木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく
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覚醒回?何それ?おいしいの?
何か唐突に色がついてビックリしました。
高評価付けて下さった方ありがとうございました!
今後とも頑張っていきます。
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イザイヤとバルパーの戦闘は数分が経過した。
イザイヤは攻めに行くも必ずと言っていいほど剣を弾かれる。
この工程も見慣れるほどだ。
剣を弾かれたイザイヤは距離を取ると、持っている剣を槍のように伸ばし全力で投擲する。
投擲された剣は地面を抉りながら進む。それをバルパーは水平に飛び上がり、剣で切り裂く。
着地も無事に決めると今度はバルパーが攻め立てる。
地面に突き刺さっている剣をさらにもう1本引き抜きながら走り出し、2対の剣を交互に振る。
その攻撃一つ一つがイザイヤの全力に値する威力だ。
それを必死に受け流しているが、全ていなせずにかすり傷がだんだんついて行く。
「くっ!魔剣創造!!」
その掛け声とともに地面から大量に剣が突き出る。バルパーは咄嗟に後ろに飛びどうにか躱す。
バルパーが後ろに飛んだ事で隙ができ、手元に夫婦剣2セットを作り出すとそれをすぐに投げる。投げた物と同じ剣をさらに作り、今度はそれを持って瞬く間にバルパーの懐に入る。
「なッ!」
「鶴翼三連!!」
投擲していた剣がまるで磁石に吸い付くように孤を描きながら、四方向からバルパーに向けて飛ぶ。
さらに、オーバキルレベルの追撃として、イザイヤ本人が持っている剣による斬撃、上級悪魔ですら倒せる技だ。
しかしバルパーは過去に最上級悪魔を倒した経験を持ち、その時の勘は衰えるどころか格段に上がっていた。
自分の服に施されている防御術式に魔力を込め起動させると、飛来してくる4本の剣を無傷でしのぎ、イザイヤの斬撃は手元に持っている剣2本を犠牲にして耐える。
「そんな!」
「まだまだ甘いな」
バルパーは剣が無くなったタイミングで回し蹴りをする。
その回し蹴りを手をクロスさせて防ぐが、威力を受け止めきれずに軽く吹き飛ばされる。
「ふぅ......投影開始」
軽く数メートル吹き飛ばされるが、足を地面に突き刺すようにして勢いを止める。
落ち着け落ち着け、まず深呼吸だ。
軽く深呼吸した後前に両手を出し、気持ちを切り替える一言を発する。
その言葉を発した瞬間頭がクリアーになり、次にどんな武器を作れば良いのかが分かった。
だがそれを作るには分からないところが多すぎる、ならばと頭の中にある知識を総動員して作る。
両手の前に何か剣のような物ができ、それを思いっきり地面に叩きつけると、その形がしっかりと現れる。
その剣は魔剣の中でもトップクラスの魔剣『魔帝剣グラム』もどきだ。
「それはグラムか!」
バルパーは資料としてか見た事がなく、実際に見るのは始めてだった。
イザイヤの作ったグラムの形は、デュランダルの色のメインを黒に変え、形を少し禍々しくした物だ。
そもそも知識としてはあると知っていても、実物など見た事が無いので、デュランダルの形をモデルにした。
さらに龍殺しを抜くことにより、より破壊力を上げた代物となる。
その破壊力は叩きつけた地面が物語る。
ここの空間は五大龍王が暴れても1時間は持つぐらい、耐久力は高い。だがイザイヤの周りには大きなクレーターが出来ていて、推定直系5mあると思われる。
もしあの一撃を受ければ確実にバルパーは負ける。素手では間合いが足りない。ならばと地面に突き刺さっている剣を取りに加速する。
だが、それをイザイヤが予期していない訳が無い。
イザイヤは自分の身体以上の剣を肩に乗せ、バルパーより早い速度で後ろから追いかける。
バルパーはつかれるより先に剣を触るために手を伸ばす。それをさせないように剣を思いっきり振り上げ、振り下ろそうとするがそれは大きな隙になる。
突然加速をやめ、イザイヤの方に振り向き腹部に発勁を叩き込む。
その威力はイザイヤの移動にかかっていた力とバルパーの力も合わさり、とてつもない威力になる。
発勁を喰らったイザイヤは口から大量の血を吐き出し、武器を落として後方にバウンドしながら飛んでいく。
数メートル飛んでいくと、備え付けの大きな岩にぶつかり、大量の土煙と共に勢いが完全に停止する。
土煙の上がっている場所にゆっくりとバルパーは歩いていく。
「咄嗟に後ろに飛んだな...ならばまだ立てるはずだ。こいイザイヤ」
その声に応えるように、土煙をなぎ払い立ち上がる。
だけど、すでに身体は満身創痍だ。
「まだ...やれ......る」
けど、武器はあと1回ぐらいしか作る力はない。またグラムを作る?無理だ...どうすればいい。
突然頭に言葉が響き渡る。
───俺を使え
誰だ!
───今はそんな事はいい...勝ちたいだろ?
勝ちたい...あぁ、そうだ勝ちたい!
───契約はなされた、叫べ!
頭なの中に響いた声に従うように、大きな声で叫ぶ。
「『禁手化ァァァァ!!!』」
イザイヤの手にはグラムですら可愛いと思える程の禍々しさ放つ剣が現れる。
「なんだあれは...亜種の禁手か?...あれはまずい!!」
「があ゛あ゛あ゛ぁ゛!!」
イザイヤは剣を握り1歩前へ出ようとした瞬間、身体中に伝わる激痛にその場で蹲る。
肩から頬にかけヒビのような物が入り、そこから黒い靄が飛び出て、背中に2つ山が出来る。その山は段々と大きくなり、今着ている服を破りそうになる。
その山の正体を知っているバルパーにとってはあれは危険だと判断し、急いで駆けイザイヤの隣に行くと、首に思いっきり衝撃を加え意識を奪う。
イザイヤが意識を失うとヒビと背中の山も消える。
今日の訓練はこれまでだなと決め、イザイヤを抱え上の部屋に戻り、ソファーに寝かせる。
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「あれ?ここは...地下じゃない?」
「目覚めたかイザイヤ」
「バルパーさん...あの力は...」
「亜種の禁手だよ。だが、あれは危険だ、絶対に使ってはいけない」
「そうですね」
あの力は危険それはイザイヤにも分かっていた。あれは常軌を逸していた。
身体中に伝わる痛み、身体からは溢れる黒い靄...けど、あれは本当に亜種なのか?それ以外の力が働いたような...
そんな事を考えつつ、自分の部屋に帰される。今後も夜の内にまた特訓に来るように言われて......
今は皆娯楽部屋にいるらしくそっちに連れてかれると、皆が大騒ぎしていた。
無事だったのか?とか生きてて良かったとか色々だ。
情報はどこから漏れるか分からない。例え信じている仲間からでもだ。だから秘密にしたいので、何とか誤魔化した。
結構際どいかな?と思いつつ成功した事に、心の中でバンザイするぐらい喜んだ。
その後いつもの会議などを行い、夜には特訓する生活を繰り返していく。
そして、遂にあの日がきた。
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