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機動戦士ガンダム 希望の旗

作者:ruy
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一話 表

 我々の環境全てが非常に苛酷なものとなっていた。
 ジオンが連邦に敗北して既に数週間この軍事基地内の食料も既に底を着こうとしていた。MSのメンテナンスですら間々ならない状況であるため士気が下がり昨日までの連邦の勝利は明日今日とて勝てるかどうかもわからなかった。

 最年少のケヴィが俺の所まで息を切らして走ってきた。俺の前に立つと両手を膝に置き呼吸を整えていた。上体を上げ敬礼すると

 「失礼しましたアーナン中尉殿、タクス少尉が至急会議室へと連絡が」

 「分かったすぐに行く」

 「以上であります、私は他に伝達しなければいけないのでお先に」

 ケヴィは走って何処かに行ってしまった。
 俺もあんな次期があったのだろうか、戦争当時の記憶というのは曖昧であり苛酷であった。
 何回も死線を潜り抜けて生き抜いた先がこんな場所だとは戦争当時の俺は予想もしていなかった。MSの脅威か……連邦のMSを一機だけ鹵獲できたがどう処分するべきなんだろうな。
 それよりも問題なのは少年兵としてろくに訓練も受けずに運だけで生き抜いたケヴィの操縦技術はここ数回の戦闘で確実によくなってきている、若い芽を潰さないためにもゲルググを彼に託すのもいいのかもしれないな。

 さてそろそろ会議室に向かわないとタクスの説教がめんどくさいからな、早足で会議室に向かうが徒歩でも十分以上もかかってしまうため気乗りしなかったが早足から走る事にした。

 ドアを開けて会議室に入ると腕を組みすこしばかり苛立ちを隠せてない眼鏡の男と椅子の背もたれにもたれかかりサングラスをかけた無精ひげの男がタバコをふかす男が一人それ以外は、いないか……

 「アーナン中尉今日は大事な会議を行うと既に昨日から言っていたではありませんか、中尉殿はこの基地でも高い階級の人間の一人であり最年長なのですから規律は護っていただきたい」

 生真面目なこの眼鏡の男がタクスであり戦争当時は俺の部下として同じ小隊で戦っていたのだがここに来てからは妙に以前よりもというよりか俺よりも指揮官らしい働きをしていた。本当は俺の仕事なんだがねどうにも最初の作戦でへまをしてからタクスの意見を取り入れたら案外勝ってしまい今じゃ形勢逆転なわけだ。

 それとその近くでタバコをふかしているのがブリアント少尉である。彼とは終戦間際にこの地球へと逃げこんだ際に居合わせた別小隊の一人出あった。
 この基地を確保するのに約十人が犠牲になり今の生活が送れている。その中でもブリアントの所属していた小隊の隊長であり俺の友人であったファット少尉は基地強奪の際に大きく貢献しその結果死ぬ事になってしまった。無論俺の小隊メンバーも死んでいる。

 戦力的にも連邦の攻撃を間逃れている事自体が軌跡に等しく俺たちは今日生きられるかもわからない状態で生活している。ただでさえ戦争に負けているもしもザビ家の人間が生きていたのであればジオン公国も数年後に立て直す事ができたのだろうが今の状態で再起を図るなど愚考に等しい。

 「――聞いてますか? 中尉」

 「あ、あぁすまん考え事をしていた」

 「話はちゃんと聞いてください、既に食料庫の食料が半分以上になり少なからず三週間が限界、同志に食料物資を志願しているのですがやはり連絡のつく者は未だに現れません、幸いにもここは森の中ですので食べられるものはあるはずですので明日から探索することにけっていするかです」

 タクスはまじめだだから生きたいという気持ちも本当だし我々以外の同志がもしかしたら集まってくれるかもしれないと考えているのかもしれないがジオン専用の通信などもしかしたら連邦の奴らにも聞こえてるかもしれないなかでこうも動いてくれるのかと感心する一方俺は……そうだな。

 「了承する、ただしタクスとケヴィ以外での探索ならば許可する」

 「わかりました、それでは明日以降から始められるよう準備します」

 話を終えた途端サングラスを外し一人おもむろに立ち上がった。

 「それじゃ俺から一つだけ報告があります」

 この話だけなら正直ブリアントはいらないがまぁ階級の高い俺達が集まらなくてはいけないというのも分かるがこいつは会議とかそういうのは嫌いなはずだ、だからなぜ集まったのか不思議だった。

 「昨日の戦闘から捕虜として捉えた連邦の兵士が今日早朝自決してました」

 「そうか……」

 サングラスを再びかけると思い出したかのように、

 「そういえば連邦のMSどうするんですか、もしもなら戦力として使うのもいいと思いますが」

 バンと机を叩きすごい剣幕の男が一人。

 「私は反対です、あのMSのせいで何人もの同志が死んでいるのにそんなMSを我々が戦力として使うなど断固反対させていただきます」

 ブリアントは舌打ちすると。

 「別にお堅い人に話してわけでは無いですよ、俺はあくまで中尉殿に話があったのですから」

 そういえばこいつらはあまり組み合わせがよくなかったんだったな、まぁなんにせよ連邦のMSをどうするかは今すぐにでも対処しなければいけない問題である。

 「そうだな一応頭の片隅にでも置いておく、今日の会議はここまででいいか?」

 「異論はありません」「いいですよ」

 「なら解散」

 ブリアントはすぐさま会議室から出て行く。いなくなったからかわざと音を立ててタクスは椅子に座った。

 「そう怒るな奴にも考えがあって発言しているんだ」

 「ですが……」

 タクスの近くに行き背中を叩いてやる。

 「気負いすぎるなよ」

 俺も会議室を後にした。 
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