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ドリトル先生と悩める画家

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第八幕その二

「これも日本ならではですね」
「そうした食べものだね」
「不思議な食べものです」
「僕も好きだよ」
「そうですね、しかもカロリーがないんですよね」
「そう、蒟蒻はね」
「カロリーゼロでしたね」
 まさになのです、蒟蒻は。
「それこそ」
「そうだよ、そしてお鍋にはね」
「糸蒟蒻は欠かせないですね」
「そうなんだよね」
「こうして」
「おでんにもだね」
 先生はそちらのお話もしました。
「欠かせないね」
「あちらは三角に切った蒟蒻ですね」
「そうそう、そちらはね」
「冬はおでんもいいですね」
「そうだね」
 おでんについてもです、先生は笑顔で言いました。
「あれもいいね」
「そうですね、ただ」
「ただ?」
「関西のおでんは二つありますね」
「お味噌で煮るのと関東煮だね」
 先生はすぐに応えました。
「そうだね」
「その二つがありますね」
「そう、その二つがあるね」
「そうですよね」
「それは関西のおでんの特徴だね」
「実際にですね」
「うん、そうだよ」 
 その通りだというのです。
「関西ではね」
「関東煮はやっぱり」
「関東の方のおでんが入ったものだよ」
「やっぱりそうですね」
「そうなんだ、そしてね」
 先生はさらにお話しました。
「文学作品にも出ているよ」
「おでんが」
「そう、織田作之助の夫婦善哉にもね」
 この作品にというのです。
「出ているよ」
「小説ですか」
「そう、大阪を舞台とした小説で」
「おでんが出ているんですか」
「関東煮がね」
 そちらがというのです。
「主人公の夫婦がお店で出すんだ」
「お店で」
「そしたお店をやる場面があるんだ」
「そうした場面があったんですか」
「大阪でね」
 あの街で、というのです。
「他には八百屋やったり喫茶店やったり」
「色々してるんですね」
「今一つだらしなくて頼りないご主人としっかりした奥さんが主人公で」
「大阪の普通の人達ですね」
「戦争前のね」
「そうした人達を描いた作品ですか」
「そうなんだ、僕達が行ったお店も出て来るよ」
 先生は葱と鶏肉を食べつつお話しました。
「題名にもなっている夫婦善哉もそうだし」
「ああ、あそこのお店ですね」
「そうだよ、あのお店も出ていてね」 
 先生はよく煮られた鶏肉の味を楽しみつつトミーにお話します、昆布のだしが出ていてとても美味しいです。 
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