恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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243部分:第二十一話 劉備、友を選ぶのことその四
第二十一話 劉備、友を選ぶのことその四
「そこの者」
「私ですか?」
「そう、そなたじゃ」
劉備を見ての言葉である。
「そなた。名は何という?」
「はい、劉備といいます」
「劉備?」
「字は玄徳です」
自分からその字も話した。
「宜しく御願いします」
「はて、劉というとまさか」
「はい、皇族の血を引いています」
公孫賛が美女に話す。
「中山靖王の末裔です」
「それで今ここにおるのか」
「はい、義勇軍です」
それだと答える劉備だった。
「それで参加させてもらっています」
「皇室の血を引いて義勇軍というのもいただけぬな」
「では何進大将軍」
「ここはどうされますか?」
すぐに袁紹と曹操がその美女何進に問うた。
「この劉備玄徳」
「一体」
「一軍を与えよ」
何進はまずは二人にこう述べた。
「そしてじゃ」
「そして」
「どうされると」
「そのうえで武勲を挙げたならば然るべき官職を与えよう」
そうするというのだった。
「今はとりあえず本陣付の将校の一人に命じる」
「本陣付のですね」
「立場は」
「左様。しかし腕に自信があるのならばじゃ」
何進は柳眉を見ながらさらに話す。
「先陣を務めるがよい」
「劉備殿、ここは」
「任せるのだ」
その劉備に関羽と張飛がそれぞれ左右から言ってきた。
「私達だけでなく星や翠もいる」
「それに紫苑もいるのだ」
「けれど今は」
「いえ、今は先陣を務めるべきです」
孔明もこう言ってきた。
「ここで武勲を挙げれば道が大きく開けます」
「そう。それじゃあ」
「そして劉備よ」
何進はまた彼女に声をかけてきた。
「返答や如何」
「わかりました」
劉備は両手を合わせて何進に答えた。
「それでは」
「うむ、それでは今より軍議に入る」
何進は劉備の言葉を受けたうえで周りに告げた。
「それでよいな」
「はい、それでは」
「今より」
こうしてだった。彼等はその軍議に入った。その結果劉備の先陣が決まった。そして右軍は袁紹、左軍は曹操が指揮を執ることになった。何進は中央軍だった。しかし軍の要が左右にあるのは一目瞭然だった。
出陣の時にだ。劉備は孔明に対して言っていた。
「留守を御願いね」
「はい、お任せ下さい」
孔明はにこりと笑ってそのうえで劉備の言葉に応えていた。
「ここは」
「私達は今から行くけれど」
「蒲公英、大人しくしてろよ」
馬超は劉備の後ろから従妹に対して言った。
「留守も大事な仕事だからな」
「ちぇっ、私も出陣したかったのに」
「まあそう言うな」
その馬岱には趙雲が優しい笑みを浮かべて慰めてきた。
「御主の力は今ここで使え」
「ここで?」
「そう、ここでだ」
こう言うのである。
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