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魔法

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第四章

「真壁君が私をどう思ってるかわかる魔法がね」
「難しいわね」
「魔法って言われてもね」
「よく魔法のペンダントとか売ってるけれどね」
「あれ結局気休めだからね」
「信じる者は救われるっていうのよね」
「そうよね、けれど何処かに魔法使いがいて」
 また言った華子だった。
「助けてくれないかしら」
「占いとかね」
「そういうのでわかってもいいわね」
「いい占い師さんがいてね」
「教えてくれたりしたらね」
「誰かいないかしら、魔法使いさんか魔女の人か」
 具体的な職業、やはり現実にいる筈がないと思っている者達のことを思うのだった。もっと言えば思わずにいられなかった。
「私に真壁君の気持ちを教えてくれる人」
「いたらいいわね」
「何処かにいないかしら、魔法使いさん」
「魔女の人でもね」
「いたらいいわね」
 クラスメイト達も言う、しかしだった。
 皆現実にいるかというとそんな筈がないと思っていたので華子にこのことでアドバイスは出来なかった。
 それで華子はほとほと困り果てていたが魔法の話をした二日後だ、学校の帰り道においてだ。
 ふと前から長身のスーツの男が来るのが見えた、黒髪で左目のところを完全に隠しており白いコートと青いスーツと赤いネクタイといういで立ちだ、痩せた身体で面長で整った顔をしている。 
 その男がだ、華子を見るとすぐにこう彼女に言ってきた。
「貴女は悩んでいますね」
「私が、ですか」
「それも恋路で。違いますか」
「あの、どうしてそんなことを」
 言うのかとだ、華子は言おうと思ったが先に男から言ってきた。
「仕事柄こうしたこともわかるので」
「お仕事の関係で」
「私は占い師なのです、今は副業を終えた帰りですが」
「副業ですか」
「はい、普段は東京でお店を持っていまして」
「そこで、ですか」
「占い師を営んでいます」 
 華子に自分の仕事のことを微笑んで話した。
「名前を速水丈太郎といいます」
「速水さんですか」
「はい、若し東京に来られた時はどうぞ」
 店に来て欲しいとだ、速水は華子にこうも話した。
「格安で占わせて頂きます、ただ」
「ただ?」
「今は無料で占わせて頂きますが」
「無料ですか」
「こうしてお会い出来たのも何かの縁」
 だからだというのだ。
「ですから今はです」
「無料で、ですか」
「占わせて頂きますが如何でしょうか」
「本当にそれでいいんですか?」
「はい、私は嘘は言いません」
 速水は華子にこのことも話した。
「ですから」
「それじゃあお願い出来ますか」
「はい、では恋路で悩んでおられるのではと申し上げましたが」
「実は好きな子がいるんですが」
 速水の言葉を受けてだ、華子は占ってもらうことにしてだ。そのうえで意を決した顔になって速水に言った。 
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