木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく
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油断していると転生するよ
ミスってたので再投稿
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何でこうなった!!!
少年はそう心の中で叫んだ。
少年は今牢屋のような隔離部屋に閉じ込められていて、外とは隔絶して生活をしている。だが、そんな事で叫んだのではない。
この少年は1度死んでおり、目が覚めると自分の良く知る物語の世界にいたから叫んだのだ。
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俺は平和な日本で高校生をしていて、その日はバイトから家へと帰宅する途中だった。
普通ならバイトが終わっても11時30には家に着くのだが、その日は『ハイスクールDxD』の新刊の発売日で、それを買っていたためもう12時過ぎだ。
「うぅーー!はぁ......全くまだ家に10冊ぐらいあるのに、また買っちゃった......はぁ...時間が欲しい」
常々思っていた事をボヤきながら、歩いていた。すでに日はくれ、電球の切れかかっている照明がついたり消えたりしていて、夜の怖さが一段と増していた。
けど、いつも通りの帰り道。
正直両目を瞑っても帰れ......いや言いすぎました。片目で許してください。
そんな普通の高校生には、何処ぞの高校生見たいに特殊な力や、ハーレムを作るために必要な難聴スキルなど無く、簡単に死んでしまう。
「は?」
人通りも少なく静かな夜の街に、車の大きなクラクションが響き渡り、少年の視界は車から放たれたライトにより真っ白になっていた。
「いててて...はぁ酷い目にあった......まさか車に跳ねられるとは......しかし無事って事は病院に運ばれたのか」
とりあえず明かりが付いていないので真っ暗なため、病室のどこかにある明かりをつけるスイッチを押すために立ち上がる。
立ち上がると何だか視界が低く感じ、身長がかなり縮んだ気がする。
高校生にしては高い185cmあったんだけど、今は何だか120cm程しか無いような...不思議だなと考えていると、ドアの向こうから何やら足音が聞こえ、病院の人が来たなと思い声をかける。
「あのすいませんここは」
「何だ起きたのか、被検体No.09」
「え?」
「目覚めたのなら明日から、貴様も協力してもらうぞ主のためにな」
「え...あぁはい...」
男は手に持っていたライトの光を当て、少年が生きている事を確認するとほかの部屋にも光を当てながら、どこかへと帰っていく。
突然の訳の分からない展開に頭が混乱し、思考が纏まらない。
被検体No.09って事は、何かしらの実験の被験者って事は間違いない。けど、何故自分がそんな事になっているのか分からず、頭を傾げていると、部屋の上の方にある鉄格子の窓から月の光が入り、部屋に飾られている鏡を見る。
そこには黒髪で日本人顔の人物はおらず、金髪で日本人とはかけ離れた美形な顔をした子供がいた。
だが何となくどこかで見た事があった。どうにか思い出そうと頭に全神経を集中させると、とあるアニメのワンシーンを思い出した。
それはハイスクールDxDのリアス・グレモリーに拾われる木場祐斗のシーンだ。その時の木場祐斗の姿と今の少年の姿はまるっきり同じで、いや同じどころか同一人物のような.........
はェェェェ!!!なんで!嘘だろ!!
そうだこれは嘘なんだ。だからこうやって「魔剣創造」とか言っても、剣なんか......イヤぁぁぁ!!何で出ててきてるのォォ!!
彼の手には先程まで無かった西洋剣風の剣が1本あった。けれど、少年の身体では支えきれずに地面に落とす。
その音に反応し誰かが駆け寄ってくる音が聞こえ、バレたら不味いと一生懸命消えろ消えろと念じた所、男が到着する前に剣は跡形もなく消える。
駆けつけた男には気のせいじゃないですか?と言い聞かせ、どうにか帰らすと硬いベッドに腰をかけ、考える像のようなポーズをとる。
まさか冗談抜きで木場祐斗に憑依するとは......
そんな冗談のような事が起き、これからどうするべきか寝落ちするまで考え続けた。
朝目が覚めるとやはり少年の身体のままだった。これが、夢ならと確率は低いながらも思っていたが、結局は夢ではないようだ。
眠い目を擦りながら、他の部屋の人と一緒に別の部屋へと集団移動していた。
「ふぁぁ」
やはりこのような子供の身体には深夜寝はキツかったのか、口を手で抑えながら欠伸を出してしまう。
それを見た1人の青年が声をかけてくる。
その青年は身長は170を優に超え、周りと比べ1人だけ大人びていた。過去の自分と同じ真っ黒い黒髪だ。
「眠そうだな」
「うん。昨日寝るのが遅くて...ふぁぁ」
「そんな深夜に寝てると、身長が伸びないぞ」
「別にいいよ」
「そうか...まぁ、一応初めてだから自己紹介からだな。俺は虞淵宜しくなえっと...名前は」
「名前は...」
名前一体何を名乗ればいいんだ?
前の人生の時の名前の田中太郎か?それとも木場祐斗か?
どうしようどうしようと悩んでいると、自然と口が動き名前を名乗る。
「イザイヤだよ」
「イザイヤか......名前と身体からしてヨーロッパってとこか」
「そういう虞淵は......ドイツ?」
「あぁ違う違う。俺の名前は漢字でな、中国の出身だよ」
「へぇぇ」
中国の名前にそんな洒落たのがあるとは思っていなく、意外とびっくりした。
その後ご飯の時間等を使ってこの施設の事を色々聞けた。
ここに集められたのは全員親から売られた子供達で、苗字が無くここでは被検体No.で呼ばれている。
ここは原作通り聖剣の実験をしていて、今は世界中から大量に子供達を集めている途中らしい。
そのため、多種多様な人種が集められている。黒人白人等々。
さらに言えば大体の子供は皆親から捨てられたショックで、笑顔がなく死人のような目をしている(虞淵とイザイヤのみは元気)
そして、全員が主のためにと心に言い聞かせている。それは正しく洗脳意外の何物でもなかった。
てか何でそんな多種多様な人種がいるのに、言葉が通じるのかはあんまり深く考えないでおく。これ大事要チェック!!
食事も取り終えると、ストレスで死なないようにか自由な遊びの時間がやって来る。
しかし誰も遊ぼうとせず、どこかに座って空を見上げる事しかしていない。
そんな中2人はどうすればいいかを話し合っていた。
「何か面白い事をしてよ」
「無茶ぶりにも程があるぞイザイヤ。残念だが熊やライオン程度しか殺れないからな......皆が楽しめる事は流石に」
おい、何か今普通に面白そうな事言ったろ。熊とライオン殺る?なにそれ超見たい。すこぶる見たいんだが。
話し合いをその日続けても一向に考えは纏まらず、結局何も解決すること無くベッドへ飛び込む。
ほんのり柔らかい枕に顔を押し付け今後の課題を考える。確かに笑顔がないのは問題だが、一番の問題は因子を取り除いた後全員始末される事が問題なのだ。
一体どうすれば皆を助けられるか考えながら、ゆっくりと瞳を閉じ自然と眠っていく。
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