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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  青年、来る


「トライデント・スマッシャー!!!」

「オラオラオラァ!!」

「ゼァアアあああ!!獄炎弾!!!」



砂漠

その遺跡、巨大な岩の前




蒔風たちが飛び出していくと、そこには軍団がいた。
全身がクリスタルでできており、明らかに人間じゃない軍団だ。


しかし、その姿には見覚えがある。



「おい、あれシグナムじゃないか?」

「あっちはキバもいるよ・・・・後ろの方にははやても」

「アーチャーもセイバーもいやがる・・・・どういうことだ?」



そう、それは「EARTH」メンバーの模造品とでもいうべきものだった。

それなりの攻撃で砕け、中から赤い液体を流して止まりはするのだが、技量が本人のそれに近い。
しかも、蒔風たちに対応し始めているのだ。


「こいつら・・・・」

「ちょっとやばいかも!?」



ランサー、フェイト、蒔風と、もう一体一体に攻撃はしていない。
広範囲に対する攻撃で、一気に薙ぎ払っていく。


だがそれでも減って行かない軍勢。
ジリ貧だ。



「フッ・・・こうなりゃ一気に・・・・!?」


蒔風が雷旺砲でここら一面を吹き飛ばそうとする。
が、その瞬間五、六体のクラウドらしき模造品が飛び掛かり、蒔風に襲い掛かってきたのだ。


「うっそだろ!?」


その模造品に、蒔風が解放して組み上げた龍虎雀武(現在は先端が偃月刀)を片手に握り、迎撃していく。

まず一体目を朱雀青龍刀で突き刺し、二体目をハイキックで蹴り砕く。
そのまま回転して先端の青龍刀を落として白虎釵に取り換え、ブンブンとまわして釵を飛ばして二体落とす。

そして最後の二体を、朱雀槍で貫き、串刺しにして投げ飛ばした。


「けっ、大したことねェ。所詮は模造品!」


そう意気込む蒔風だが、内心ではそうもいっていられない。

まず、この数だ。
一人の模造品が一つではなく、さっきのクラウドのように何体もいる。

扱ってくる攻撃方法も、本人の物とそう変わらないから対応できているだけだ。

そして、各個体で強さも違う。
本人級の強さを持った個体もいれば、一般人が武器を持った程度のモノもいる。

もし本人以上の強さの個体がこれだけいたらと思うと、ゾッとする。



そして、もう一つの不安。
それは悪寒と言ってもいいかもしれない感覚。





誰かに、見られている。




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ふむ、銀白の翼人

一体どういうルートから来たのか・・・・あの町では一切証拠は残していなかったんだがね


流石は「EARTH」というところかな。



・・・・・・ちょうどいい彼のデータも欲しかったし、「これ」の成果も試したい。
行って来なさい。
出来れば捕えてくるように。死ななければどうなってもいいよ。




・・・・・いったか。


世界最強だと言い、そしてそう言われる翼人に勝てるのならば、我が一族の研究は私の代で為し得ることができる・・・!!
さあ、戦いたまえ!!




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「雷旺砲!!!」



弩ッ!!ゴガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!!!




蒔風の放つ雷旺砲が、左右に薙がれて模造品を軒並み消し飛ばしていく。
ここが砂漠でなかったら、おそらく地図を書き換えなければならなかっただろう。


飛び掛かってくるのも、走ってくるのも、地面に潜っていたのもまとめて消し、それが済むころには激しい砂埃と鉄の臭いしかしなかった。



「・・・・・!!ッッ、ハァ、ハァ・・・フぃ~~」

「大丈夫?」

「問題ない」


そうして撃ち終えた蒔風が手をプラプラさせながら答えた。

もう目に見える敵はいないはずだ。砂埃が、風に払われていく。



そして、その「はずだ」は見事に外れた。




「あれは・・・・!?」

「・・・・冗談勘弁」



そこに残っていたのは、セイバーの模造品と、銀の強化服を着た人間。
そしてみたことのない人間が六人。首にあるリングを見ると「あの街」にいた住人と同じように死人兵士だろう。


「あの武器は受けるな・・・・絶対にだ!!」


そのセイバーがもっているのは、いつもの剣ではなく刀だ。
そう、恐ろしい切れ味を持つ、あの刀。

それと同じ物を、後ろの六人も持っている。

強化服は銃だ。これもあの町の物と同じだろう。



「へ、俺のゲイボルグを斬れんなら切ってみろっての」

「大丈夫。対策はあるから」

「特にヤバいのがセイバーと強化服だ・・・・あれ、G4だぞ」


蒔風の忠告に、二人が頷く。

そして、覚悟を決めて走り出した。
当然、蒔風もそれと共に行こうとする。



しかし




ザシッ




「・・・・・」



背後で、砂の上に誰かが降り立った音が聞こえた。
振り向くと、その瞬間戦いは始まっていた。



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「舜!?」

「くそ!!あっちはご指名らしいな!」


後ろから蒔風が来ないのに気付いた二人。
しかし、こっちももう戦っている。間に合わない。


ランサーの相手はセイバー、フェイトの相手はG4と、有利になるようにすすめたかったのだがどうも相手はそうさせてくれないらしい。

セイバーの振るった縦の一太刀が砂漠に大きな亀裂を生み、それを左右に分かれて回避した瞬間につかまってしまった。
六人の死人兵士も三人ずつ分かれている。



セイバー(模造品) VS フェイト、そしてG4 VS ランサーの構図が、こうして出来上がった。





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「なんだお前!?相手にしてる暇はない!!」

「・・・・・・・」



急いで二人を助けに行きたい蒔風だが、この青年が邪魔で先に行けない。

年は蒔風よりも四つほど下か。
服装は一般人の物とそう変わらなく、首にはリングが取り付けられている。



(死人?・・・いや、違う。あの少女と同じ感じだ。こいつ生きてる!!)

考えながら相手の攻撃を受け、蒔風が後回し蹴りで踵を青年の腹にめり込ませ、その体を吹き飛ばした。


今はフェイトたちだ。




「あとで相手してやる!!」



そう叫び、フェイトの元へと走る蒔風。

ランサーのゲイボルグは宝具だ。
そして、宝具を破壊する術など、人の身を超えた大魔術でしかありえない。


そう考えると、フェイトを助けに行くほうが優先される。





そのフェイトは、何とかして刃を回避して相手の首輪を狙っている。
しかし、この刀は受け流すことも逸らすこともできないのだ。

触れたらそのままヌルリと斬られる。
スパッ、という表現すら許されない切れ味。



そして、セイバーに対しては完全に回避のみで対応している。



(この剣技・・・受けられなきゃどうしようもないよ!!!)



相手の実力は、フェイトに切迫している。
ツインソードの魔力刃も、何度切断されたか。


魔力で包み込んでも物質化した瞬間に寸断される。
雷で攻撃しても、相手の動きで回避される。


だったら



「真ソニックフォーム!!行くよバルディッシュ!!」

《Yes,sir》



ドッッッ!!!




砂漠の砂を蹴り、フェイトの姿が金色の閃光となって消え失せる。


その刃が、一人目の首輪を切り落とす。
その光景にほかの二人が首を振って探すが、そうしているうちに二人目のを破壊する。


あと一人とセイバー。



周囲の動きが鈍い。
どうやら相手はこの動きについてはこれないらしい。



三人目。
背後から刃が首輪を捕え、切断して地面に落ちる。


その瞬間、フェイトは信じられないものを見た。



倒れていく三人目。

その男越しに、セイバーの両目がフェイトの姿を見ていた。
視線が合う。



(ッッッ!?今こっちを・・・!!!)



驚愕するフェイトだが、もうセイバーに対する刃は振り込まれている。
止められない。



そして




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蒔風はその一部始終を見ていた。

死人兵士はフェイトを捉えきれていない。
が、一人だけ静かに佇んでいた。


一人、二人とフェイトが敵を倒し、三人目に差し掛かった瞬間、セイバーの顔が動いた。
視線が向く。
視界に捉える。



「フェイトォ!!!」



しかし、フェイトは止まらない。止まれない。
振り下ろされるライオットブレード。

ガァン!という音と共に、セイバーの左小手がその刃を受け止めた。
同時、右手に握られた刃が振り上げられた。


フェイトが反射的にライオットブレードのもう一本でそれを受けてしまおうとする。

だがフェイトもこの行動を取りながら気づいていた。



これでは防げない。




そして、振り下ろされる。




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迫る刃に、フェイトが思わず目を閉じる。
ライオットブレードでは防げない。


ギィン!!



しかし、その刃はフェイトに襲い掛からず、間に入った蒔風が「林」で受け止めていた。
真上からの降りおろしを、両手で支えながら。


「舜!!」


フェイトの呼びかけ。
それに対し、蒔風もこたえようとする。


なんつー重い一撃だ



しかし、声は出なかった。



スパッ!!ブシュゥッッ!!



「オ・・・・ガッ・・・・」

「!?」


蒔風の左肩から、右腰に掛けて、一太刀の刀傷が出来ていた。
刀は受け止め、防いだにもかかわらず、その先に続く斬撃は止まらない。


「か・・・そういえば・・・・腕のある奴が持つと、斬撃がホイホイ飛ぶんだっけ、な!!!」



そう苦しそうに言いながら、蒔風がセイバーの腹に一撃蹴り入れ、空高く打ち上げて一気にカタを付ける。



「十五天帝!!」


ビッ!!ビビッッ!!!



そして、放り投げた十五の刀の先端から銀白の光が伸びセイバーに直撃する。
一本、二本、三本と命中していき、そしてそれが今度は十四、十三と収束して数を減らしていく。


最後には極太の一本となり、ついにセイバーを吹き飛ばし、撃破した。



「ッッ・・・・」

「舜!?」

「俺のことはいい!・・・早くランサーのところに・・・!!」

「わ、わかっ・・・!?」



息の切れる蒔風に寄るフェイトが、ランサーの援護に行こうとしたが、その言葉が詰まる。


さっきまで蒔風が相手にしていた青年。
その青年が、一本の剣を握って突っ込んできたのだ。


蒔風がとっさにフェイトを突き飛ばして、獅子天麟の面でそれを受け止め、そして吹き飛ばされていく。



斜め45度の角度にすっ飛ぶ蒔風が、遺跡の上部に命中して内部へと姿を消した。
青年が、それを追って飛び出した。



「あっ!!ッ~~~!!こっち!!」



それを見たフェイトだが、蒔風なら大丈夫だろうという判断を下したのだろう。
それに、今追って行ってもしょうがない。彼女はランサーの援護に向かった。



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「リャァ!!!」


ガキィ!!



ランサーの槍が、死人兵士の首輪を破壊する。
正直言って、相手にならない。


しかし、最後に残ったこいつは違う。



ウィィィィ、カシュッ!



G4だ。


銀の装甲に身を包んだこいつが、アサルトライフルのような銃を手にランサーへと向かってきた。
銃の威力は、あの町で見たものと変わらないようだ。


だからランサーも弾くということはしない。



撃ってきたレーザーを機動力で回避し、その首を落とそうと槍を振るう。
G4がその槍を地面に倒れるようにして回避し、ランサーの腹部に銃口を向けた。

槍を振ったまま回転し、その場を移動するランサーがそのレーダーを回避し、足元のG4に向かって、串刺しにするように槍をおろす。

が、G4は後転してそれを回避、回転しながらトリガーを引き、レーザーをまき散らして少し下がった。


そのタイミングで、ランサーがゲイボルグの先端に魔力を込める。

一撃必殺の宝具。


しかし、それを溜め切る前にG4からの銃撃がそれを阻んだ。



いくら少ない魔力でいいと言っても、やはり溜めの時間は必要だ。
それを削られてしまっては、宝具は打てない。



「クソ・・・・・」



舌打ちするランサー。
G4には魔力感知の装置でもついているのか、こちらが溜めはじめると無茶苦茶に妨害してくるのだ。

しかも装甲を感じさせないくらいに身軽だ。
速いわけではないのだが、回避だけはしっかり取っているのも憎たらしい。



「ランサー!!」

「お、ねェちゃん!!あっちは?」

「舜が受け持ってる。問題ないと思うよ」

「そうかい」



そこにフェイトが合流してきた。
ライオットを構え、特に前置きもなくG4に向かっていった。


一瞬で背後に回り、その首を落とそうと振りかぶるフェイト。

しかし、G4は銃口のみを脇の下から後ろに向け、フェイトに向かって発砲した。


一撃で必殺技クラスの威力を持つ銃だ。
フェイトは瞬間的にバルディッシュを大剣にしてそれを受けたが、魔力刃にひびが入って、身体が後ろに下がっていく。


その隙にランサーが再び宝具を放とうとするが、砂の中に腕を突っ込んだG4が、隠してあったのか四連ミサイルランチャーをガボッ、と取出し、ランサーに向かってぶっ放した。



「ィイ!?」


それに冷や汗を流して動き始めるランサー。
G4を中心にして円を描くように、回り込んで走っていく。


と、放たれたミサイルの先端がパカリと開き、そこからさらにロケット花火のようなものが噴き出して、逃げるランサーの位置を追尾していく。
ロケット花火と言っても威力はバカにならない。


ランサーの走った跡に次々と火柱が上がって行き、砂漠の砂を吹き飛ばしていく。


そしてランサーがフェイトと合流し、ハーケンセイバーで弾をすべて撃ち落とすまでそれは続いた。



「無茶苦茶やりやがるぜアイツ!?」

「G3-Xに似ているみたいだけど・・・・」

「面白れぇじゃん。楽しくなってきやがったぜ!!」

「・・・・・まぁね」



バトルマニアの二人に、なんだか火がついてきたらしい。

多彩な武器と言ってもいつかは尽きるはずだ。
そこまで持っていき、一気にカタを付ける。



そうして、改めて二人が武器を構えると、G4が何かを取り出した。

それは手のひらサイズの小さな長方形の箱。
大きな、いや、あれにしては少し巨大だ。USBメモリは通常あんな大きさじゃない。


ベージュ色の外装に「W」と書かれたメモリ。


そして、それが起動される。


《ウェポン!!》



「あん?」

「あれは・・・ガイアメモリ!?」



メモリがG4の首筋から中に入って行き、その形を変えていく。



さて、諸君はこんな感想想った事はないか?

「変形してるけど、これ一体どこから出てきたんだよ」というロボットを、一昔前のテレビで見たことはないか?




この変形、というかなんというか、それはそんな感じだった。
ガシャガシャとG4の身体のいたるところから兵器が飛び出し、ドンドンその体が大きくなっていく。

山のように積み上がり、下からも押し上げ、G4の身体が上がっていく。
G4自身はその兵器に下半身を呑まれ、山のてっぺんから少し下のあたりにいた。



「おいおい・・・マジかよ」

「これは・・・・」



それはもはや要塞のようだった。

銃口、砲口が一斉に彼らに向けられる。



唸りを上げる鉄の音が、こいつの笑い声に聞こえた。




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遺跡内



吹き飛ばされてきた蒔風が、ガラリと岩の瓦礫をどけながら立ち上がってくる。


「あいつ・・・・ッッ!?」



ガァン!!!



立ち上がって頭を振る蒔風。
その瞬間、突っ込んだ穴から青年が飛び込んできて、蒔風と剣を交えてぶつかった。


「ッ゛!?オォオオオお!?」



ぶつかり合う剣と剣。

十五天帝と相手の剣が、全く同じように光り、呼び合っている。




「これは・・・・呼び合っている!?」

「・・・・・・・」



青年は答えない。


しかし、はっきりしたことがただ一つ。




相手の剣は、世界四剣だ。




to be continued
 
 

 
後書き

はい!!また新しい兵器出てきましたね!!な翼人兵器の回でした!!



剣と銃は今まで出たものです。
セイバーのクリスタル兵士はコピー品ですね。

これは日常編での最後にちょいちょいあった奴のと同じです。
イメージはディシディアファイナルファンタジーのイミテーション。



G4は敵が手に入れたデータを基に作られた装甲です。
さてさて中身は死人か生者か

敵は一体どれだけのデータを有しているというのでしょうね。


さらに組み合わせる「兵器」の記憶を宿したメモリ。
最悪の組み合わせをどうぞ!!みたいな。



今回出てきた青年は、ちょっとだけ出ていた検体Yの青年です。
当然意思などないです。





次回、G4と青年、それぞれの戦いをどうにか書いていきます!!


ではまた次回

 
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