恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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194部分:第十七話 孔明、推理をするのことその三
第十七話 孔明、推理をするのことその三
「その証拠は」
「証拠だと!?」
「それかよ」
「そうだ。それはあるのか」
こう二人に問うのだった。
「この者が暗殺をしないという証拠はあるのか」
「それはだ」
「あるかって言われたらよ」
二人もだ。口ごもってしまった。
「私達もそこにいなかった」
「だからよ」
「ないな。そういうことだ」
孫権は見下ろす形のままだった。
「だからだ。この者をだ」
「何を言ってもわかってくれないのだ」
張飛もお手上げといった顔だった。
「全然駄目なのだ」
「そうなのか」
「仕方ないってなるのか?」
趙雲と馬超もいよいよお手上げといった様子になっていた。趙雲でもだ。
「しかし。それでもだ」
「愛紗はそんなことは」
「けれど。これはね」
「そうね。まずいわね」
キングと舞も今の状況を見て天秤を悲観の方に傾けさせた。
「このままだとね」
「愛紗本当に」
「けれど。証拠がないし」
「ですから」
ナコルルと香澄はそれを逆に言った。
「甘寧さんおられたのに」
「それでもなんですか」
「さっき言ったな。私はその時一時だが張飛と共にいた」
甘寧はまたこのことを話した。
「張飛の潔白は証明できる。しかしだ」
「愛紗さんは無理だと」
「その通りだ。いなかったのだからな」
「けれど。こういうことも言えますね」
孔明の言葉だった。彼女は意を決した様な顔で甘寧に対して言うのであった。
「甘寧さんも一時一人だったのではないですか?」
「何?」
「例えば用を足されるとか」
人ならば絶対に避けられないことだった。
「鈴々ちゃんもそれは覚えていますか?」
「そういえば一度あったのだ」
張飛は視線を上にやり左手の人差し指を口元に当てて述べた。
「けれどすぐに戻ったのだ」
「鈴々ちゃんもそうですよね」
「昨日飲み過ぎてなのだ」
このことを言われる前に話した。
「それで」
「御前はいつも酒を飲み過ぎる」
関羽は拘束されている今もこう注意するのだった。
「全く。飲み過ぎるのもだ」
「それでは全員が一人になる時があったということです」
孔明はここでまた言った。
「そう、つまりはです」
「鈴々はやっていないのだ」
八重歯を出して抗議した。
「そんなことは絶対にしないのだ」
「はい、それは私もわかります」
孔明は張飛のその言葉に頷いてみせた。
「よく。そして」
「そして?」
「まだ何か?」
「全員に嫌疑がかかるということになります」
「待て」
ここでだ。甘寧がそれを聞いて眉を顰めさせて孔明に返した。
「私を疑っているというのか」
「疑ってはいません」
「では何故そう言うのだ」
「あくまで可能性を言っているまでです」
孔明はその甘寧に顔を向けて言い返す。
「そう、三人全てにその可能性があります」
「馬鹿なことを言うな」
甘寧は目を鋭くさせて孔明に抗議する。
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