マイ「艦これ」「みほ2ん」
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第28話<憲兵と陸軍>
前書き
撤収部隊が到着する頃、岸壁の戦車の残骸を陸軍が回収に来た。だが大変なことが起きていた。
「陸軍にバレたらまずい」
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第28話 <憲兵と陸軍>(改2)
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境水道に大淀さんを中心とした撤収部隊が遠く見え始めた頃、岸壁には憲兵など陸軍の連中が続々とやってきた。
その中には見覚えのある顔もチラホラ。この前、山城さんが弓ヶ浜を砲撃したときに調査に来た憲兵たちだな。
「そっか、ここは境港だもんな」
私は、のん気に構えていた。
つかつかと憲兵と陸軍の将校らしき男が近寄ってきた。夕立はサッと逃げ、日向は一歩後退した。私は少しだけ胸を張った。
彼らは私に敬礼をした。
「陸軍米子駐屯部の者です。岸壁の敵戦車を破壊したのは海軍の部隊でしょうか」
私は応える。
「そうだが、ちょっと派手にやりすぎた。申し訳ない」
思わず本音が出た。
「いえ。相変わらず見事です」
それは褒めてるのか?
陸軍は現場を見渡しながら言い難そうに続けた。
「今回の敵の残骸ですが、もし海軍さんで、ご不要でしたら、その……」
「あぁ、我々には必要ないものだ。好きにしてくれて良い」
海軍としては見飽きているくらいだからな。
「恐縮です」
陸軍は改めて敬礼をする。
彼は、その場から下がると直ぐに手を上げて指示を出している。
待機していた陸軍の兵士たちがサッと動き出した。
「さっさと片付けて貰った方が有り難いな」
私が呟くと
「司令」
日向が後ろから声をかけた。
「あの戦車……あれも彼らに渡して宜しいのですか?」
私は軽く振り返る。
「本当は海軍で調査した方が良いんだろうけど残念ながら美保には、そこまでの人材も設備もない」
「はい」
日向も美保の現状は知っている。
私は付け加えた。
「ただ残骸の扱いについては今度、上申しておくか」
「はい、それが宜しいかと」
やはり戦艦は細かいところによく気がつく。さすがだな。
陸軍は重機も持ち込んで来てた。岸壁を片付けつつ作業を開始する。
それを見た夕立が感心している。
「スゴイっぽい」
「当たり前だが陸のことは陸軍だな」
私も相槌を打った。
「そういえば、さっきの陸軍将校は私より上の階級なのに腰が低かった」
「そうですか?」
日向が反応した。
「あぁ、米子や境港の人たちは軍人に至るまで人が良い感じだ。地方という気候や風土が、そうさせるのかな」
「ぽい?」
夕立は首を傾げる。
「つまり私も一応、境港出身なんだが他所の土地を回っているうちに大切なものを失ったかなぁ? ……ってね」
夕立が反応する。
「でも司令も良い人っぽい」
私は思わず苦笑した。お前の、その最後の『ぽい』が全て台無しにするんだよ。
日向が思い出したように報告する。
「まだ敵機は遠くを周回しているようです」
私も遠くの空を横切っている敵機らしき影を見ながら応えた。
「島風や比叡を警戒しているのかな」
陸軍も敵の攻撃を警戒しながら回収作業を進めている。憲兵は同時に警報解除になって出てきた見物人が不用意に近づかないように注意していた。
「恐らく敵の残党も何処かから、この作業を見ていることだろう」
私は日向に言った。
「戦車を操縦していた深海棲艦は逃げたようだな」
「そうですね。潜水艇とか上陸部隊(船)がどこかに居たのでしょう」
彼女は応える。
その言葉に私はハッとした。
「まて……上陸部隊? そういえば敵の空母が来たのは後からだよな」
「はい」
「そもそも深海棲艦は海上が主戦場だ。だが今回は戦車を持って来たよな」
「そうですが」
私は日向の顔を見ながら聞く。
「連中の基本装備は変な話だが、我々帝国海軍とよく似ている。逆に言えば彼らも艦船や航空機は持っていても地上攻撃部隊は居ないはずだ」
さすがに彼女も不思議に思い始めたようだ。
「そうですね。私の経験からも敵は地上部隊は持っていないはずです。それに今回の戦車のデザイン形態は深海側とは違う印象です」
思案しながら的確に応える日向。さすが戦艦は分析力がある。
「やはり我々と深海側以外の第三者……別の勢力が加担している可能性が否定出来ないな」
「はい」
そうこうしているうちに大淀さんたちは、かなり近づいてきた。
私はトーンを下げて日向に言う。
「私たちが実は深海棲艦を生け捕りにしてると知ったら陸軍も大騒ぎだな」
「はい、だから陸軍に黙っていて正解でしょう」
察しが良いな。
そうだ、念のために……
「おい、夕立」
私は声をかけた。
「ぽい?」
島風と話をしていた夕立は、こちらを振り返った。
「寛代と、あの捕虜の様子を見てきてくれ」
「了解っぽい」
軽く敬礼をすると夕立は路地へと戻って行った。
私は改めて日向に言った。
「今のところ岸壁付近の制空権は問題ないな」
「そうですね」
「大変っぽいぃ!」
いきなり路地から夕立が叫んだ。
「居ないっぽい!」
「また……報告に『ぽい』は、ないだろう? 事実を報告しろって」
相変わらず焦点がズレてるな。
「だから、いない、いない!」
さすがに夕立も慌てふためいて、こっちに戻ってきた。
「分かったから、ちょっと落ち着け」
私は夕立をなだめる。
「おい、大きい声を出すな」
私はわざと強い声で制した。夕立は硬直して大きい瞳をさらに見開く。
それから周りを見て言った。
「陸軍にバレたらマズいだろ」
「ぽ……」
夕立は、慌てて自分の口を手で塞いでいる。
「だから、そういう変な格好は止めろって! 余計に目立つだろう?」
まあ一応、可愛いんだが……この状況を、ぜんぜん悟ってないな、こいつめ。
取り敢えず私は落ち着いた声で質問した。
「寛代は大丈夫か?」
私の問い掛けに、やっと納得したように夕立は大きい瞳をしながら応える。
「うん、大丈夫っぽい」
「だから真面目な報告で『ぽい』は、やめろって。どっちか分からんだろ!」
……疲れる。
陸軍を警戒しながらも日向も苦笑していた。
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
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