レーヴァティン
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第七話 炎の剣と氷の刃その十四
「それは」
「そうか、じゃあ俺だけで考えるな」
「そうしろ、しかしだ」
「変な店には、だよな」
「行って泣くのは御前だ」
「そうした病気になってな」
「なりたくないな」
性病、それにはとだ。英雄は久志に真面目な顔で問うた。
「御前にしても」
「なりたい奴いないだろ」
「普通はそうだな」
「わざと感染させたい奴以外にはな」
こうした悪意ある行動を取る輩もいる、さながらミノス王の妻パシパエの様に。この王妃は夫のある液を毒蛇や毒虫に変えさせたのだ。浮気をすればその相手がどうなってしまうかは言うまでもないことだ。もっともこうした時代にそうした病気はなかったが。
「いないな」
「それならだ」
「いい店に行くべきか」
「行くにしてもな」
「大学入ったら相手が出来ると思ったんだがな」
「それは高校に入ってもだな」
「ああ、思ったさ」
その時も実際にというのだ。
「絶対にって思ってたさ」
「それがだな」
「縁がなくてな」
「御前は性格はともかく外見はいいがな」
「おい、性格は別かよ」
「好かんからこう言っておく」
「それを言ったら御前もだろ」
久志は口を尖らせて英雄に言い返した。
「外見はともかくな」
「自覚している」
「じゃあその性格なおせよ」
「その気もない」
「なれよ」
久志はさらに言おうとしたがここで講義の時間になった。それで止むを得なくその講義が行われる講堂に向かった。
英雄も同じだった、二人はこの日のこちら側での出会いをこれで終えた。
第七話 完
2017・2・20
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