angelcode~とある少女の物語~
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angelcode~とある少女の物語~
前書き
中世の時代、悪魔の呪いなのか、いたる所で疫病が流行り、干魃に襲われ、住民の数は激減していた。
本来、男性が担い手であるはずのエクソシストも、人手不足から女性に門戸開放した。そして主人公の少女は類稀な魔力を持ち勤勉な性格で、新米エクソシストとしての道を歩き始める……
解る(ゲームをされていた)方は笑ってやってください。
分からない方は、ゼロから楽しんでもらえるとありがたいです(笑)
「親愛なるマザーへ
マザー、ここに今期エクソシストへの登用が決定されたことを、ご報告申し上げます。
今後は赴任地を移動する日々が続くので、手紙の間隔が開くと思いますが、どこに行っても、私を育ててくださったマザーの事は忘れないでしょう。
お元気でお過ごしください
ソフィア」
大聖堂で同級生と共に叙任を賜わり、一度個室に戻ったソフィアは、旅立ちの前に自分が生まれ育った修道院のマザーに手紙をしたためていた。
人手不足に悩む教会は、女性に悪魔払いの知識・技術を教える学習院を始めた。ソフィアは修道院育ちという事もあって、見習いからシスターになる道もあったが、誕生日に起きた出来事がきっかけで、両親ではなく修道院で育てられた背景を知り、エクソシストになるべく学習院のあるこの街に出てきたのだった。
若い女性を教えるところだけあって、同級生はみな若い女性ばかりで、母体である教会からの指導もあり、赴任も単独ではなく最低3人ずつ振り分ける事なっていたため、ソフィアには新しくルゥ、べティという仲間ができた。
「ソ~フィア~? 明日は移動するんだから、早く寝ないとダメだよ~?」
「えっ? ルゥったらいつの間にそこにいたの?」
声をかけられて、振り返ってみれば、ルゥがニコニコしながら、開いたドアの横に立っていた。
「ノックしたけど、返事がなかったんだもん~」
「気付かなくてごめんね。手紙を書いてたのよ…。マザーにはちゃんと報告だけはしたくって………」
そう言うと、ルゥを招き入れて椅子を差しだし、自分はベッドに腰を掛ける。
「私たちの赴任地、なんでもエレバンっていう深い森の近くの集落らしいわよ~?イヤよねぇ~、いくら私達がエクソシストになったからって、森に放り出すなんてさぁ…」
「エレバン………ですか…」
「どうしたの?ソフィア、エレバンの森を知ってるの?」
「そう言う訳ではないんだけど…」
「そう……。かなり遠いみたいだから、ちゃんと寝なさいよね~。じゃあね、おやすみ~♪」
言うだけ言うとルゥは立ち上がって、去り際に掌をヒラヒラさせると自室に戻っていった。
「エレバン…かぁ…。じゃあ、足を伸ばして修道院に里帰り出来るかなぁ~」
一人ごちると、机のランプを消してベッドに横になった。明日は、赴任地のエレバンの森に向かって、長距離を移動する事になる。
正しくはエレバンの森のそばにある集落で、最初はそこを拠点にして、住民から話を聞きつつ悪魔を祓っていくらしい。
悪魔の出没情報はいたるところにあり、農村部の方が頻度は多いものの、下級の悪魔や魔物だけという事で、新米の赴任地は田舎の集落に限られていた。
このとき、ソフィアはまだ知らない事だが、ソフィアは幼い頃、そのエレバンからさほど離れてはいない村で両親と暮らしていた。さほどとは言っても、当時の交通手段は馬か徒歩で、上流階級だけが辛うじて馬車に乗って移動していただけで、実はかなりの距離がある。
そして、ソフィアが預けられた修道院も、エレバンから「さほど」遠くない距離にあったので、その修道院で生活する者には「エレバン」は耳馴染みのある地名だっのだ。
明くる日、学習院の大聖堂前に集まった新米エクソシスト達は、3人ずつ教会が手配した荷馬車に便乗させてもらい、赴任地へ出発していく。
当日中に到着出来る赴任地もあるが、ソフィア達が目指すエレバンはかなりの距離があり、一旦、中継地で一泊して更に山里を目指す手筈になっている。
学習院の生徒達に食事を作っていたオバチャンが、ソフィアに3人分のサンドイッチの包みとミルクの缶を手渡すと、入れ替わりに教区の司教が祭司を伴って荷台の横に立つと、祝辞をかけて前途を祝福してくれた。
「では、出発しやす」
それまで黙っていた御者台の農夫が、一声掛けると手綱を操作して馬たちを歩かせ始める。
学習院があるこの街はかなり大きく、周りを城壁で囲まれ、石畳が整備されているので、蹄の音が軽やかに響き始め、ソフィア、ルゥ、べティの3人の新米エクソシストを乗せた荷馬車は、ゆっくり動き始めた。
大聖堂の頂塔に、1羽の黒い影が留まっていたが、荷馬車が動き出すと同時に飛び立ち、これから荷馬車が潜り抜けるであろう城門に向かっていったが、それに気づく者は誰一人としていなかった………
後書き
始まりました、angelcode(CAVE社)ですが、はい、これは昔あったソーシャルゲームが元ネタになっています。
カード型RPGの一つなのですが、まれに見る家庭用に劣らない基本ストーリーがあり、しっかりした造りだったのですが、エンディングを迎える事なくサービス終了してしまい、密かに小説を書いていたのですが、書いたら誰かに読んでもらいたくなりますよね…。
という訳でアップする事にしました(笑)
基本、二次創作が認められているのは、ゲームが存在していたプラットフォーム内なんですが…、かなり昔という事もあり、こちらを選ばせていただきました。あまり大っぴらには公表出来ないのですが、いつかは本家にプレゼント出来るような作品にしたいと思っています♪
(つまり、サプライズを考えている訳ですね。)
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