恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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348部分:第二十八話 ミナ、一行に加わるのことその十三
第二十八話 ミナ、一行に加わるのことその十三
「貴方を助けに来たのよ」
「そうよ、九鬼刀馬さん」
「!?俺の名前を知っているのか」
九鬼刀馬は名前を言われてその眉を動かした。
「何故だ」
「私達はそちらの世界も知ってるから」
「だからなのよ」
「何故知っている」
刀馬は至極妥当な問いを出した。
「俺のいるその世界を」
「あら、それは簡単よ」
「だって私達あらゆる世界を行き来できるから」
だからだという怪物達であった。
「それでなのよ」
「だから知ってるのよ」
「そうだったのか」
華陀は二人のその話を聞いても平気なものだった。
「二人共凄いんだな」
「あら、凄くないわよ」
「ダーリンだったら楽にできるわよ」
二人はその華陀に対してさらっと話す。
「もうね。気合一つで充分だから」
「それはね」
「そうなのか」
やはり平気な華陀である。
「俺もありとあらゆる世界を行き来できるようになるのか」
「そう。ただスサノオみたいな存在もいれば」
「聖杯を守る王もいたりするし」
二人の話はここで微妙に複雑なものになった。
「その辺りはややこしいのよね」
「そうなのよね」
「そうか、他の世界も色々あるんだな」
「けれどダーリンと私達がいれば大丈夫」
「それは安心して」
またしても身体をくねらせて述べる。
「もう誰が来てもノックアウトしちゃうから」
「私達の美しさでね」
「何が美しいというのだ」
刀馬が顔を顰めさせて二人に言う。
「貴様等何だ。魔界の住人なのか」
「確かに。そうかも知れませんね」
女も真剣にそう考えていた。
「二人から妖気を感じますし」
「そうだな。尋常じゃないまでにな」
「刀馬様、ここは」
女は彼を守るようにして前に出て来た。
「私が」
「案ずるな。この九鬼刀馬相手が誰であろうと背を向けることはない」
「しかし私は刀馬様の為に」
女はまだ出ようとする。しかしであった。
ここでまた二人がだ。今度は女に対して言うのであった。
「命ちゃん」
「貴女はやるべきことがあるのよ」
「私のやるべきこと」
その女命は二人の言葉に思わずその手を止めた。
「それは一体」
「刀馬さんは大河よ。けれどそれはまだ凍り付いているのよ」
「そしてその大河の氷を溶かすのが貴女なのよ」
こう命に言うのであった。
「貴女こそがね」
「そうするのよ」
「私がですか」
命はだ。動きを止めて二人のその話を聞くのであった。
「刀馬様の」
「そして刀馬さん」
「貴方もよ」
怪物達は今度は刀馬に対して声をかけてきた。
「貴方もまた絶対の零ではなく」
「他のもの。流れる大河を目指してみればどうかしら」
「戯言を。俺が目指すのはあくまで絶対」
だが刀馬はこう言って引かない。
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