魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Eipic34これからのスカリエッティ家~New Chief~
††††Sideすずか†††
機動六課への出向期間が終わった私は、元の所属部署の第四技術部に戻って来た。とは言っても、すぐに異動になっちゃうけど。自分のデスク周りの整理をしていると、「すずかちゃん」と背中に声を掛けられた。
「あ、マリーさん。お疲れ様です」
この第四技術部の主任のマリーさん、マリエル・アテンザさんに挨拶。マリーさんは、亡くなったドクターと一緒に、チーム海鳴にたくさん協力してもらった大恩人だ。そして私のお師匠でもある。
「うん、お疲れ様~。身辺整理はどんな感じ?」
「あ、はい。第四技術部から持ち出し厳禁とされる資料の整理はもう終わりました。あとは私個人のデータの転送だけですね」
そう返答しながらデスク上に展開されている空間キーボードのキーをいくつか打って、第四技術部員としての私の専用データベースから、接続しているメモリスティックに個人データを転送する。このデータの中には、なのはちゃん達のデバイスやスカラボでのお掃除ロボットなど、これまでに制作した物やこれから製作する物の設計図などが収められてる。
「このデータの転送が終われば、いつでも第零技術部へと移れます」
「そっか。えっと・・・じゃあ、その~・・・あっ、うん。荷物を運ぶの手伝おうか?」
「ありがとうございます、マリーさん。でもトーレさんが手伝ってくれますから大丈夫です」
それに私の力だけで運べるほどの荷物だから、わざわざマリーさんの手を煩わせることもない。マリーさんは「そっか。じゃああとは~・・・」と言いながらそわそわしだす。トーレさんが迎えに来てくれるまでの間、もう少し時間があるかな。
「マリーさん」
「あ、はいはい! なんでしょう・・・?」
困り顔から一転、いつも通りの安心できる笑顔を浮かべてくれたマリーさんと向き合うように椅子から立ち上がった。
「これまで本当にお世話になりました。マリーさんから教わった事、一緒に開発や改良の相談をした事、ずっと忘れません。ありがとうございました!」
深々と頭を下げてこれまでお世話になったことにお礼を言う。思い起こされる10年近くの思い出。第零技術部――スカラボへの出入りやドクターへの弟子入りも快く応じてくれた。マリーさんと出会ったから、私はデバイスマイスターという資格があることを知って、この道を行くことを決めれたんだから。
「ううん! こっちこそ、すずかちゃんと一緒に過ごせて本当に楽しくて、充実して、とても素晴らしい時間だった! ありがとうね、すずかちゃん。私も今日までの事を忘れない」
マリーさんと握手を交わしていると、「すずか。待たせたな」そう声を掛けられた。声の主は、マリーさんの背後に姿を見せた「トーレさん」だ。
「あ、お久しぶりです、マリエル技官」
「うん、久しぶり、トーレ」
マリーさんとトーレさんが軽く談笑した後、「じゃあ、コレをお願いします」とデスクの脇に置かれたファイルの納められたボックス1箱を示す。紙媒体は今の管理世界の魔導技術の中じゃ珍しいとされるけど、私個人での目的で使っている。ほとんどがメモ帳としてのプリントだ。思いついたことをその場ですぐに書き記したものばかり。
「承知した」
「ではマリーさん。お世話になりました。ありがとうございました!」
改めて感謝を伝えて、「はい!」笑顔で私たちを送り出してくれたマリーさんとお別れ。トーレさんと一緒にスカラボへと向かう。
「・・・あ、トーレさん」
「トーレと呼び捨てで構わん。今日からはお前が私たち第零技術部の主任だ。とは言え、私はこれまでと変わらず、すずかと呼び捨てにさせてもらうが・・・」
「う~ん、今さら呼び捨てにするのはちょっと遅すぎなような・・・。一応は努力しますけど・・・。それでですね、トーレさん。ドクターのお葬式、いつやりましょうか・・・?」
呼び方の話題から本題に戻す。プライソンによって殺害されたドクター、ジェイル・スカリエッティ少将は、医務局での司法解剖の後にシスターズの長女のウーノさんに引き渡された、という話を今朝、ウーノさんから通信で聞いた。
「葬儀か・・・。生前、ドクターと懇意にしていた局員や教会騎士たちから葬儀について連絡を受けたが、近親者のみの葬儀にしようかと考えている」
「そう、ですか・・・」
「しかし、私たちシスターズだけのお見送りではドクターも寂しいだろう。お前やチーム海鳴の子ら、それにマリエル技官もお暇があれば参列してもらいたいところだが・・・」
ドクターのお葬式は派手に行うことなく、関わりが深い人たちだけの式にするみたい。でも良かった、私たちも参列できて。ドクターを見送れないのはとても悲しいもの。
「さっきマリーさんと会った時に訊ねてみれば良かったんじゃ・・・?」
「お前の門出の瞬間に荼毘の話など出来るものか」
変に律義なトーレさんに「ありがとうございます」と素直にお礼を伝える。それからはほぼ無言で歩いて、スカラボに「到着!」した。スライドドアの前で私は立ち止まり、ドアの表面に刻印されたZEROという文字を眺める。これまでは弟子として何度も潜ったドア。でも今日からは、ドクターの代わりにスカラボの主として潜ることになる。
「どうした、すずか?」
「あ、いえ・・・。すぅ~はぁ~・・・。よしっ。月村すずか、入ります!」
ドア脇のタッチパネルに触れてドアのロックを解除。プシュッと音を立てて開いたドアを潜って、まずは応接室へと入る。次に奥のドアから転送室へと移動。そこをまた通り過ぎて奥のドアを潜る。そこは四角形の屋で、奥のスカリエッティ家の居住区へ繋がるドアと、さっきまで居た転送室へ繋がるドア以外の左右の壁には、私もお世話になっている第二研究・開発室、そして私もまだ知らない真の第一研究・開発室へ続くトランスポートがある。
「この荷物はどうする?」
「あ、私の私室にお願いします」
「判った」
部屋の真正面にあるスライドドアの先にある長い廊下の奥に、もう1枚のスライドドアがある。そこを潜ればスカリエッティ家と、お世話になってる私の部屋がある居住区へと向かうためのトランスポートが見えてくる。そこから転移して、歯車状の居住区へ。出っ張り1つ1つが個室になっていて、部屋数は全部で44室。特に大きい東西南北の4部屋は、食堂と大浴場と聖王教会の礼拝堂とドクターの個人研究室になっている。
「14号室・・・っと」
私に与えられた部屋番のドアへと向かい、「なんか久しぶりに帰って来た感じ・・・」私の部屋のドアの前で立ち止まる。
「2週間ほどの出向だったからな。しかも期間内の密度は濃かっただろう?」
「あー、確かにそうかもです。出向してすぐにプライソン戦役が起こりましたし・・・」
短い期間に似合わない内容の濃い時間。久しぶりだなって錯覚するのも仕方ないかもしれないな~。一先ずドア横のパネルに手を置いて指紋認証によるロックを解錠する。スライドドアが開いて、「奥のデスクの上にお願いします」とトーレさんを招き入れた。
「ああ、承知した」
トーレさんが1人室内へと入って行って、リビングにある作業デスクにファイルの収められた箱を置いて、「礼拝堂だ。そこにみんなが居る」と言って私の待つ廊下に戻って来て、次の行き先を教えてくれた。頷き返して、私とトーレさんは揃って礼拝堂へと向かう。礼拝堂の扉は木造で両開きタイプ。内側に向かって右側の扉を開けると、一般的な教会の礼拝堂と同じ造りの空間が目の前に広がった。
「月村すずか、入ります」
「今戻ったぞ」
礼拝堂にはウーノさん、ドゥーエさん、クアットロさん、チンク、セインが居て、祭壇近くの台には柩が置かれている。ウーノさんが「すずか、トーレ、お帰りさない」って挨拶をくれた。
「すずか、見てあげて」
ドゥーエさんに手招きされて、私は祭壇の元へと歩く。そして目を赤く腫らしたウーノさん達の横を通り過ぎて柩の前に立つ。収められているのはやっぱり「ドクター・・・!」の遺体だった。いつも着ていた服に白衣姿で、表情は亡くなってるって思えない程に穏やかで・・・。視界が涙で滲み出す。
――すずか君――
「ドクター・・・、ドクター・・・!」
ドクターとの思い出が脳裏を次々に過ぎっていく。ありきたりな言葉だけど保護者として時には優しく、科学者の師として時には厳しく、私を導いてくれた大恩人。泣いてる私に「花を添えてやってくれ」チンクが花を差し出してくれた。
「カンパニュラ。花言葉は感謝。お前にピッタリの花だと思い、残しておいた」
「あ・・・。ありがとう、チンク」
チンクから花を受け取って、すでにいろんな花に覆われたドクターの胸の上に「今までありがとうございました」これまでお世話になったことへの感謝と一緒に花を置いた。一礼してウーノさん達に向き直る。
(たぶん、今しかないよね・・・)
意を決して、ドクターの娘であるウーノさん達に伝えることにした。戦役終結後、六課に帰ったところで気付いた新着メール。
「実は、ドクターからメールが送られて来たんです。受信時刻はドクターの死亡推定時刻と一致していて、たぶんですけど・・・亡くなったことが引き金となって転送される遺書メールかと・・・」
私がそう言うとウーノさん達が目を見張った。いつ伝えようか、いつ観せようか、ずっと考えてた。でも遅くなればなるほどまずい気もして、スカラボに戻ったら伝えようと考えてた。
「・・・すずか。観せてください、この場で」
「ええ。ドクターが居るここで観たいわね・・・」
「死後に伝わるメッセージ・・・」
「ドクターが遺したかったもの」
「しっかりと受けとめなければな」
「うん」
ウーノさん達の思いに私は「判りました」と頷いて柩の前にモニターを展開、そしてドクターのメールを再生する。黒い画面が少し映った後、どこかの部屋が映ってドクターが『やあやあ』と手を振って出てきた。
『私はジェイル・スカリエッティ。時空管理局本局・第零技術部、愛称スカラボの部長だ』
モニターに映る生前のドクターの姿、声にまた視界が涙に滲み出す。
『これより私と娘たちは、実の兄であるプライソン・スカリエッティとその一派の研究所へと向かうう。何故ならばプライソンを殺害する任務を受け、それを承諾したからだ。奴は恐ろしい男だ。全くの無傷で攻略できるとは思えない。しかし、この命に代えてもプライソンを殺し、そして娘たちだけは無事に返すつもりだ』
ドクターの決意にドゥーエさんが「ドクターが生きてこその私たちなのに・・・」って漏らした。
『もし、もし万が一にも・・・私がプライソンと相打ちになってしまった場合。その最悪の結果を想定した時、私は遺された娘たちに伝えておかなければならない事があるため、このメールを遺した。この真実は、娘たちにとって辛いものになるだろう。それは、娘たちの出生の秘密だ。もし聴きたいのであれば、このまま再生してくれ。おそらくないだろうが、聴きたくない場合はここをタップしてくれ』
ドクターの横に矢印マークが表示された。私はウーノさん達にどうするか訊ねようとしたところで、クアットロさんが真っ先にモニターに早足で向かって、矢印マークをバシッと叩いた。
「ク、クアットロさん・・・!?」
「私たちの出生なんて~、正直どうでもいいです~! ねえ? ウーノ姉様、ドゥーエ姉様、トーレ姉様、チンク、セイン」
「ええ。出生なんて私たちに関係ないわ」
「私たちの親はこの世でただ1人だけ」
「ジェイル・スカリエッティ」
「あの人だけだ」
「うんっ。だから本当の親とか、どうやって生まれたとか、どうだっていい!」
ウーノさん達がそう言うなら、私がとやかく言うことはない。ウーノさん達の生みの親がプライソンであるって秘密は、私がお墓まで持って行こう。なんて思っていたら、「プライソンなどが父親なんて、死んでも認めたくないわ」ってウーノさんが嘆息して、ドゥーエさん達が頷いた。
「ええ!? 知っていたんですか!? プライソンが親だって事!」
「あら、やっぱりそうなのね」
思わず喋っちゃった私の言葉にウーノさんが片頬に手を添えると、ドゥーエさんは「これまで多くのヒントがあったもの」って続いた。
「アルファと初めて遭遇した際、彼女は私やトーレを、いやシスターズを指して姉妹だと言っていた」
「私たちは姉妹の意味を、サイボーグだからだと曲解していたわけだ。額縁通りに捉えてしまえば、それが私たちの真実なのだろう」
――偽者とは、酷い言い草ですね! 言うなれば私たちは姉妹になると言うのに!――
チンクとトーレさんの話に、「そう言えば、そんなことを言っていたような~」私は唸った。リアルタイムでモニターでそんなやり取りを観たような気もする。
「さらに言えば、ガンマのシステムにクラッキングを行った際にいくつかデータを掻っ攫ってきたのだけどぉ~・・・」
「その中に、私たちの幼い頃の写真データがあった。スキル名もそう。年月日から、データ時の私たちはドクターの孤児院で過ごしているはず」
「信じるべきはドクターと孤児院で一緒に過ごした思い出だけれど、プライソンがわざわざこんな偽データを作るわけもなく」
「なら考えられるのは、私たちシスターズはスキュラやノーヴェ達と同じ、プライソンによって生み出された人工生命体・・・」
ウーノさんとドゥーエさんとチンクの言う通りだ。でも思っていた以上にショックを受けずに正気を保ってくれたのは良かった。みんな、ドクターを本当に父親として慕っているんだね。
『愛する娘たちへ。・・・愛おしい私の娘、ウーノ。いつも私の側で尽くしてくれた。本当に感謝している。長女として下の妹たちの面倒をよく見てくれ、秘書として私を支えてくれていた。ありがとう、ウーノ』
「・・・っ! ドク・・・ター・・・!」
『愛おしい私の娘、ドゥーエ。少々私への過剰スキンシップが酷かったが、ウーノと共に側で尽くしてくれた。いつも美味しい料理を作ってくれた。日々、それが楽しみだったと言っても過言ではない。ありがとう、ドゥーエ』
「そんな・・・! ドクター!」
『愛おしい私の娘、トーレ。その力で私と姉妹たちを護ってくれていた。その強さのおかげで私たちは常日頃、安心安全に過ごすことが出来た。これからも姉妹を護ってやってほしい。ありがとう、トーレ』
「いいえ・・・! いいえ、ドクター・・・!」
『愛おしい私の娘、クアットロ。研究・開発を手伝ってくれたおかげで、数多くの作品を生み出すことが出来た。その頭脳に助けられたことも多々ある。とっても有意義な時間を過ごさせてもらった。ありがとう、クアットロ』
「う・・・うぅ・・・ドクター・・・」
『愛おしい私の娘、チンク。開発などに必要な物資の調達を率先してくれたことで、物資不足で私の研究や開発が滞ることは一切なかった。護衛としてもまた優秀。小柄な体格でありながら、それをデメリットと感じさせないその実力だった。ありがとう、チンク』
「ドクター・・・。はいっ」
『愛おしい私の娘、セイン。その元気いっぱいな性格は、少しばかり雰囲気の暗いスカラボに明るさを差し入れてくれていた。いや~。ウーノもドゥーエもトーレもチンクもクールだろう? クアットロの明るさはセインとは方向性が違うからね。君の明るさにはいつも助けてもらっていたよ。ありがとう、セイン』
「うんっ・・・うんっ、うんっ!」
ドクターのシスターズへの想いと感謝の言葉。関係ないのに私もボロボロ泣いちゃう。ウーノさん達が落ち着くまでドクターの遺言メールを停止。どれだけでも待つつもりだったけど、1分としない内にウーノさんから「すずか。続きをお願い」と促された。
「はい・・・」
『・・・次のメッセージは、私が死んだ後のスカラボについてだ。スカラボは私が最高評議会から、管理局の為の技術開発を行い続けるための牢獄として用意されたものだ。ゆえに私が死んだ後、最高評議会が取る選択肢は2つ。用済みとして潰されるか、後継者を立てて存続させるか、そのどちらかだろう』
曇った表情を浮かべるドクター。前者はなんとなく判っていたけど、後者の後継者って・・・。とここで、ウーノさん達が私を見ているのに気付いた。それで後継者が「私・・・」だってことが判った。
『前者であれば、最高評議会に逆らうことなく受け入れてほしい。そしてスカラボが閉鎖された時、ウーノ、ドゥーエ、トーレ、クアットロ、チンク、セイン、君たちはどの部署へ行こうとも重宝される娘たちだ、好きなように生きてもらいたい』
「第零技術部の解散。ありえない、あってはならない」
「私たちの居場所はただ1つよ」
「第零技術部。またの名をスカラボ」
「いくらドクターの遺言とはいえ、スカラボを畳むことだけは・・・」
「出来んな」
「そ~ゆうこと!」
ウーノさんの想いは無駄にしたくないし、私としてもスカラボをここで終わらせるつもりなんてない。モニターに映るドクターを見詰めると、そんなわけないのにドクターと目が合った気がした。
『後者であれば、おそらく後継者はすずか君となるだろう。何せ私の最初にして最後の弟子なのだから。すずか君。君を最高評議会の奴隷にはしたくはない。娘たちが君をスカラボの責任者に据えようとするだろうが、断ってくれても構わない』
「・・・いいえ。私はこのスカラボが大好きです。ドクター、最高評議会はもうありません。ですから安心してください。私は主任として、シスターズのみんなと一緒にスカラボを続けて行きます」
これは宣誓だ。私にとってもスカラボは大切な居場所。私たちを大事に思ってくれているドクターには悪いけれど、ドクターとの思い出と一緒に私たちはスカラボで過ごしていく。
『最後に・・・すずか君。このメールは私の鼓動が完全に停止した際に、君の個人フォルダに送信されるように設定した。娘たちはおそらくメールも見れない程に憔悴しているかもしれないからね・・・。私の勝手で今後、すずか君が大変な目に遭うかもしれないと考えるととてもやりきれないよ。しかし君と技術者としての時間を過ごせたことが、君を技術者として導くことが出来たのが、余りにも幸せなものだった。ありがとう、すずか君』
「ドクター・・・。私も、ドクターからたくさんの事を学べて、とても幸せでした。ドクターから教わった知識・技術・心得を決して無駄にすることなく、第零技術部主任として頑張って行きます。ですから・・・天国から見守っていてください」
柩に眠るドクターを改めて見つめる。ウーノさん達も集まって来て「これまでありがとうございました」とそれぞれの言葉で、ドクターに感謝していった。そして最後はみんなで柩の蓋を閉めた。
葬儀は明日。シスターズとチーム海鳴、それにギンガとスバルを呼ぶことになった。日本は火葬だけど、ミッドは海外と同じ土葬スタイル。埋葬地はウーノさん達が話し合って決めて、ドクターが経営しているスカリエッティ孤児院近くにある丘。今もなお孤児院で過ごしている子供たちの笑い声が聞こえるから、と。
「ドクター。それではまた・・・」
柩に声を掛けて、私は礼拝堂を後にした。
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