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マイ「艦これ」「みほ2ん」

作者:白飛騨
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第30話<準備の裏に>

 
前書き
寛代と夕立を連れて撤収部隊は引き上げた。残された司令と日向は追跡の準備を始める。
 

 

……意外に可愛らしいとこあるな、日向も。

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マイ「艦これ」「みほ2ん」
 第30話 <準備の裏に>(改2)
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 撤収部隊は、まだ目覚めない寛代と腕以外は元気な夕立を担架に乗せた。そして海上で陣形を整える。

 旗艦は大淀さん。比叡と島風が護衛に就き足柄さんが最後尾だ。
旗艦の合図の元、艦娘たちはバランスを取りながら境港岸壁を出発した。

 さすが艦娘、潮の流れの速い境水道でも、さほど隊形を崩すことなく進み始める。

 私と日向は岸壁から敬礼して彼らを見送った。作業をしている陸軍の兵士たちも珍しそうにチラチラと見ている。

一般人だけでなくとも多くの陸軍兵たちにとって艦娘は、あまり知られていないのだろう。

 私は日向にだけに聞こえる声で言った。
「彼らも、まさか島風が一人で、この岸壁をボコボコに破壊したとは思うまい」

彼女も応える。
「恐らく、あの陸軍将校も分からないでしょう」

「陸軍や空軍といえども艦娘の実力は不用意に知らないほうが良いだろうな」
「はい。今はまだ彼らとの共同作戦が可能だとは思えません」
 日向の言う通り艦娘の戦力は海軍だけでなく陸軍や空軍の通常兵器とも比較にならないほど強い。

もちろん深海棲艦たちも艦娘と同等か、それ以上に強いわけだ。

少し風が出てきた。
「もうすぐ、お昼か」

 私たちは岸壁を離れて倉庫の前に停まっている軍用車へ向かった。車の脇には艦娘たちが持ってきてくれた荷物が、いくつか積んであった。

「司令」
車の前まで戻ると日向が振り返る。

「私が深海棲艦の索敵をしますので申し訳ないですが……」
 彼女は司令である私が運転を担当せざるを得ないことを恐縮しているのだ。

「ああ、構わない。もともと夕立が居ても私が運転するつもりだったから」
 日向だって飛行甲板を装着したままで軍用車の運転なんか出来ないだろう。ここは海の上じゃない。

彼女は軍用車に向き直って言った。
「状況によっては私が銃座を担当します」
「頼む」

「……では準備に入ります」
 日向は軽く敬礼をすると早速チェックリストを片手に補給物資の山を確認する。それが終わると軍手を取り出して金属のケースから弾倉を取り出した。

「ほう、それが弾丸か」
実は初めて見た。

「外観は普通のものと大差はないんだな」

彼女はパッケージをチェックしながら言う。
「これは夕張さんの試作品で……美保ではまだ量産が出来ないから舞鶴や呉に製造依頼する形で特注するようです」

「それは大変だな……手続きの手間とか」
「はい。夕張さんも、いずれ美保で作りたいと、いつも話しています」
日向は苦笑する。

「まぁな、こんな地方じゃ軍需工場も皆無だからな」
私も笑った。

 続いて彼女は軍用車の銃座に上がると手際よく空の弾倉と交換をする。これも普通の機関銃への弾丸補充にしか見えないから周りの陸軍連中も、この作業には、まったく興味を示していない。

「知らぬが仏か」
艦娘も普通の少女にしか見えない。この銃だってそうだ。だからこそ良いのかもしれない。

 そういえば今、陸軍が調べている敵の戦車(残骸)だって、恐らく深海連中独自のものではないだろう。それでも私が路地から見上げた瞬間は、かなり強そうに見えた。

 しかし結局、艦娘仕様の軽機関銃で、あっさり蜂の巣になった。それから島風と比叡にボコボコニされて……今更、陸軍が調べても何も得るものはないだろうな。

 日向は機関銃を軽く点検している。

 艦娘が偉いと思うのは夕立も含め基本的な兵器の取扱いに幅広く精通していることだ。だから夕立だって普段は、あんなに可愛らしい天然娘なのに、いざとなると戦闘のプロになる。その落差はすごいよな。

 もちろん日向のように外でも普段通り変わらない艦娘だっている。本当に個性豊かな子たちだ。艦娘というのは接するほどに不思議で興味深い存在だと思う。

「司令、車の方は準備完了です」
日向が報告する。

「ご苦労」
私は妄想めいた考えを中断して返事をした。

「あと……」
日向が立ち止まって、こっちを見ている。

「なに?」
「補給物資の中に、これが」
彼女が差し出したのはサンドイッチだった。そうか、もうお昼だな。

誰かな? 祥高さんか鳳翔さんが気を利かせてくれたのだろう。
「量からすると3人分くらいあるな」

ちょっと余る。本来は夕立の分か?

「司令、あの……」
急に日向がモジモジしている。

「あまり時間もないですが、その……」
どうした日向? お前らしくもない。

「え?」

顔が真っ赤なんだけど。
「ちょっとだけ……食べませんか」

「あ、スマン!」
そうだよな。お腹すいたか。今朝から日向は働き詰めだからな。

「そうだな、そうしようか」
 もしや、それで遠慮して赤くなっていたのか? ……意外に可愛らしいとこあるな日向も。
 
 美保に着てからの彼女は、いろんな一面を見せてくれる。

艦娘が奥が深いのか? 日向が実は深いのか? まぁ、どっちでも良いが。

「やれやれ、この戦争は分からないことだらけだ」
私は苦笑した。

日向も微笑んでいた。

 
 

 
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/

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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
 
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