恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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266部分:第二十二話 ガルフォード、見てはいけないものを見るのことその十
第二十二話 ガルフォード、見てはいけないものを見るのことその十
「忠義と誠だよね」
「その二つによって生きている」
それこそが鷲塚なのだ。
「如何に時代が変わろうと変わらないものもある」
「うん、その心が凄いと思うよ」
「そうなのか」
「正直に言うけれど僕鷲塚さん達と会えてよかったよ」
彼だけではないというのだ。
「本当にね。今こうして話ができることもね」
「それがしもだ」
今度は鷲塚から言ってきた。
「許緒殿、御主の様な若い者がいれば」
「僕みたいな?」
「国は必ず立つ」
「立つんだ」
「そうだ、国は人によって立つもの」
実に鷲塚らしい言葉だった。その人を見ている彼らしい。
「だからこそだ。御主の様な若者こそが国を築き立たせるのだ」
「有り難う。それじゃあ鷲塚さんみたいな人がいる国はね」
「それがしの様な者がいる国は?」
「きっと立派な国になるね」
そうなるというのである。
「その心が永遠に残る国にね」
「だといいのだがな」
「ああ、なってるわよ」
ロサが言ってきた。
「神風特攻隊とか回天とかね。その心は歴史に残ってるよ」
「心はか」
「できはしないよ。命を捨てて敵にぶつかるなんてね」
その特攻隊のことをだ。ロサは話すのである。
「できはしないよ」
「それは当然だと思うが」
「いや、当然じゃないよ」
違うと。ロサは言った。
「そう思えることが凄いんだよ。許緒の言う通りね」
「忠義と誠。それは忘れはしない」
左手に杯を持ち酒を飲みながら。鷲塚は言った。
「それがしは。ただそれだけだ」
「そうだね。僕鷲塚さん大好きだよ」
許緒の顔は笑顔だった。
「ずっといようね。ずっとね」
「そうだな。それがしもそう思う」
こう話してだった。彼等も誓い合っていた。そしてその間にもだ。ガルフォードは夢と目覚めてから見てしまったものについて話していた。
「それで目覚めたらな」
「いたのか」
「その怪物が」
崇雷と崇秀もそこにいた。
「そんな化け物がこの国にいるのか」
「天下の乱れより危険ですね」
「夢だと思いたいさ、俺も」
ガルフォードは真顔だった。
「けれどあれは本当に夢だったのか?」
「わからんな」
ロブが言った。
「今はそうとしか言えん」
「この世界は色々あるからのう」
中も言った。
「そうした妖怪がいても不思議ではない」
「けれど幾ら何でもそこまでおかしいのはいないわよ」
荀彧は覇王丸と飲みながらこう話した。
「私も聞いたことないわよ、そんな妖怪」
「いないか?」
「いないと思うわ」
ガルフォードの問いに何故か弱気になる荀彧だった。
「多分だけれど」
「多分なのか」
「この国の他にも国があって」
荀彧は話す。
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