マイ「艦これ」「みほ2ん」
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第26話<要撃>
前書き
境港の岸壁を破壊したことで心を痛める司令。しかし直ぐに敵の第二波攻撃が始まる。
「連装砲ちゃん、いっちゃってぇ」
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マイ「艦これ」「みほ2ん」
第26話 <要撃>(改2)
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砲撃の音は、かなり沈静化したようだ。
「そろそろ、表に出て大丈夫だろう」
「ぽい?」
私は寛代をそっと壁際に降ろした。かなり呼吸は落ち着いてきたようだが、まだ意識はない。
夕立が軍用車から簡易毛布を持って来てくれた。
「深海棲艦の分は無いな……許せ」
私は向こうに倒れている敵に話しかけた。当然、相手も意識はない。
それから日向が最初に路地の表に出て様子を伺い、直ぐに大丈夫だという手招きをした。私と夕立も続けて外に出た。
「ああ、これは酷いな」
思わず絶句した。
境港の岸壁は見渡す限り大小の穴だらけだった。破壊された戦車も数台点在して黒々とした煙を吹き出していた。岸壁も、あちこちで大きく裂けている。
「やっほー」
海の上で島風が手を振っている。
「大活躍だなぁ島風……」
お前も夕立並みに激しいけど。
「仕方ないっぽい、一人で戦車相手だから」
夕立が取り成す。
「まぁ、そうだな。島風なりに一生懸命やってくれたんだ」
文句は言うまい。
そういえば昨日は、破壊された美保空軍の滑走路は見ていないから何とも思わなかった。
ただ、この岸壁の惨状を見ると市街地での戦闘は荒れるな……もちろん美保鎮守府が悪いわけではないのだが。
夕立がこちらを見る。
「どうかしたっぽい?」
「やっぱり胸が痛む」
地元だからな。
「深海棲艦が悪いとしか言いようがありませんが」
日向も坦々と言う。
「そうだな……」
誰彼の責任にしても仕方がない。これも戦争だ。
日向が空を見上げる。
「やはり第二波、来ます」
町中にサイレンが鳴り響いた。再び空襲警報だ。
「敵も、しつこいな」
「美保湾かどこかに敵の空母機動部隊がいるのだろう」
相変わらず冷静に分析する日向。
「また空軍の出方を待たないとダメなのかなあ」
私は呟いた。
すると察したように日向が言った。
「我々は敵機を落としました。それに戦車も……。従って今後、陸海空どこから敵が来ても我々が攻撃することに問題ないでしょう」
そう言う彼女は心なしか微笑んでいる。
「おい日向、嬉しそうだぞ」
「……」
私が半分茶化すと、また彼女は恥ずかしそうな表情をする。この辺りの感情の細やかさが駆逐艦と戦艦の違いだよな。
「だが、どうやって迎撃する? お前は丸腰、機関銃はタマ切れだ」
私は聞いた。
『……』
日向と夕立が考え込んでいる。
私は海上の島風をチラッと見た。
「島風一隻では、これ以上の対空戦力は期待出来ないのでは?」
そのとき
「あっ」
夕立が声を上げた。
「入電……比叡が来るっぽい」
「あ、そうか」
私はそっけない返事をした。戦艦は貴重な戦力だけど……比叡だとなぁ。どうしても不安が付きまとう。
海の上から島風が大声で叫んでいる。
「ねぇ、私も対空砲火くらいあるんだからさぁ!」
私は振り返る。
「なんだ聞こえてたのか?」
「バカにしないでっ!」
珍しく島風が膨れっ面だ。意外に可愛い。
直ぐにサイレンに乗って敵影が数機、見えてきた。
「比叡はまだか?」
「あ!」
「境水道大橋の向こう……」
夕立と日向の指差した方角に白い服の、それらしい陰が……と思うまもなく「斉射ぁ」……と、叫んだように見えた。
境水道の海面に、ひときわ明るい光を放ちながら比叡は要撃を開始した。ズドンという砲声が境水道に、こだまする。
「負けないんだから!」
「ありゃ?」
見ると島風が対抗意識を燃やしている。大丈夫かな、こいつら。
「連装砲ちゃん、いっちゃってぇ」
「……って、おい!」
頼むから町の真上で撃墜するなよ! ここは大海原じゃないんだから!
私は焦った。
「艦娘って、そもそも、こういう市街戦には向いてないんじゃ?」
「えぇ?」
首を傾げている夕立。いや、そもそも、お前も向いていないって。
急にズドン! という砲撃音……島風と連装砲ちゃんによる迎撃が、こっちの海からも始まった。
「……」
気のせいか日向がムズムズして見える。
「不覚……」
聞えるか聞えないかの悔しそうな呟きが聞えてきた。
さすがに日向には駆逐艦ほどの無鉄砲さはない。それでも艦娘だ。目の前に敵が展開して手も足も出ないのは悔しいだろう。
「もう少し堪えろ日向。直ぐに活躍できるさ」
私が言うと彼女はフッと微笑んだ。
「有り難うございます、司令」
もともと私と日向は付き合いも長い。しかし美保に来てからは彼女の意外な面ばかり見ているようだな。
……まあ、それも彼女の魅力の一つと思えば良いか。
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
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