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ONEPIECE 空の王者が海を征す

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空の王者、古龍と戦う

神の国、スカイピア。この瞬間にこの名を聞いたとして誰もそれに異議を唱えようとする者は居ないだろう。眼下にて神々しくもありながらも幻想的、優雅な姿をした存在がその証明となっていると誇張しているかのようだった。天より差し向けられた神の使い、もしくは神自身あのではないかとすら感じてしまう圧倒的且つ絶対的な存在感にレウスに抱えられている二人は目を奪われた。美しくも気高く輝きを放つ体毛は見る者を魅了してしまう。だが一人、レウスだけは違った。何故あんな存在がいるのかと歯軋りをしてしまっていた。

「(冗談きつすぎるぞ……なんで、なんで古龍がこんな所にいやがんだ……!?)」

最早神の世界の住人とも思えてしまう程の存在の名はキリン、リオレウスなどと同じくモンスターとして扱われている生き物ではある物のその力は最早人智を遥かに超越してしまっている。飛竜であるリオレウスとは明らかに格が違う存在、古龍種に属する龍。その外見から龍とは思えぬが古龍その物自体が龍という物とかけ離れている。

「レウスさんあれって……?」
「兎に角、こっちに敵意を持ってるのは明らかだな……」
「でも凄い綺麗だな」
「(内面も綺麗だったらいいんだけどな……)」

古龍とは非常に長寿で特異な能力を持ち他とは一線を画するモンスターの総称である為容姿は然したる問題では無い。生態、形態共に極めて異質でありつつ不明瞭であるがどの古龍もいずれも天災に匹敵するほどの力を持つとされている。勿論、目の前にいるキリンとて例外ではない。古龍 キリンが持つ能力、それは―――

「っ!!危ねえ!!!」

キリンが天に向かって嘶きを上げようとした時、周囲の空気がバチバチとした張り詰めたような物へと変貌しレウスの全身を突き貫けるような電流が走った。本能が打ち抜かれるような脅威、全身が逆立つかのような震えを感じ二人を抱えてその場から飛び退いた。この行為が僅かでも遅れていたならば3人はやられていただろう。天へと上げられた嘶き、それによって巻き起こった事象、それは―――落雷であった。

「キャアア!?か、雷!!?」
「く、雲ってもねえのに!?快晴なのになんでだ!!?」

天から降り注いで行く雷、それはまるでレウス達を裁く神の意図のように追尾するように落ちていく。キリンが古龍として認識されている理由、それが自在に雷を操る力である。例え快晴であったとしても自らの意思で雷を落とす事が出来るという力を宿しているモンスター、そしてこのキリンという存在は荒々しく攻撃的な性格でもあるのだ。

「やろぉふざけんなぁ!!」

竜頭へと変化された腕を突き出し火球を打ち放つレウス、直撃すれば軍艦ですら無事でもすまないような火球が向かって来ているのにも関らずキリンは動じず軽く嘶いた時、火球を貫く雷撃が落ち火球を散らしてしまった。身動ぎすらせず、自分の攻撃程度脅威にすら映らないという事だろうか。

「二人とも、兎に角動き続けろ!そしたら雷を食らうぞ!!」
「こええええっっ!!!?ビ、ビビ乗って!!」
「う、うん!!レウスさん如何するんです!?」
「逃げても無駄だろうな!俺が相手をする!!」

この中であの古龍の危険性を理解しているのは自分だけ、そして弱点も把握している。ならば自分が行くしかないと思った、翼を広げつつ飛び上がり一気に迫って行く。それを見下すかのような視線で見つめる古龍は嘶きを上げレウスへと雷の槍を無数に振り下ろしていく。それを辛うじて、本能が感じ取っている雷と言う脅威に脅える感覚を利用しつつそれを寸前で回避しながら前へ前へと進んでいく。

「この、ドスケルビがぁぁぁっ!!!」

勢いを付けたまま竜頭で殴りつけるが、身体を反転させながら後ろ足を蹴り上げ蹴りを放つキリン。竜頭を迎え撃つように放たれたそれの威力は全力の一撃を易々と上回るかのような破壊力を秘めているのか逆に弾き飛ばされるかのようにレウスは吹き飛ばされる。

「何てパワーだ!!!」

その瞬間、吹き飛ばされている時に振り返ったキリンは再び天から槍を降りおろした、姿勢の制御すらまともに出来ていなかったレウスはそれを避ける術もなく人々が神と恐れたそれを身に受けてしまった。

「ガアアアアアッッッッ!!!!!!」
「レウスさぁぁぁんっっ!!!!」
「レウスゥゥゥゥゥ!!!」

聞いた事も無いようなレウスの絶叫が周囲へと木霊して行く、あの屈強で竜の力を持っているレウスがここまでの声を上げる事すら二人は考えた事もなかった。レウスの力を十二分に承知しているから事の思いだった。しかし、相手は古龍 キリン。その龍が操る力は雷、それはレウスにとって凄まじい苦痛を与える物だった。

「ガアアアアアアッ!!!あぁっっ、あああっ……!!」

地面に倒れ込みそうになりながらレウスは思い出した、そうだ忘れていた。自分が、リオレウスが苦手としている属性に雷があったと言う事に。それが最も苦手と言うわけでは無いが有効とされる力が電気、雷であった。尋常では無い苦しみだった、そして身体が痺れてしまっている。

「レウスさんを助けないと、トニー君!!」
「解ってる!確り掴まっててビビ!!」

膝を付いて苦しんでいる仲間を救わんとチョッパーに乗ってビビは声を張り上げた、チョッパーもそれには同意だった。レウスは大切な仲間、助けない理由など無い。雷は恐かったがそれ以上に助けたいと言う思いが勝った。

「いっけっ!」

チョッパーに騎乗したまま弓を構え、矢を放った。まだ慣れていないがそれでも狙いは十分、真っ直ぐキリンへと向かって行きその体へと命中した。だがその身体は傷一つ付いていなかった。

「う、嘘っ!?」
「さ、刺さりもしなかった!?」

チョッパーは既に神官との戦いでランブルボールを使用してしまっていた、6時間に一つが適量という劇薬。直ぐに使う訳にも行かずビビの弓を頼りにし自分は彼女の脚として専念しようと思っていた矢先の出来事だった。矢の先端が刺さる事も無く矢は自ら燃えて消え去ってしまった、余りにも硬すぎる外皮。故かキリンは興味すら引かれていなかった。再び矢を番え今度は頭部を狙い放った。最早やけくそだった、頭部に当れた此方へと意識が向きレウスが動けるようになるかもしれないという気持ちからだった。

「―――ッ!」

矢が頭部の角付近に直撃した、矢は突き刺さりキリンが苦しそうに暴れ始めた。頭を激しく振るい矢を取り払おうとしているかのようだった。弱点は頭部の角とビビが思った途端、その周囲に落雷が落ちた。直撃こそしなかった物の凄まじい破壊力の雷の衝撃は既にダメージを受けているチョッパーの意識を奪い去り、三度落ちた落雷はビビの意識を奪い取った。

「ビビちゃん!!!チョッパーァ!!!」

痺れる身体を無理矢理動かすように地面を強く蹴りつけて二人の元へと跳んだ。駆け寄った二人は完全に気を失っており既に戦えるような状態ではなかった。直撃でないのにこの威力……途轍もない力だがそれを上回るかのようにレウスは怒りを沸きあがらせた。未だ激しく頭を振るっているキリンを他所に二人を傍にあった遺跡の影に移すと強引に身体を痺れを振り切り古龍を睨み付けた。

再び落とされた雷はキリンを直撃し受けた矢を一瞬で焼き払った、少々深く刺さった矢を抜くのを諦め雷を落とし無理矢理焼き払った。雷を受けたと言うのにキリンは全くダメージを受けているような様子は無い、古龍という存在の出鱈目さを目の当たりにしたレウスだがそれでも怒りは薄れない。寧ろ、闘志と怒りが更に沸騰して行く。

「俺はもう、知らんぞ……惨殺されても文句は言えねえぞ、ドスケルビィ!!!」

懐から小瓶を取り出しつつその中身、真紅の丸薬を取り出した。以前アラバスタでも使用した自分専用のランブルボール、その完成品である。それを躊躇無く取り出した事がレウスの怒りがどれ程の物なのかと言う事を示しているかのよう。そしてそれを銜え一気に噛み砕いた。

「―――制限時間は3分、ランブゥルッッ!!」 
 

 
後書き
古龍種 キリン

モンスターハンターに登場するモンスターの中でも一、二を争う程美しい姿をしているモンスター。雷を操る能力を持ちハンターを苦しめるがハンター側としても人気が高い。
その見た目も関係しているがこのキリンから作られる防具、キリンシリーズはシリーズの中でも人気防具。主に女性用が。

余談であるがキリンが人間の子供を育てたという事例も存在しその子供はキリンの素材でできた片手剣を所持していたとされる。 
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