恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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184部分:第十六話 孫策、刺客に狙われるのことその八
第十六話 孫策、刺客に狙われるのことその八
「どちらも私達に何かをする理由はないし」
「そういうことをすることもないわ」
「はい、ですからそれはないと思いまして」
「それが怪しいのなら袁術だけれど」
「あちらもそこまですることはないし」
袁術の可能性も否定された。
「嫌がらせならともかく」
「そこまではしないから」
「山越賊の可能性は有り得ませんし」
甘寧はこの可能性は自分から打ち消した。
「思えば文台様の時も」
「ええ、あれもね」
「不可解極まりないわ」
「あれも十常侍かと思ったのですが」
甘寧はどうしてもその集団のことを念頭に置いていた。
「それにしては」
「何か妙に引っ掛かるのよね」
「十常侍とは別に」
「そういえばです」
ここで甘寧は二人に話した。
「その山越の領土の近くで巨大な妖怪を倒す者がいたそうです」
「妖怪!?」
「熊ではなくて」
「はい、身の丈一丈、いえ二丈を超えんとする不気味な妖怪を倒す青い服の男を見たと。そうした噂があの辺りで少し出ていました」
「妖怪を倒した」
「青い服の男」
その男のことを聞いてだ。張昭も張紘も顔を曇らせて述べた。
「近頃あの于吉の動きが消えたけれど」
「そういえばあの者も」
「はい、正体が全くわかりません」
その者についても述べる甘寧だった。
「今だに」
「何なのかしら」
「ええ、正体がわからない者が多くなってきたわね」
「ダックキング殿達ははっきりしていますが」
「ええ、あの人達はいいわ」
「全然ね」
二人は彼等はいいとしたのだった。
「異なる世界から来ても」
「自分から素性を言ってくれるし心根もわかるし」
「はい、全く問題はありません」
甘寧もこう言い切る。
「ですが。どうも何か」
「引っ掛かるものが多いわね」
「本当にね」
「ではさらに調べていきます」
「ええ、それと」
「わかっているわね」
二人の重臣は甘寧の顔を見てだ。そしてまた言うのだった。
「雪蓮様に蓮華様、そして小蓮様は」
「何があってもね」
「お任せ下さい」
甘寧の目の色がさらに強くなった。
「何があろうとも」
「ええ、では頼むわ」
「今回もね」
「はい、わかっています」
甘寧はそれに頷いた。そしてだ。
部屋にだ。また一人入って来た。それは。
「遅れてすいません」
「いえ、いいわよ」
「仕事をしていたのね」
「いえ、飲んでいました」
周瑜であった。見れば顔が赤い。
「祭殿に誘われて」
「やれやれ、祭は相変わらずね」
「全く」
二人は黄蓋の真名を聞いて少し苦笑いになって述べた。
「天真爛漫というか」
「邪気がないというか」
「しかしあれが祭殿のよいところ」
甘寧の顔も少し微笑んでいるものになっていた。
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