レーヴァティン
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第八話 神殿にてその三
「まさに」
「ああなるとな」
「どうにもならないな」
「極端な例にしてもな」
「聖職者は贅沢ではだ」
「やばいな、何かと」
「そうだ、だからだ」
英雄はシチューをスプーンで食べつつ言った、味付けも質素でまずくはないが決して美味いと言えるものでもない。
「これでいい」
「そういうことだな」
「ここでの飯はな」
「そもそも腹一杯食えるだけでいいか」
久志はこうも言った。
「栄養バランスもいい感じだしな」
「俺もそう思う」
「そうだな、それでな」
「本題だな」
「ああ、色々わかってきたな」
久志は少し固い白パンをチーズと共に齧りつつ英雄にあらためて言った。
「この世界のことが」
「そうだな」
「今のところ二つ島だけか」
「世界はな」
「そして下のとんでもなく広い海にはな」
「広大な幾つもの大陸が眠っていてだ」
そしてとだ、英雄も言う。
「この島の様な空に浮かぶ島もだ」
「相当あって」
「全て眠っている、いや」
英雄はここで自分の言葉を訂正してこう言った。
「眠らさせられている」
「海の魔神にな」
「そしてその海の魔神はな」
「何か得体の知れない神様連中の一柱だな」
「そうらしいな」
全て書や神官の話からわかったことだ。
「どうもな」
「そしてその海の魔神を倒せば」
「その時はな」
「世界が蘇るか」
「いよいよな」
まさにというのだ。
「そうなる」
「その通りだな」
「そしてだ」
さらにだった。
「その魔神を倒せる武器こそだ」
「俺達が持っている刀剣だな」
「レーヴァティンと天羽々斬だ」
「そうだな」
「そしてだ」
英雄はさらに言った。
「問題はどうしてその魔神を倒すまで至るかだ」
「それだよな、実際」
英雄のその指摘にだ、久志は腕を組んで考える顔になった。書は開かれたままでそのページに書かれてある文章を読み続けている。
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