地球を探して
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第二章
「それ見たことか」
「やはりこの星系には生命は存在しない」
「そうそう生命が存在する星はない」
「今回も見付からなくて当然だ」
「生命が存在する星がある確率なぞ奇跡だ」
「奇跡なまでに少ないのだ」
「我々の存在自体が奇跡だからな」
実にというのだ、そしてだった。
さらにだった、彼等は肯定論者達に言った。
「最後の最後まで調査は続けるが」
「また何もなかったと報告することになるだろう」
「いつもだから慣れているが」
「もうそれでいい」
「諦めるべきだ」
「生命がないとな」
「それでやっていけばいい」
こう言うばかりだった、彼等は。
だが肯定論者はその懐疑論者達に言い返した。
「待て、最後の最後だ」
「最後まで残っている」
「だからやっていこう」
「最後の星の調査が終わるまでだ」
「諦めないことだ」
「まだそれには早い」
こう話してだった、彼等はまだ諦めるのはいけないというのだ。そして遂に最後の惑星に着いた。この星系の第三惑星だった。
その星を宇宙から見てだ、彼等はまずはこう言い合った。
「実に青い星だな」
「水が多いということか」
「白いものは雲か」
「では大気があるな」
「水と大気が多い」
「そうした星だな」
「これは」
希望を持っている者達のうちの一人がここで言った。
「生命が存在するかも知れないぞ」
「いや、それはどうか」
すぐに希望を持っていない者達のうちの一人が反論した。
「そう思うのは早計だ」
「まずは調べてからか」
「そうだ、調べてだ」
そうしてというのだ。
「それからだ、喜ぶのはな」
「ではだな」
「これから調べてか」
「そのうえでか」
「そうだ、喜ぶべきだ」
こう言うのだった、そのうえで舩をその星に入らせて調査を開始した。するとその星の中は。
海には魚が泳ぎそのうえで様々な生物達に満ちていた、陸地には草木が生い茂り様々な生物が闊歩していた。
その状況を見てだ、懐疑論者達は驚いて言った。
「凄いぞ、この海は」
「適度な塩分だ」
「淡水の川も湖もある」
「どちらにも生命が満ちている」
「陸の草木の何と多いことだ」
「陸の生物も多いぞ」
「まさかこれだけの生命に満ちている星があるとは」
口々に言って驚いていた。
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