来た面会室にはもうお姉ちゃんがスタンバッてた。アイリは真っ先にお姉ちゃんの元に飛んでいってハグ。本当は八神家全員での面会をやりたいってマイスターやはやて達が言ってたけど、さすがに全員揃って外出できるほど、八神家が就いてる役職は軽くないってことで叶ってない。
「アギトお姉ちゃん、こんにちは!」
「フォルセティ~! こんにちは!」
フォルセティと初めて顔を合わせた時、お姉ちゃんは、小さいマイスターを見ている気分で変な感じだ、って笑ってた。ある意味それは間違ってない。フォルセティはオーディンでありルシリオンであるマイスターのクローンだしね。お姉ちゃんはその辺の真実を“エグリゴリ”から聞いてないみたいで、マイスターとオーディンが同一人物であること、“界律の守護神テスタメント”や“アンスール”などの話も知らない。
「ホントお前、いつ見てもマイスターやルシルにそっくりだな!」
フォルセティがトテトテ駆けてお姉ちゃんの側に寄ると、130cmくらいの姿に変身してるお姉ちゃんがフォルセティの頭を撫でた。
――アイリ。アギトには、俺の真実を伝えないでほしいんだ――
――それはいいけど・・・。どうしてか訊いてもいいかな・・・――
――知らないなら知らないままでいた方が良い。お互いに・・・、いや、俺に傷つく権利なんてないな。ただ、魔術師・神器王ルシリオン・セインテスト・アースガルドではなく、魔導騎士ルシリオン・セインテストとして、あの子たちの思い出に残りたい・・・――
それがマイスターの願いなら、マイスターだけの融合騎であるアイリももちろん聞き届けたいわけでね。お姉ちゃんにはマイスターの真実を伝えないようにした。
「こんにちは、アギトちゃん」
「今日はシャマルなんだな~」
お姉ちゃん達が海上隔離施設に移送されてから早3ヵ月。週1で面会に来るようにしてるから八神家のみんな、一度は必ずお姉ちゃんと直に顔を合わせてる。
「それにしてもなんだよ、アイリ。お前だけなんかオシャレしてないか?」
「あ、判る? えへへ~♪」
アイリは今、お化粧してる。チークで頬をほんのりピンク色にして、無駄に大人びないように気を付けながらの口紅。上から下まで真っ白に徹底した、ボアコート、パパーハ、編み上げのブーツ。下はロングカフスのブラウス、ヨークスカートだ。
「お昼からザンクト・オルフェンに行くんだよ」
「学校の見学をするんだよ~♪」
アイリに続いてフォルセティが目的を伝えた。これからアイリとフォルセティ。あとで合流するはやて、なのはとヴィヴィオと一緒にStヒルデ魔法学院へ見学しに行くんだよね。だからアイリも、恥ずかしくないようにちょこっとオシャレしてみた。
「へぇ~。学校でたくさん友達が出来ると良いな♪」
「うんっ!」
「それでアギトちゃん。今後の事なんだけど、管理局入りするってことで良いのよね?」
「おー! アイリや、シュリエル・・・じゃなかった、アインスの後継騎のリインもやってるんだろ? アイリやリインに出来て、あたしに出来ないことはないんじゃないかな~って」
なんて言いながらお姉ちゃんはフォルセティの頭を撫で続けるんだけど、「何気に失礼・・・」だよね。そりゃ初めの頃は右往左往の悪戦苦闘だったけど、今じゃ1人でデスクワークも戦闘も出来るし。何より、変身後とは言えお姉ちゃんより背も高いし、スタイルだっていいし、階級だって空曹長になったんだぞ~。
「悪い、悪い。でもま、あたしのロードはシグナムだし、やっぱ戦いの中でならアイツを支えられると思うんだよな。何せあたしは烈火の剣精アギトだかんな。デスクワークとかの仕事については追々覚えてくよ」
「そうね。基本的にアギトちゃんは、シグナムの補佐として動いてもらうことになると思うわ。・・・でもこれで、元グラオベン・オルデンが集まったわね・・・」
「あたしが最後だったんだよな・・・。でもさ、正直言うとさ、アインスとももう1回逢いたかったな・・・。アイリも、アインスとは逢うことが出来なかったんだっけ?」
お姉ちゃんに「うん」って頷き返す。アインスとは結局、再会することは叶わなかった。アイリは、シュヴァリエル達と馬鹿をやってたその時にアインスを喪ってた。それが本当に悔しい。もっと早く脱出するなり、リンドヴルムが活動してくれていれば、逢えたかもしれないのにね・・・。
「でもアインスの想いは、リインちゃんに受け継がれてるわ。そしてオーディンさんの意志は、ルシル君に受け継がれてる。本人が居なくても、かの信念の騎士は絶えていないって思う」
「・・・そっか。うん、そうだな。あたしらは永遠だって誓い合ったもんな」
それから面会時間ギリギリまでお姉ちゃんとお喋りして・・・
「それじゃあアギトお姉ちゃん、また来るね♪」
「アギトおねえちゃん、バイバイ♪」
「ああ、待ってるよ~♪」
アイリ達はお姉ちゃんと惜しみ合いながら海上隔離施設を後にして、「アイリちゃん。フォルセティをお願いね」午後シフトなシャマルと別れて、アイリとフォルセティはレールウェイの駅へと向かう。
「ママとなのはさんとヴィヴィオ、どこかな~?」
駅のホームに着くとフォルセティが辺りをきょろきょろ。はやて達もレールウェイを利用してStオルフェンに向かうことになってるから、そっち行きの車両も確認してると、コンコンと車両内から窓をノックする音が。
「あっ、ママ!」
そっちに目をやると、はやてとなのはとヴィヴィオが手を振ってた。アイリとフォルセティは車両の出入り口に向かって走って乗車、はやて達と「合流~♪」した。
「おー、フォルセティ、アイリ、こっちこっち♪」
「フォルセティ~♪」
はやてが空いてる隣の席にポンポンと叩いて、ヴィヴィオは両手で手招き。フォルセティはニコニコ笑顔で席に座ったんだけど、「あれ? アイリの座る席がない・・・?」ことに気付いた。
「隣の席が空いてるけど・・・?」
「アイリ独りで座れと!? それはあまりにも酷い仕打ち!」
あの優しいなのはからの提案に、アイリは結構本気でビックリだよ。はやてとフォルセティの間に座ろうともするけど、「せ、狭い・・・」ってことで断念。もうこうなったら本来の姿・フェー・フォルムに変身しようかと諦めかけた時・・・
「フォルセティ。ママのお膝に座ってええよ~♪」
はやてが自分の太ももをポンポン叩いた。アイリは「それだっ!」ってはやてを指差す。席から立ったばかりのフォルセティの両脇に手を差し込んで持ち上げて、アイリが席に座りつつ「よいしょ~っと♪」フォルセティを膝の上に乗せた。
「えへへ~、フォルセティ~❤」
「アイリおねえちゃ~ん♪」
「あ~ん、アイリ。それは私の役目やよ?」
「今日だけ~♪」
ああもう幸せだよ。フォルセティを後ろから抱っこしながらお喋りア~ンド車内購買で買ったお弁当を食べて、30分と掛けてアイリ達の乗る列車はStオルフェン内のヴェラー駅に到着。Stヒルデ魔法学院はなにもStオルフェンの住民だけが通う学院じゃないから、北部と自治領とミッドの境界線近くに建てられてる。だからミッド運営の公共交通機関も、Stオルフェンの南部ウィンザインの最南部までなら入ることが出来る。
「ここからは歩きだね」
「フォルセティ、ヴィヴィオ。もっと大きくなるまではママ達が送り迎えするけど、大きなったら2人か、もしくは1人か、友達を作ってたくさんか、どっち道もうちょう後になるやろうけど、いつかは私たちの付き添いなく登校することになる」
「うん。少しずつでいいから、通学路を憶えてみようね」
「うんっ」「はいっ」
駅から学院までの通学路を歩く。時間的に学院は午後の授業が始まるかどうかってところだね。そんなこんなで到着したStヒルデ魔法学院。
「あ、なのはママ!」
「何か来る!」
ヴィヴィオとフォルセティが前を指差した。2匹の小動物がこっちに向かって駆けて来るのが判った。はやてとなのはが「あれ!? どうしてここに・・・!?」って驚きを見せた。向かって来るのはリスとハムスター。
「「わっ♪」」
リスがヴィヴィオの体を、ハムスターがフォルセティの体を駆け上がって、頭の上に居座った。きゃあきゃあ♪と黄色い歓声を上げるフォルセティとヴィヴィオ。
「久しぶりやな~、セレネ、エオス♪」
「ちょっとぶり~♪ 2人とも元気そうで何よりだよ♪」
はやてとなのはが小動物にそう挨拶したのを見て、「あ、スクライアの・・・」ってアイリも思い出した。ユーノ司書長の義理の姉で幼馴染で、でも恋心を抱いてるっていう・・・。同じ恋する乙女として応援したいけど、なのはも含めて結構複雑だからね~。今は保留なのだ。
「「なのはとはやてもご無沙汰~♪」」
フォルセティ達の頭の上で直立して、なのは達に向かって小さな前脚を振った。なんか可愛い仕草だね。
「なのはママとはやてさんのお友達、ですか?」
「そうだよ~♪」
フォルセティ達の頭から地面に降りたハムスター・セレネとリス・エオスが、「へんし~ん!」と掛け声を上げると、2匹が魔力の光に包まれた。光が収まると、ブラウスにベストにストレートスカート、OL風な格好のセレネとエオスが姿を見せた。
「私はセレネ・スクライア!」
「私がエオス・スクライア!」
伸ばし切った両腕を肩の上まで掲げ、手首は下に向け曲げて、さらに右足を上げるっていうポーズを取りながらの自己紹介をしたセレネとエオス。フォルセティとヴィヴィオは「おおー!」と拍手して喜ぶけど、あの変なポーズが気になってるアイリ達はポカーンだ。
「君たちの~」
「お名前は?」
「あ、た、高町ヴィヴィオです!」
「八神フォルセティです!」
「「よろしくお願いします!」」
「「は~い♪」」
4人の自己紹介が終わって、学院の敷地内へと入る。その中で、ここStヒルデ魔法学院がどのようなところなのかの説明が入った。まずフォルセティとヴィヴィオがこれから入るが初等科。初等教育の5年制。その後は中等教育を行う中等科があって、そこは3年制とのこと。その上には高等科、大学とあって2年おきに進学。んで、最終的には学士資格まで取得可能な大型学院、と。
「2人は今、大学の教育学部に通ってるんだよね?」
「そうだよ。この学院の先生になるつもりだから」
「ひょっとしたら、いつの日かヴィヴィオやフォルセティの担任になっちゃうかも♪」
「一応、初等科・中等科両方の教員免許を取得予定だから」
「えっと、セレネ先生・・・?」
「エオス先生・・・?」
フォルセティ達が先生付けで呼んだら、セレネ達が「み、満ちてきたぁぁぁぁ!!」いきなりテンションMAXになって叫んだ。けど大丈夫なのかな。今、授業中っぽいんだけど。そんな不安はすぐに的中。ある校舎の窓がバンッと開いて、「誰です! 授業中に叫んでいるのは!」お叱りの声が降って来た。
「「シスター!? 申し訳ありません!」
2人を叱ったのは「シスター・プラダマンテ・・・!」だった。シスターがアイリ達に気付いて、「これはお恥ずかしいところを」ってお辞儀した。シスターはすぐに校舎2階からここに降りて来た。
「ごきげんよう、はやてさん、なのはさん、アイリさん。それに、ヴィヴィオ陛下、騎士フォルセティ」
綺麗にお辞儀したシスターにアイリ達は「こんにちは」って挨拶を返す。そしてフォルセティ達は「あぅ・・・」少し沈んだ声を漏らした。2人のそんな様子に、シスターは頭を下げて「失礼を。ヴィヴィオさん、フォルセティ君」って改めて呼び直した。
「「こ、こんにちは!」」
「よいお返事です」
フォルセティ達とシスターが笑顔になった。シスターが「セレネ、エオス。生徒の皆さんは今、授業中です」って振り向くと、2人は「お騒がせしてすみませんでした」もう一度謝った。
「はい。それでは私はまた、校内の見回りに戻ります。では引き続き、皆さんをご案内して差し上げて。はやてさん、なのはさん、アイリさん。ごきげんよう。ヴィヴィオさん、フォルセティ君。お2人が生徒としてこの学院に通う日を、楽しみにしています」
シスターが中等科の校舎に戻って行くのを見届け終えた後、「ホッ。じゃあ初等科の校舎に行こう」って、セレネ達を先頭にアイリ達は歩き出す。エントランスから上がるとまずは、「学院長にご挨拶をしよう」とのことで学院長室へ。
「教育実習生、セレネ・スクライアと」
「エオス・スクライアです。高町なのはさん、八神はやてさん、アイリ・セインテストさん、高町ヴィヴィオちゃん、八神フォルセティ君をお連れしました」
教育実習生の段階でこんな仕事もするんだね。ちょっと意外。2人が学院長室の扉をノックすると、室内から「は、はい、どうぞ!」少し焦ったような声での返事。セレネ達が「失礼します」と扉を開けて入室するのに続く。
「よくいらっしゃいました。当学院の学院長を務めます、アイカ・グリート・アルファリオです。娘やイリスさん達から皆さんのお話を聞いています。お会い出来て光栄です」
装飾の施されたアンティーク調の豪華なデスクの向こうに座ってたのはレディーススーツ姿の女の人、アイカ学院長。そんな学院長が席を立ってはやて達のところまで来た。
「いえ。こちらも本当にお世話になってます」
はやてとなのはが学院長と握手を交わした後、接客用の足の短い楕円テーブルを挟むソファにアイリ達が座って、セレネとエオスは学院長の座る方のソファの両脇に控えた。
「来年4月より当学院に入学して頂けるとのお話を頂き、私としても大変嬉しい思いです。来年からよろしくね、ヴィヴィオさん、フォルセティさん」
「「はいっ!」」
「元気のよいお返事です♪」
それからはやて達と学院長が今後の予定などなどを確認し合うっていうところで、「あ、ヴィヴィオさんとフォルセティさんは、学院内の見学をどうぞ」ということになった。
「セレネさん、エオスさん。お2人をご案内してあげてください」
「「かしこまりました」」
「はやて。アイリも念のために付いてくよ」
「うん、そうやな。アイリも一緒に行ったって」
「それじゃあヴィヴィオとフォルセティは、アイリとセレネちゃんとエオスちゃんの言うこと聞いて、しっかり見学して来てね」
フォルセティとヴィヴィオが「はーい!」手を上げて返事した。はやて達と別れて見学を開始して、フォルセティ達が入学する1年生のクラスを中心に見て回る。これで来年、どこに1年生の教室があるか迷わないね。
「どの子も小さくて可愛い~❤」
「でしょ~? あんな子たちに先生って呼ばれたら~」
「やる気が満ち満ちてくるってものだよ」
廊下から教室内を眺めるフォルセティとヴィヴィオを見守りながら、セレネ達と解り合ったアイリはガシッと握手を交わした。それから普通授業、魔力運用の練習風景、高学年の体育などの授業風景を見学して行った。1、2年生の低学年組はさすがに緩い授業だったけど、3年以上から本格的な魔力運用授業が行われるみたいだね。
「あ、鐘の音・・・。この鐘の音で始業と終業を知らせるのね」
エオスの説明通り複数の教室が騒々しくなってきて、開いたドアから教員や生徒たちが出て来た。フォルセティ達くらいの小さな子供たちがわらわらと廊下に出て来て、女性教員はエオスの元担任だったようで話に花を咲かせて、生徒たちはアイリ達に「ごきげんよう」とか「こんにちは」って挨拶してくれたから、アイリ達も「こんにちは!」と挨拶返し。
「あの、僕たち、来年からこの初等科に通います。あ、八神フォルセティです」
「た、高町ヴィヴィオです!」
フォルセティが率先して自己紹介して、ヴィヴィオも倣って自己紹介。すると生徒たちは「よろしくね!」って2人を迎え入れた。あ~、でも来年なんだから、この生徒たちは先輩になっちゃうわけだけど・・・。まぁ上級生とのコネ作りも悪くない手だよね。フォルセティにはそんな考えなんてないだろうけどさ。
「タカマチさんって、聖王陛下に似ていますね」
おっと。生徒の誰かさんが鋭い指摘をしちゃったぞ。聖王家の特徴は紅と翠の虹彩異色。この特徴を持った人はもう管理世界には居ないとまで言われてる。プライソン戦役について管理局が公に発表した情報の中には、ヴィヴィオの事は入ってない。当然だよね、聖王オリヴィエのクローンなんて、大々的に発表して良いような軽い内容じゃないから。
(さらに言えば、ここザンクト・ヒルデ魔法学院が聖王教会系列の学校とは言っても、聖王教に入信してる家の子だけが通ってるわけじゃない。だからヴィヴィオが聖王と何かしらの関係があるんじゃないか、って勘繰る子もそんなに居ないはず)
でもやっぱり中には気付いちゃう子も居るわけで。ヴィヴィオは「あぅあぅ」って困り出した。アイリとセレネ達が助け船を出そうって頷き合ったその時には、フォルセティがヴィヴィオの手を握って前に躍り出た。
「あの――」
「ヤガミ君は、あのセインテスト調査官や、魔神オーディン様とそっくりです」
「御親類か御親戚ですか?」
他の女生徒も参加。マイスターはプライソン戦役で大々的に有名人になって、それと同時に聖王オリヴィエとも親交があったオーディン時代のマイスターも聖王教会でさらにさらに有名になって、パーシヴァル君が家宝としてたマイスターの絵画を教会に提供したことで、誰もが知る人物となったんだよね。
「えっと・・・」
「アイリさん・・・」
フォルセティとヴィヴィオからの救援要請に「はいは~い♪」アイリが前に躍り出て、マイスターやなのは達が事前に決めてた事情を伝える。クローンの話は絶対禁句。というわけで、フォルセティはセインテスト家の、ヴィヴィオは聖王家の隠れた血筋の直系であることを伝えた。それを知った生徒たちは「わあ!」っと驚きの声を上げた。
「時間的にはもうそろそろかな? エオス」
「ん。なのは達のところに戻ろうか」
エオスからそう言われたことで見学はこれにて終了。フォルセティ達は未来の先輩たちと笑顔で手を振り合って「ごきげんよう!」って覚えたばかりの挨拶でお別れした。そして学院長室へと向かう。
(ん? なんか見られてる気配が・・・)
先頭にセレネとエオス、次にフォルセティとヴィヴィオ、最後にアイリと続いて廊下を歩く中、なにやら熱い視線を感じ取れた。それは2階へ上がる階段前でのこと。階段前を横切る中、横目で階段の踊り場を見る。
(あの子・・・どっかで見たような・・・)
フォルセティ達より年上であることは間違いない女の子が1人、踊り場に立ってフォルセティ達を見下ろしてた。2人と同じ虹彩異色の瞳を持っていて、色は紺と青だね。そして髪は碧銀色。昔、ずっと昔にそれと同じ色の身体的特徴を持った人を会った気がするんだけど・・・。
(誰だったかな~?)
記憶の中にある人物と照らし合わせながら戻って来た学院長室。セレネがノックして「ただいま戻りました」と入室すると、はやてやなのはに学院長から「おかえりなさい」って挨拶を受けた。
「どうだったかな、ヴィヴィオ、フォルセティ?」
「「楽しかった!」」
「んっ。2人の今の言葉が一番のOKサインやな♪」
こうしてフォルセティとヴィヴィオのStヒルデ魔法学院の見学は終わって、フォルセティに続いてヴィヴィオも、正式に入学することが決定した。
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