恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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364部分:第二十九話 郭嘉、鼻血を出すのことその十五
第二十九話 郭嘉、鼻血を出すのことその十五
「郭嘉ちゃん頭いいし。落ち着いて話せば曹操さんも喜んでくれるわよ」
「曹操様がですか」
「そうよ。だから落ち着いてね」
「わかりました」
劉備に言われて意を決した顔になる。そうしてだった。
「まず貴女は」
「はい」
早速だった。曹操から声がかかった。
「名前は何というのかしら」
「郭嘉といいます」
劉備に言われた通り何とか落ち着いて言うのだった。言うその前に手の平に人という文字を書いて飲み込む動作をする。それも何度もだ。
「字は」
「字はまた後でいいわ」
曹操は今はそれはいいとした。
「そうなのね。郭嘉ね」
「はい」
「見たところ武芸者ではないね」
郭嘉のその肉付きを見ての言葉である。
「では。軍師かしら」
「はい、そうです」
まさにその通りだというのであった。
「私は今の戦乱の世を憂いていまして」
「そしてその為にはどうするべきというのかしら」
「残念ながら漢王朝はその力を衰えさせています」
「それが問題だというのね」
「はい、次に天下を支えるべき存在が必要です」
ここで曹操を見るのだった。
「そしてそれこそがです」
「私だというのね」
「曹操様には二つの道があります」
郭嘉はこうも言う。
「その衰えた漢王朝を蘇らせる能臣となるか、若しくは」
「私自身がというのね」
「それを選ばれるのは曹操様御自身です」
「私自身が」
「今民は苦しんでいます」
民衆についての言葉も出た。
「曹操様なら民を救われます」
「果たして私にそれだけの力があるかしら」
曹操はここでは笑ってみせた。そうしてわざとこう言ってみせたのである。
「それについてはどう思うかしら」
「いえ、まだです」
郭嘉はそれはないとした。
「まだ足りないものがあります」
「それは何かしら」
「人です」
こう言うのであった。
「人です。曹操様を支えるべき人材がまだ足りません」
「そして貴女はその人となる為に来たのね」
「そうです。それで如何でしょうか」
「わかったわ。では郭嘉」
「はい」
「貴女を軍師の一人に迎えるわ」
悠然と笑ってそのうえで郭嘉に告げた。
「そしてその試験として」
「試験ですか」
「城壁の修復をお願いするわ」
それをだというのである。
「三日でそれをやりなさい」
「三日ですか」
「そうよ。それができれば軍師として迎えるわ」
興味深そうな笑みを浮かべながら郭嘉に告げる。
「それでいいわね」
「はい、有り難き幸せです」
「そういうことよ。さて」
曹操は次はだ。程昱に顔を向けた。そのうえで彼女にも問うのであった。
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